中国語で恩知らずを白眼狼という理由

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中国語の中には、なぜそういう言い方をするのだろうと不思議に思う言葉や表現があります。

例えば「恩知らず」を意味する「白眼狼」(báiyǎnláng)。数ある「恩知らず」の意味を持つ言葉の中でも、実によく耳にします。白目の狼と何か関係があるのでしょうか?

中国語で恩知らずを白眼狼という理由

白目の狼?

中国で「」(láng 狼)は、凶暴さを象徴する動物です。

中でも「吊白眼的狼」(diàobáiyǎn de láng 白目の部分が多い狼)は特に「凶狠」(xiōnghěn 残酷、残忍である)とされており「不通人性」(bùtōng rénxìng 人間性が通じない)を表します。

また「白眼」(báiyǎn 白い目)は「瞎眼」(xiā yǎn 目が見えない)ことを指します。

それで「白眼狼」は受けた恩義をまるでなかったかのように顧みず、恩人に対して人間らしい感謝の気持ちを全く感じないばかりか、かえって仇で返す人の比喩に使われるのです。

「恩知らず」の中国語表現はいろいろ

「恩知らず」を表す言葉は「成语」(chéngyǔ 成語)も含め複数あります。

忘恩负义

wàngēnfùyìchéngyǔ)-Wàngjìbiérénduìzìjǐ de hǎochù,fǎn’érzuòchūduìbuqǐbiérén de shì

忘恩负义」(成语)-忘记别人对自己的好处,反而做出对不起别人的事。

人が自分に示してくれた恩恵を忘れ、逆に相手に顔向けできないことをする。「恩義を忘れる、恩知らずの行為をする、恩知らずである」の意味があります。

恩将仇报

ēnjiāngchóubàochéngyǔ)-Shòurénēnhuìquèfǎn’érbàoyǐchóuhèn

恩将仇报」(成语)-受人恩惠却反而报以仇恨。

人から恩恵を受けたのにかえって憎しみで報いること。これも「恩を仇(あだ)で返す」の意味です。

过河拆桥

guò hé chāiqiáochéngyǔ)-Zìjǐguò le hé,jiùbǎqiáochāidiào。

过河拆桥」(成语)-自己过了河,就把桥拆掉。

Bǐyù dádàomùdìhòu,jiù céngjīngbāngzhùzìjǐ de rénpāokāi。

比喻达到目的后,就曾经帮助自己的人抛开。

自分が川を渡り終えると橋を壊す。目的を達成したとたんに、以前自分を助けてくれた人を捨て去る比喩。「成功すると、世話になった人の恩を忘れる」の意味です。

中国で、ぼやけた背景の前で女性が手をかざしている。

白眼狼

báiyǎnlángBǐyùwàngēnfùyì,xīnhěnshǒulà de rén,xíngróngméiyourénxìng。

白眼狼」-比喻忘恩负义, 心狠手辣的人,形容没有人性。

恩知らずである比喩。冷酷で手口があくどく、残酷無常。人間としての正常な感情や理性がないことの形容。

口语」(kǒuyǔ 話し言葉)では「白眼儿狼」(báiyǎnrláng)と発音します。

中山狼

zhōngshānláng-Bǐyùēnjiāngchóubào,méiyouliángxīn de rén,fānliǎnbúrènrén。

中山狼」-比喻恩将仇报,没有良心的人,翻脸不认人。

恩を仇(あだ)で返す、良心のない人の比喩。急に態度を変えて相手にしなくなる。

「中山狼」-恩知らずな狼の寓話

恩知らずな狼の話が出てくるのが明時代の小説「中山狼传」(zhōngshānlángzhuàn)です。

春秋戦国時代の晋国で、ある高官が狩りの途中に一匹の狼を見つけました。追われた狼は「东郭先生」(Dōngguō xiānshēng 東郭さん)に出会い、なんとか助けてくれるよう必死に哀願しました。

狼を可哀そうに思った东郭先生は、持っていた袋に狼を入れて隠してやり、狼を追ってやってきた高官には「自分は狼を見かけなかった」と答えました。

こうして助けてもらった狼ですが、袋から出たとたんに態度が豹変し、何と命の恩人の东郭先生を食べようとするではありませんか!

恩知らずな狼にしてやられたと口惜しい东郭先生ですが、今にも命は風前の灯火です。そこへある老人が通りすがり、东郭先生と狼はそれぞれ自分の言い分を老人に語ります。

すると老人は「狼がそんな小さな袋に入れられて隠れていたとは信じられない」と言います。狼はこんなふうに入っていたのだと再現するために袋に入って見せますが、老人はその口を急いで縛り、刀で袋の上から恩知らずな狼を殺したのでした。

こうして「中山狼」は「恩知らずな人」を、「东郭先生」は「悪人に慈悲を施す愚かな人」「善悪の判断がつかず悪人にも同情する人」を指すようになったのです。

暗い荒野で吠える白い狼。

「白眼狼」と「中山狼」の違い

この二つの言葉は意味が近いように見えます。実際、意味の違いを気にせず混同して使う人もかなりいるようですが、実は恩を仇で返すレベルに違いがあります。

Zhōngshānlángshìzhǐēnjiāngchóubào de ren,

中山狼是指恩将仇报的人,

báiyǎnlángzhǐ de shìwúlùnnǐduìtāzěnmehǎo,

白眼狼指的是无论你对他怎么好,

tā dōuyīzhíshìyàoshānghàinǐ de rén,bǐ zhōngshānlángháihuài。

他都一直是要伤害你的人,比中山狼还坏。

中山狼は恩を仇で返す人を指す。白眼狼はたとえあなたがどれほど相手に良くしたとしても、とにかくずっとあなたを傷つけようとし続ける人を指すため、中山狼よりはるかに悪い。

まとめ

ニュース記事の中や日常会話など、様々なシーンでよく使われる言葉ですから、注意して使い方を聞いてみましょう。

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ヤン・ファン (楊芳) この記事を書いた人

講師育成で知られる中国・東北師範大学卒業。講師歴は14年に及び、特に日系企業の駐在員やビジネスパーソン向けの指導経験が豊富です。現役の日中医療通訳士としても活動し同行・商談通訳等にも対応可能です
基礎からの正確な発音指導、ビジネス中国語、赴任前短期集中レッスン、HSK・中国語検定対策、日中医療通訳トレーニング。クイック・レスポンス、シャドウイング等の通訳訓練法をレッスンに導入し、実践的なコミュニケーション能力の効率的な習得をサポートします。企業研修(対面・リモート)、個人・グループレッスン、同行・商談通訳等にも対応可能で教材作成、レッスンカリキュラム、講師育成など幅広い分野で活躍。

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