中国語を学ぶ際、日常会話やビジネスシーンにおいて「AとBを比較する」という表現は非常に頻繁に登場します。しかし、単なる文法の丸暗記では、実際の会話でスムーズに言葉が出てこないという悩みを抱える学習者は少なくありません。
本記事では、チンギス・ハーンと秦の始皇帝という、歴史に名を残した二人の偉大な人物の違いを題材にして、中国語の比較表現を実践的に学んでいきます。中国語教室などで基礎文法を学んだ後、さらに一歩踏み込んで「自分の意見を論理的に述べる力」を養うための最適なトレーニングとなるはずです。
重要ポイント・比較早見表
「其の一」の記事では各人物の生涯や歴史的背景について詳しく触れましたが、本記事はあくまで比較構文を使いこなすための「実践編」です。単なる人物紹介の繰り返しではなく、二人の業績や特徴をどうやって中国語で比べ、「どちらが優れているか」「何の面では上か」「単純には比べられない」といった複雑なニュアンスをどう表現するかに重点を置いています。
まずは、二人の歴史的評価を比べる際に役立つ「10秒早見表」を確認してみましょう。この表を見るだけで、どのような視点で中国語のフレーズを組み立てればよいかが明確になります。
| 比較基準 | 秦の始皇帝 | チンギス・ハーン | 使える中国語 |
|---|---|---|---|
| 個人能力 | 秦王政として六国を滅ぼし、紀元前221年に皇帝号を採用。統一は歴代秦王の改革、官僚、将軍、国力の蓄積も含む国家的成果である。 | 分裂していたモンゴル高原の諸集団を統合し、1206年にチンギス・ハーンの称号を得た。人材登用、同盟形成、軍事組織に強みがあった。 | 两人都很有领导能力。 (二人とも高い指導力を持っていた) |
| 軍事 | 韓・趙・魏・楚・燕・斉を順次滅ぼした。始皇帝個人だけでなく、王翦らの将軍と秦軍の制度を含めて評価する必要がある。 | モンゴル諸部を統合した後、西夏、金、中央アジア方面へ遠征した。機動力、規律、情報収集を伴う軍事活動で知られる。 | 从征服范围来看,成吉思汗的军事行动涉及的地区更广。 (征服範囲から見ると、チンギス・ハーンの軍事行動が及んだ地域はより広い) |
| 政治・統治 | 皇帝を頂点とする中央集権的な統治体制を整え、全国を郡県によって統治した。文字、度量衡、貨幣などの標準化を進めた。 | 部族・氏族を越えた軍事政治秩序を形成し、配下や家族に役割を分担させた。帝国規模の行政制度は後継者の時代にも整備された。 | 在中央集权制度的建设方面,秦始皇的影响更明显。 (中央集権制度の構築という面では、始皇帝の影響がより明確だ) |
| 影響力 | 秦は短命だったが、中央集権的な官僚統治の枠組みは後代の王朝に長く影響した。 | 後継者が拡大したモンゴル帝国はユーラシア各地の政治、交易、交流に大きな変化をもたらした。 | 不能简单地说谁比谁更厉害。 (どちらがよりすごいと単純には言えない) |
それでは、こうした歴史的背景を中国語でどのように表現していくのか、具体的な文法ルールとともに見ていきましょう。
比較の前に押さえたい二人の違い
- 比較表現を使うには、まず「何を基準に比べるか」を明確にする必要がある。
- 二人の生きた時代や直面した政治的課題は大きく異なるため、単純な優劣はつけられない。
- 歴史を語る際の中国語の語彙(封建帝制ではなく中央集権制度など)の選び方に注意する。
中国語で「谁更厉害?(どちらがすごいか?)」に答えるためには、まず何を基準にするかを決めなければなりません。征服地域の広さ、行政制度の緻密さ、あるいは後世への影響など、設定する基準によって答えは大きく変わるからです。
二人の間には、実に千年以上の隔たりがあります。紀元前3世紀に活躍した秦の始皇帝(嬴政)が直面したのは、長く続いた戦国時代の諸国を統合し、旧来の地域権力を中央から一元的に統治するという巨大な課題でした。一方、13世紀のチンギス・ハーン(テムジン)が直面したのは、広大な草原に点在する複数の遊牧集団を統合し、その強力な軍事政治秩序を周辺の定住地域へと展開していく課題でした。
したがって、言語学習の題材としてこの二人を比較する際、次のような過度な単純化は避けるべきです。始皇帝の業績を「国内統一」、チンギス・ハーンの業績を「対外征服」と機械的に二分したり、国家としての成果をすべて個人の超人的な能力だけに帰属させたりするのは、歴史的背景を無視した見方となります。
また、中国語の語彙選びにも注意が必要です。例えば、秦の制度を日本語で「天皇制」と訳すのは不適切です。
文脈に応じて「皇帝制度」や「皇帝を頂点とする統治体制」と訳すのが自然です。中国語で秦の制度を説明する場合、曖昧な「封建帝制」という言葉よりも、以皇帝为中心的中央集权制度(皇帝を中心とする中央集権制度)と表現したほうが、旧来の封建制(諸侯への分封)を廃して郡県制を敷いた秦の特徴を正確に伝えることができます。
「始皇帝の方が政治的に優れている」「チンギス・ハーンの方が軍事的に強い」という発言は、客観的な年表上の事実ではなく、特定の基準を設定した「評価」に過ぎません。中国語で意見を述べる際は、断定を避け、「从……来看(~から見ると)」、「在……方面(~の面では)」、「可以说(~と言える)」などの表現を添えて、評価の前提条件を示すことが大切です。
では、具体的にどのようなフレーズを使って、二人の違いや優劣について尋ねたり答えたりすればよいのでしょうか?次の章で、比較表現の基本形を見ていきましょう。
「谁更厉害?」でどちらがすごいか尋ねる
- 二者の優劣を尋ねる基本形は「A和B,谁更+形容詞?」である。
- 「厉害(すごい)」は便利な言葉だが、評価基準が広すぎるため具体化が必要。
- 比較の基準を先に提示するフレーズを覚えることで、深い会話が可能になる。

二つの事柄や人物のどちらがより優れているか、または程度が上であるかを尋ねる際、中国語で最もよく使われる基本形はA和B,谁更+形容詞?という形です。
「谁」は口語では「shéi」と発音するのが一般的です。「更(gèng)」は「さらに」「よりいっそう」を表す副詞で、強く発音することで比較のニュアンスが強調されます。
秦の始皇帝とチンギス・ハーンは、どちらがよりすごいですか。
ここで使われている「厉害(lìhai)」という形容詞は非常に便利で、能力が高い、手ごわい、程度が激しいなど、文脈によって意味が柔軟に変わります。例えば「她真的很厉害(彼女は本当にすごい)」「今天的风很厉害(今日は風がとても強い)」のように幅広く使えます。
しかし、人物比較で単に「谁更厉害」と尋ねると、軍事力を指しているのか、政治力を指しているのか、あるいは後世への影響力を指しているのかが曖昧になります。会話のきっかけとしては優れていますが、具体的に答える際には、次のように評価語をより具体化する必要があります。
| フレーズ・重要表現 | 日本語訳・使える場面 |
|---|---|
| 军事才能更突出 | jūnshì cáinéng gèng tūchū:軍事的才能がより際立っている |
| 政治影响更深远 | zhèngzhì yǐngxiǎng gèng shēnyuǎn:政治的影響がより長期に及ぶ |
| 建立的制度更完善 | jiànlì de zhìdù gèng wánshàn:築いた制度がより整っている |
どちらがすごいかを問うより、まず比較の基準を決めた方がよい。
このように、単に「すごい」と表現するだけでなく、具体的な側面を比較できるようになることが目標です。次に、中国語で最も基本となる比較表現「比」の使い方をマスターしていきましょう。
「比」の基本語順:AはBより~だ
- 比較の基本構文は「A + 比 + B + 形容詞/心理動詞」の順になる。
- 差が小さい場合は形容詞の後に「一点儿」、差が大きい場合は「得多」「多了」を置く。
- 比較文の形容詞の前に、程度副詞の「很」や「非常」を置いてはいけない。
中国語で二つのものを比較して「AはBよりも~だ」と表現する際の絶対的な基本構文は、A+比+B+述語(形容詞や心理動詞)です。英語の比較級のような形容詞そのものの変化はありません。語順がすべてを決定します。
チンギス・ハーンが築いた帝国は、秦よりはるかに大きかった。
ポイント: 比較しているのは人物そのものではなく「建立的帝国(築いた帝国)」と「秦朝(秦王朝)」です。比較対象の品詞や概念を揃えることが中国語では重要です。
歴史的事実として補足すると、チンギス・ハーン本人の死後もモンゴル帝国は後継者たちによって拡大を続けました。したがって、最大版図について述べる場合は、「蒙古帝国后来扩张到……(モンゴル帝国はその後~まで拡大した)」のように、後代の出来事であることを明記すると歴史的に正確な表現となります。
さて、「比」を使った構文では、差の大小を表す言葉を形容詞の後ろに置きます。ここが日本語の語順と異なるため、多くの学習者がつまずくポイントです。
- 差が小さいとき: 形容詞 + 一点儿(yìdiǎnr) または 一些(yìxiē)
- 差が大きいとき: 形容詞 + 得多(de duō) または 多了(duō le)
この言い方は、あの言い方より少し正確だ。
誤用例:「比较准确一点儿」としてしまうと「少し正確に比較する」と誤解されるか、意味が重複して不自然になります。必ず「形容詞+一点儿」の語順を守ります。
もし、差が非常に大きく、具体的な数値で明確に示せる場合は、無理に「比」を使わず、動詞の「相差(xiāngchà)」を使うという選択肢もあります。表現の幅を広げるために覚えておきましょう。
二人が生きた年代には千年以上の隔たりがある。
初心者が最も犯しやすいミスが、「A比B」の後ろの形容詞の前に「很」や「非常」を置いてしまうことです。中国語の比較文では、差を表す語(一点儿、得多、更など)を使います。単独の「很」は比較の差を示す言葉ではありません。
- ❌ 不自然:秦始皇比他很有名。
- ⭕ 自然:秦始皇比他有名。(始皇帝は彼より有名だ)
- ⭕ 自然:秦始皇比他有名得多。(始皇帝は彼よりはるかに有名だ)
では、単なる比較ではなく「さらに~だ」と強調したい場合はどうすればよいのでしょうか。次に「更」と「比较」の違いを見ていきましょう。
「更」と「比较」は役割が違う
- 「更」は、何らかの基準や前提がすでにあり、そこから「一段上である」ことを示す。
- 「比较」には、動詞としての「比較する」と、副詞としての「比較的・わりと」の二つの使い方がある。
- 副詞の「比较」は、明示的な二者比較ではなく、漠然とした全体基準に対する評価に使う。
日本語では「更(gèng)」も「比较(bǐjiào)」も「より~だ」と翻訳されることがあるため、混同して使ってしまう学習者が多くいます。しかし、中国語においてこの二つの単語は、文法的にもニュアンス的にも全く異なる働きを持っています。
まず、更は「さらに」「いっそう」という意味を持ちます。比較の対象となる「基準」が前後の文脈や会話の中にすでに存在している場合、「比」を使わなくても比較を成立させることができます。もちろん「A比B更~(AはBよりさらに~だ)」のように組み合わせて使うことも可能です。
征服範囲を比べるなら、チンギス・ハーンの影響が及んだ地域の方が広い。
一方、「比较」には大きく分けて二つの使い方があります。一つは、動作としての「比較する」という動詞の用法。もう一つは「比較的・わりと」という程度の副詞としての用法です。
訳文と原文を比較してみてください。
「把」構文を用いて「把+目的語(訳文と原文)+動詞(比較する)」という形を作っています。行為としての比較を依頼・指示する際に使います。
次に、副詞としての「比较」です。これは明示的にAとBを対決させるのではなく、世間一般の基準や話し手の頭の中にある平均値に照らして、「~な方だ」「わりに~だ」と述べる働きがあります。
この問題は比較的複雑だ。
「A比B比较复杂」のように「比」と「比较」を同時に使うことはできません。「A比B更复杂(AはBよりさらに複雑だ)」とするのが正解です。
それでは、比較をより深く、論理的に行うために不可欠な「条件・基準の提示方法」について、次のセクションで学んでいきましょう。
基準を示す「从……来看」と「在……方面」
- 歴史人物などを公平に比較するには、文頭に比較の基準を示すと整理される。
- 「从……来看」は視点や観点(~から見ると)を示すのに最適。
- 「在……方面」は特定の分野や領域(~の面では)を限定する。
「始皇帝とチンギス・ハーンのどちらが偉大か」という問いに対して、ただ一言で答えるのは不可能に近いでしょう。だからこそ、中国語で自分の考えを述べる際には、どのような角度から評価しているのかを明示することが重要です。このテクニックは、ビジネスでのプレゼンテーションや、日常の議論でも非常に役立ちます。
最も使い勝手が良いのが、「从……来看(~から見ると)」という表現です。
「从(cóng)」は起点を表す前置詞です。文頭に置いて一呼吸(ポーズ)を置くことで、聞き手に「今からこの視点で話しますよ」という合図を送ることができます。
征服範囲から見ると、チンギス・ハーンの軍事行動が及んだ地域はより広い。
また、特定の分野や領域を限定して比較したい場合は、「在……方面(~の面では)」を使います。政治、経済、文化、教育など、カテゴリーを絞る際に威力を発揮します。
中央集権制度の構築という面では、始皇帝の歴史的影響がより明確だ。
これらの表現を使いこなせば、中国語での会話がぐっと大人びた、知的で説得力のあるものになります。では次に、優劣をつけるだけでなく「~ほどではない」と差を打ち消す表現方法を見ていきましょう。
「~ほどではない」は没有、「及ばない」は不如
- 「AはBほど~ではない」と言いたい場合は、「A没有B那么~」を使う。
- 「不如」は、能力や品質が「及ばない」という比較や、「~するより~する方がよい」という選択に使う。
- 「不比」は「~より高いわけではない(同じかそれ以下)」という曖昧さを残すため注意。
比較表現において「AはBより~だ」という肯定文と同じくらい大切なのが、「AはBほど~ではない」という否定の比較です。ここでは「没有」と「不如」という二つの強力なツールを学びます。
まずは「没有」を用いた構文です。基本構造は「A + 没有 + B + 那么/这么 + 形容詞」となります。「那么(あんなに・そんなに)」は省略可能ですが、初級・中級の段階では意識して入れるようにすると、「Bほど~ではない」という感覚が掴みやすくなります。
秦王朝が続いた期間は、モンゴル帝国ほど長くなかった。
次に「不如(bùrú)」です。これは、能力や質が相手に「及ばない、劣る」とはっきり言いたい場合に使います。また、前の章で登場した「与其A,不如B(AするよりBする方がよい)」のように、選択肢の提示にも使えます。
「不如」自体に「~に及ばない」という強い意味があるため、後ろに形容詞を置かずに「A不如B」だけで文を終わらせることも可能です。
一つの面だけを比べるより、複数の角度から分析した方がよい。
「比」の否定形として安易に「不比」を使うと、意図しないニュアンスになることがあります。
・A没有B高: AはBほど高くない。(確実にAの方が低い)
・A不比B高: AはBより高いわけではない。(AとBが同じ高さである可能性を含んでいる)
明確に「~ほどではない」と言いたい場合は、必ず「没有」を使用してください。
ここまで優劣や差の表現を学んできましたが、全く同じであることや、全く異なることを伝えるにはどうすればよいでしょうか。次の章で確認します。
同じ点を示す「一样」と、違いを示す「不一样」
- 比較対象が同程度であることを示すには「A跟/和B一样+形容詞」を使う。
- 否定形「不一样」を使うことで、「同じではない(異なる)」ことを明言できる。
歴史上の人物を比較する際、必ずしも優劣をつける必要はありません。むしろ、共通点を見出したり、置かれた状況が「同じではない」ことを指摘したりする方が、生産的な議論になることが多いです。その際に活躍するのが一样(同じだ)という表現です。
二人は同じように有名だが、直面した問題は同じではない。
では、人物について語る際によく出てくる「知っている」という単語の使い分けについて、少し横道にそれて見ていきましょう。これも比較に関連して初心者がよく迷うポイントです。
知道と认识の違い:知識か面識か
- 「知道」は情報や事実を知識として知っている状態を表す。
- 「认识」は人や物を見知っている、識別できることを表す(必ずしも相互認識を条件としない)。
- 歴史上の人物や遠くの有名人について語る場合は「知道」を使うのが無難。
日本語の「知っている」は非常に守備範囲が広く、事実を知っている場合でも、人と面識がある場合でも使えます。しかし中国語では、対象との関わり方によって知道(zhīdào)と认识(rènshi)を厳密に使い分けます。
「知道」は、頭の中に情報としてインプットされている状態です。「认识」は、顔や姿を見て「誰(何)であるか識別できる」、あるいは「接触や面識を通じて知っている」状態を指します。
私は大谷翔平を知っています/面識があります。
「认识」は文脈によって「本人と面識がある(個人的な繋がりがある)」と受け取られることが多いため、歴史上の人物や単なる有名人に対して「我认识秦始皇」と言うと、タイムスリップでもしたのかと冗談に聞こえてしまいます。有名人については「知道他是谁」や「听说过他」を使うのが無難です。
さて、これまでの知識を総動員して、いよいよ実践的な会話練習(ロールプレイ)に移りましょう。まずは歴史をテーマにしたもの、次に日常会話に落とし込んだものをお伝えします。
実践ロールプレイ:歴史人物と日常会話
- 比較の基本構文を実際の会話の中でどう使うか、文脈での流れを理解する。
- 歴史的な硬いテーマの会話構造は、日常的な好みの比較にもそのまま応用できる。
- 音読や穴埋めミッションを通じて、頭で理解するだけでなく「口から出る」状態を作る。
まずは、歴史の授業や読書会の後に、学習者同士で意見を交換する場面を想定したロールプレイです。
ロールプレイ1:授業で二人の歴史的影響について意見を述べる
学習者A:秦始皇和成吉思汗,谁更厉害?
Qín Shǐhuáng hé Chéngjísī Hán, shéi gèng lìhai?
秦の始皇帝とチンギス・ハーンは、どちらがよりすごいですか。
学習者B:这要看比较的标准。
Zhè yào kàn bǐjiào de biāozhǔn.
それは比較の基準によります。
学習者B:在建立中央集权制度方面,秦始皇的历史影响更明显。
Zài jiànlì zhōngyāng jíquán zhìdù fāngmiàn, Qín Shǐhuáng de lìshǐ yǐngxiǎng gèng míngxiǎn.
中央集権制度の構築という面では、始皇帝の歴史的影響がより明確です。
学習者B:从征服范围来看,成吉思汗的军事行动涉及的地区更广。
Cóng zhēngfú fànwéi lái kàn, Chéngjísī Hán de jūnshì xíngdòng shèjí de dìqū gèng guǎng.
征服範囲から見ると、チンギス・ハーンの軍事行動が及んだ地域はより広いです。
学習者A:所以不能简单地说谁比谁更厉害,对吗?
Suǒyǐ bù néng jiǎndān de shuō shéi bǐ shéi gèng lìhai, duì ma?
つまり、どちらがよりすごいと単純には言えないのですね。
学習者B:对。两人所处的时代和面对的问题都不一样。
Duì. Liǎng rén suǒ chǔ de shídài hé miànduì de wèntí dōu bù yíyàng.
そうです。二人が生きた時代も、直面した問題も異なります。

歴史人物だけで練習していると、どうしても語彙が硬く難しくなりがちです。しかし、比較の基本構文である「更」や「没那么(それほど~ではない)」の形は、日常会話にそっくりそのままスライドさせることができます。次は飲み物の好みをテーマにしたロールプレイです。
ロールプレイ2:日常の好みを比較する
友人A:咖啡和茶,你更喜欢哪个?
Kāfēi hé chá, nǐ gèng xǐhuan nǎge?
コーヒーとお茶では、どちらが好きですか。
友人B:比起咖啡来,我更喜欢茶,因为茶没那么苦。
Bǐqǐ kāfēi lái, wǒ gèng xǐhuan chá, yīnwèi chá méi nàme kǔ.
コーヒーと比べると、お茶の方が好きです。お茶はそれほど苦くないからです。
友人A:那绿茶和乌龙茶呢?
Nà lǜchá hé wūlóngchá ne?
では、緑茶とウーロン茶ではどうですか。
友人B:乌龙茶比绿茶香一点儿,不过绿茶更清爽。
Wūlóngchá bǐ lǜchá xiāng yìdiǎnr, búguò lǜchá gèng qīngshuǎng.
ウーロン茶は緑茶より少し香りが強いですが、緑茶の方がよりさっぱりしています。
友人A:这么说,两种茶各有优点。
Zhème shuō, liǎng zhǒng chá gè yǒu yōudiǎn.
そうすると、二種類のお茶にはそれぞれ長所がありますね。
【ミッション】語句を入れ替えて音読しよう
ロールプレイ2の構成を利用して、自分の好みに合わせて以下のテーマを20秒で話してみましょう。
| フレーズ・重要表現 | 日本語訳・使える場面 |
|---|---|
| 猫和狗 | 猫と犬 |
| 夏天和冬天 | 夏と冬 |
| 坐电车和开车 | 電車に乗ることと車を運転すること |
例:「夏天和冬天,你更喜欢哪个?」「比起夏天来,我更喜欢冬天,因为冬天没那么热。」
会話の流れが掴めたところで、次に学習者が陥りやすい「比較構文の落とし穴(誤用)」について見ていきましょう。これを知っておくだけで、ネイティブに伝わらないリスクを大幅に減らすことができます。
比較構文で起こりやすい誤用
- 日本語の「より」に引きずられて全てに「更」を使うと、比較の基準が曖昧になる。
- 歴史を説明する際、個人の成果と国家の成果を混同する表現(例:对内统一六国)は避ける。
- 根拠の薄い制度名(汗位制など)を自作せず、客観的な事象を具体的に述べる。
文法のルールを知っていても、日本語の直訳に引きずられてしまうと、中国語としては不自然な文が出来上がってしまいます。ここでは、特に注意したい誤用のパターンを見ていきましょう。
日本語の「より」に引っ張られ、すべてを「更」で表そうとすると、比較対象が不明確になることがあります。「更」はすでに比較対象が文脈上に提示されている前提で「さらに一段上」を示す言葉です。
| フレーズ・重要表現 | 日本語訳・使える場面 |
|---|---|
| △ 他更高。:彼の方がより高い。 | 誰と比べて高いのか、文脈がないと不明 |
| 〇 他比我高。:彼は私より高い。 | 比較対象「我」が明示されている |
| 〇 他比我更高。:彼は私よりさらに高い。 | 私と彼の差、上積みを強調している |
また、歴史上の出来事や人物の評価を中国語で語る際、安易な単語の組み合わせ(造語)をしてしまうことも、コミュニケーションの妨げになります。
例えば、「始皇帝が六国を統一した」という言葉を中国語にする際、对内统一六国とするのは歴史関係として不正確です。六国は当初から秦の「国内」にあったわけではないため、「兼并六国(六国を併合した)」や「灭六国并完成统一(六国を滅ぼして統一を完成させた)」とするのが適切です。秦国が歴代の蓄積を基礎として、紀元前221年に成し遂げた「国家的成果」であることを意識した語彙選びが求められます。
同様に、チンギス・ハーンの政治制度を「汗位制(カン位制)」や「统治模式相对简单(統治モデルが比較的単純)」と表現するのも、一面的な評価です。「大汗的继承问题(大ハーンの継承問題)」「适应草原社会(草原社会に適応した)」のように、観察可能な具体的な特徴へ言い換えることで、説得力のある議論が展開できます。
それでは、これまでに学んだ内容がしっかり身についているか、3択クイズで確認してみましょう。

3択確認クイズ
- 比較の疑問文、否定文、および基準の提示方法の理解度を確認する。
- 誤答の理由を読むことで、文法の構造をより深く理解できる。
以下の3つの問題に挑戦してみてください。正解だけでなく、なぜ他の選択肢が間違っているのか(誤答理由)を理解することが、確実な上達への道です。
第1問
「秦の始皇帝とチンギス・ハーンは、どちらがより有名ですか」に最も合う文はどれですか。
- 秦始皇和成吉思汗,谁更有名?
- 秦始皇比成吉思汗谁有名?
- 秦始皇和成吉思汗,谁很有名?
正解:1
正解理由:二者から一方を選ぶ疑問文は、「A和B,谁更+形容詞?」の形にするのが最も自然です。
誤答理由:2は「比」と「谁」の位置関係が不自然です。「秦始皇比成吉思汗更有名吗?」なら成立しますが、それは「~より有名ですか(Yes/No)」という質問になります。3は「どちらがより」という比較がなく、「誰がとても有名か」という不自然な問いになります。
第2問
「この問題は見た目ほど単純ではない」に最も合う文はどれですか。
- 这个问题不比看上去简单。
- 这个问题没有看上去那么简单。
- 这个问题比看上去不简单。
正解:2
正解理由:「AはBほど~ではない」は「A没有B那么+形容詞」で表します。
誤答理由:1の「不比」は「見た目より単純なわけではない(同じくらいか、より複雑だ)」という否定になり、「見た目ほどではない」という明確な大小関係を作りません。3は比較文の単純な否定形として語順が不自然です。
第3問
「征服範囲から見ると、チンギス・ハーンの軍事行動が及んだ地域はより広い」に最も合う文はどれですか。
- 从征服范围来看,成吉思汗的军事行动涉及的地区更广。
- 对内统一六国,成吉思汗更广。
- 成吉思汗的统治模式比较简单,所以更广。
正解:1
正解理由:「从……来看」で比較基準を示し、「更广」で文脈上の比較結果を述べています。何の範囲が広いのかも「涉及的地区」と明確に表現されています。
誤答理由:2は主語と述語が対応しておらず、「对内统一六国」も歴史的にチンギス・ハーンの業績とは関係ありません。3は「統治が単純だから広い」という根拠のない因果関係を作っており、比較対象も明示されていません。

