中国で使ってはいけな日本人好みの中国語フレーズ

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「请」は使わない?中国で誤解されやすい日本人のお世辞・丁寧表現とその対策

「中国語を勉強して、いざ中国の人と話してみたら、なんだか反応がそっけない…?」「良かれと思って丁寧な言葉を使ったのに、むしろ距離を置かれた気がする…」そんな経験はありませんか?

実は、私たちが日本語の感覚で「丁寧だ」「相手を尊重している」と思って使う中国語表現の中には、中国人にとっては不自然に聞こえたり、場合によっては「嘘っぽい」「何を考えているかわからない」と誤解されたりしてしまうものが少なくないのです。

特に、日本人が多用しがちな、いわゆる「クッション言葉」や「遠回しな表現」、「過度な謙遜」は要注意。今回は、日本人が中国語を使う際に、特に誤解を招きやすい代表的なフレーズ3選を取り上げ、なぜそう受け取られてしまうのか、その文化的背景と、より自然で円滑なコミュニケーションのための代替表現、そして心構えについて詳しく解説していきます。

なぜ?日本人の「丁寧さ」が中国で通じにくい理由

まず、なぜ日本的な丁寧表現が、中国語のコミュニケーションにおいて必ずしもプラスに働かないのか、その背景にある文化的な違いを見てみましょう。

会話中にすれ違いを感じている日本人と中国人のイラスト

良かれと思った丁寧さが裏目に?文化の違いが誤解を生むことも。

「察する文化」の日本 vs 「言葉にする文化」の中国

日本語は、文脈や場の空気を読んで相手の意図を「察する」ことを重視する「ハイコンテクスト文化」に属すると言われます。直接的な表現を避け、曖昧な言い方や沈黙によって多くを伝えようとします。「言わなくてもわかるでしょ?」という感覚ですね。謙譲語や丁寧語が発達しているのも、相手との関係性や立場を細やかに表現するためです。

一方、中国語は、比較的「ローコンテクスト文化」に近いとされます。もちろん相手への配慮はありますが、自分の意思や考えをはっきりと「言葉にして」伝えることが重視される傾向があります。曖昧な表現や遠回しな言い方は、意図が伝わりにくく、「何を言いたいのか分からない」「不誠実だ」と受け取られかねません。

遠回しな表現は「不誠実」?直接的なコミュニケーションを好む傾向

上記の違いから、日本人が良かれと思って使う遠回しな表現(委婉: wěiwǎn)や、本音を隠した建前(社交辞令)は、中国人にとっては「回りくどい」「本心が見えない」「嘘っぽい」と感じられ、かえって距離を置かれてしまう原因になることがあります。「はっきり言ってくれた方が分かりやすいのに」というのが、多くの中国人の感覚かもしれません。

「関係(关系:guānxi)」重視:親しい仲では遠慮は不要?

中国社会では、家族や友人、同僚など、親しい間柄(「自己人:zìjǐrén」と呼ばれる身内)との「关系(グアンシ:関係性、コネクション)」を非常に重視します。そして、親しい関係であればあるほど、**過度な遠慮や丁寧すぎる言葉遣いは、むしろ「水臭い」「他人行儀だ」**と受け取られることがあります。ストレートに本音で話すことが、親しさの証とされる場面も多いのです。

要注意!中国人に不自然に聞こえる日本人常用フレーズ3選

こうした文化的な背景を踏まえ、特に日本人が使いがちで、中国では注意が必要なフレーズを3つ見ていきましょう。

qǐng

1、 (どうぞ~してください)

shìma

2、是吗? (そうなんですか?)

duìbuqǐ / bùhǎoyìsi

3、对不起 / 不好意思 (すみません)

1.「请 (qǐng) 〜:どうぞ〜してください」は心がこもってない?

丁寧にお願いしたり、相手に何かを勧めたりする際に、多くの中国語教科書で最初に習うのが「 (qǐng)」を使った表現です。「请 + 動詞」で「どうぞ~してください」という意味になります。クッション言葉を好む日本人にとっては、非常に使いやすく、丁寧な表現だと感じられるでしょう。

例:

  • 请坐 (qǐng zuò):どうぞお座りください。
  • 请进 (qǐng jìn):どうぞお入りください。
  • 请喝茶 (qǐng hē chá):どうぞお茶をお飲みください。

しかし、記事でも指摘されている通り、**日常会話において、中国人がこれらの表現を頻繁に使うことは、実はあまりありません。** 特に、親しい間柄や、カジュアルな場面で「请」を多用すると、どこか**形式的で、心がこもっていない、場合によっては少し偉そうな命令口調**に聞こえてしまうことさえあるのです。

【なぜ不自然に聞こえるのか?】

  • 形式的すぎる: 日常的な場面では、もっと直接的で簡潔な表現が好まれます。
  • 距離感を感じさせる: 親しい相手に使うと、「他人行儀だ」「水臭い」と感じられることがあります。
  • 命令口調に聞こえることも: 状況によっては、「~しなさい」というニュアンスに受け取られる可能性もあります。

【ネイティブの自然な依頼・勧誘表現】

では、中国人はどのように表現するのでしょうか? より自然で一般的なのは、以下のような表現です。

  • 語気助詞「吧 (ba)」を使う: 「~しましょうよ」「~しなよ」という、柔らかい提案や促しのニュアンス。

    你坐吧。(nǐ zuò ba) – 座りなよ。(请坐 の代わりに)
    进来吧。(jìnlái ba) – 入りなよ。(请进 の代わりに)

  • 動詞の重ね型を使う: 「ちょっと~する」という軽い動作を表し、相手への負担感を和らげる。

    尝尝吧。(chángchang ba) – ちょっと味見してみてよ。(请尝 の代わりに)
    看看吧。(kànkan ba) – ちょっと見てみなよ。(请看 の代わりに)

  • 動詞+「一下 (yíxià)」を使う: 「ちょっと~する」という意味。重ね型と似たニュアンス。

    你坐一下吧。(nǐ zuò yíxià ba) – ちょっと座りなよ。

  • 直接的な動詞表現: 親しい間柄なら、単に動詞だけでも十分な場合があります。ジェスチャーを伴うことも多いです。

    坐!(zuò!) – 座って!
    吃!(chī!) – 食べて!

  • 相手を先に促す表現:

    您先请。(nín xiān qǐng) – あなた様、お先にどうぞ。(丁寧な場面)
    你先(走/吃/坐)吧。(nǐ xiān (zǒu/chī/zuò) ba) – 君、先に行って/食べて/座っていいよ。(カジュアル)

【「请」が使われる適切な場面】

もちろん、「请」が全く使われないわけではありません。以下のような場面では適切に使われます。

  • 非常にフォーマルな場: 式典での案内、会議での発言依頼など。
  • サービス業での定型句: 店員がお客さんに対して使う決まり文句。(例:请慢走 qǐng màn zǒu – ごゆっくりどうぞ(お帰りの際に)、请稍等 qǐng shāo děng – 少々お待ちください)
  • 書き言葉: 案内表示やメールなど。
  • 丁寧さを強調したい場合: 関係性が遠い相手や、特に敬意を示したい場合。

ポイントは、**日常会話でむやみに多用しない**ことです。

2.「是吗? (shìma):そうなんですか?」の連発は疑っている証拠?

相手の話を聞きながら、「へえ」「そうなんだ」「なるほど」といった相槌(あいづち)を打つのは、日本語の会話では非常に重要ですよね。相手の話をちゃんと聞いていることを示し、会話をスムーズに進める役割があります。この感覚で、中国語の会話でも「是吗? (shì ma? – そうですか?)」を相槌として連発してしまう日本人が少なくありません。

しかし、これも注意が必要です。「是吗?」は、文字通りには「そうですか?」という意味ですが、使い方やイントネーションによっては、**「え、本当ですか?」「信じられないのですが?」という、相手の話の内容を疑っているようなニュアンス**で受け取られてしまうことがあるのです。

【なぜ誤解されるのか?】

  • 「本当?」という疑いの響き: 日本語の「そうなんですか?」が、純粋な相槌だけでなく、軽い驚きや疑いを含むことがあるのと同様に、中国語の「是吗?」も、言い方によっては相手の発言の真実性を問うているように聞こえます。
  • 連発による不快感: 何度も「是吗?」と繰り返されると、「この人は私の話を全然信じていないのではないか」「馬鹿にしているのか?」と相手に不快感を与えかねません。

【自然な相槌表現】

では、自然な相槌はどうすれば良いのでしょうか?

  • 単純な肯定・同意:

    嗯。(ǹg / ňg / ńg) – うん。(鼻から息を抜くような音。イントネーションでニュアンスが変わる)
    哦。(ò) – へえ。ああ。(軽い納得や気づき)
    是啊。(shì a) – そうですね。ええ。
    对。(duì) – そうです。その通り。

  • 理解を示す:

    原来是这样。(yuánlái shì zhèyàng) – なるほど、そういうことだったんですね。

  • 驚きを表す(本当に驚いた時):

    真的吗? (zhēn de ma?) – 本当ですか?マジですか?(是吗? より直接的に驚きを表す)
    不会吧? (bú huì ba?) – まさか!うそでしょ?
    是吗? (shì ma?) – (本当に驚いたニュアンスで、一度使う程度ならOK)

ポイントは、**「是吗?」を相槌として連発しない**こと、そして**イントネーションや表情**で、疑っているのではなく、話を聞いている、あるいは驚いている、という意図を伝えることです。

3.「对不起 (duìbuqǐ) / 不好意思 (bùhǎoyìsi)」の使いすぎは逆効果?

日本語の「すみません」は非常に便利な言葉で、謝罪だけでなく、感謝の気持ちを表したり(例:お土産をもらって「すみません」)、人に声をかけたり(例:「すみません、道を教えてください」)、軽い依頼をしたりと、様々な場面で使われます。

この感覚で、中国語の「对不起 (duìbuqǐ)」や「不好意思 (bùhǎoyìsi)」を、日本語の「すみません」と同じように多用してしまうと、これも誤解を招く可能性があります。

【「すみません」文化の日本 vs 明確な謝罪・感謝の中国】

日本では、相手に迷惑をかけたかもしれない、手間を取らせてしまったかもしれない、という「申し訳なさ」や「恐縮」の気持ちから、「ありがとう」の代わりに「すみません」と言う文化があります。しかし、中国では、**感謝の気持ちは「谢谢 (xièxie)」、謝罪の気持ちは「对不起」または「不好意思」で、明確に分けて表現するのが一般的**です。

そのため、プレゼントをもらったり、親切にしてもらったりした時に「不好意思~」と言うと、中国人にとっては「(プレゼントをもらって)申し訳ない? なぜ? 嬉しくないの?」と、**感謝ではなく、むしろ困惑や不快感**として受け取られてしまう可能性があるのです。

【对不起 vs 不好意思:意味と使い分け】

この二つの「すみません」にも、明確なニュアンスの違いがあります。

  • 对不起 (duìbuqǐ):
    • 意味:「申し訳ありません」「ごめんなさい」。相手に対して**明確な非があり、迷惑や損害を与えてしまった場合に使う、比較的重い謝罪**の言葉。「対不起」=「相手に向き合うことができない」が語源とも。
    • 使う場面:遅刻した時、物を壊した時、相手を傷つけた時など、はっきりと謝罪する必要がある場合。
  • 不好意思 (bùhǎoyìsi):
    • 意味:「すみません」「恐縮です」「恥ずかしいです」「失礼ですが」。軽い謝罪、恐縮、照れ、依頼や質問をする際のクッション言葉**など、幅広い場面で使われる、より軽くてソフトな表現。「好意思」=「平気でいられる気持ち」が「不」で否定され、「平気でいられない」=「気が引ける、恥ずかしい」といったニュアンス。
    • 使う場面:人と軽くぶつかった時、道を尋ねる時、ちょっとした頼み事をする時、褒められて照れる時など。

【感謝の気持ちは「谢谢 (xièxie)」で明確に伝える!】

何かをしてもらったら、素直に「谢谢! (xièxie! – ありがとう!)」または「谢谢您! (xièxie nín! – ありがとうございます!)」と伝えましょう。これが最も自然で、相手にも喜ばれます。

【軽い依頼や呼びかけには「不好意思」や「麻烦你 (máfan nǐ)」】

人に声をかけたり、ちょっとしたお願いをしたりする際の「すみません」には、「不好意思 (bùhǎoyìsi)」が適しています。また、「お手数ですが」という意味の「麻烦你 / 您 (máfan nǐ / nín)」もよく使われます。

不好意思,请问洗手间在哪里? (bùhǎoyìsi, qǐngwèn xǐshǒujiān zài nǎlǐ?)
すみません、お手洗いはどこにあるかお尋ねします。

麻烦你,帮我拿一下那个。 (máfan nǐ, bāng wǒ ná yíxià nàge)
お手数ですが、あれをちょっと取ってください。

ポイントは、**「ありがとう」の代わりに謝罪の言葉を使わない**こと、そして**「对不起」と「不好意思」を状況に応じて使い分ける**ことです。

笑顔でスムーズに会話する日本人と中国人

違いを理解し、心を開けば、言葉の壁は越えられる。

中国人と円滑なコミュニケーションをとるために

では、どうすれば中国人とのコミュニケーションをより円滑に進めることができるのでしょうか?

日本的な「建前」や「お世辞」は控えめに

心にもないお世辞や、本音を隠した建前は、かえって不信感を与える可能性があります。もちろん、相手を不快にさせない配慮は必要ですが、過度な社交辞令は控えめにする方が良いでしょう。

自分の意見や気持ちをはっきり伝える練習

「~だと思います」「~かもしれません」といった曖昧な表現だけでなく、「私はこう考えます」「こうしたいです」と、自分の意見や要望を明確に伝える練習をしましょう。ただし、相手のメンツ(面子:miànzi)を潰さないような配慮は必要です。反論する場合も、直接的に否定するのではなく、理由を述べたり、代替案を示したりする工夫を。

相手の文化を尊重し、違いを理解する姿勢

最も大切なのは、日本の文化や常識が全てではない、と理解することです。中国には中国のコミュニケーションスタイルや価値観があることを受け入れ、なぜそうなのかを理解しようと努める姿勢が、相互理解の第一歩です。

親しくなれば、よりフランクな表現もOK

関係性が深まり、相手との間に信頼関係が築ければ、よりフランクで直接的な表現を使っても、誤解されることは少なくなります。むしろ、親しさの表れとして好意的に受け取られるでしょう。相手との距離感を見ながら、言葉遣いを調整していくことが大切です。

まとめ:「郷に入っては郷に従え」?異文化理解でスムーズな交流を

日本人が良かれと思って使う丁寧な中国語表現「请」「是吗?」「对不起/不好意思」。しかし、使い方や頻度によっては、中国人にとっては不自然に聞こえたり、時には誤解や不快感を与えたりする可能性があることを解説しました。

これは、どちらの文化が優れているかという問題ではありません。日本には日本の、中国には中国の、それぞれ異なるコミュニケーションのルールや文化がある、ということです。「郷に入っては郷に従え」という言葉もありますが、一方的に相手に合わせるだけでなく、なぜ違いがあるのかを理解し、その上で、どうすればお互いが気持ちよくコミュニケーションできるかを考えることが大切です。

日本的な遠回しな表現や過度な謙遜は少し控えめに、感謝の気持ちは「谢谢」でストレートに、そして自分の意見は(相手への配慮を持ちつつ)明確に伝えること。こうした点を意識するだけで、中国人とのコミュニケーションは、きっとよりスムーズで、より深いものになるはずです。異文化理解を楽しみながら、心からの交流を目指しましょう。

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ヤン・ファン (楊芳) この記事を書いた人

講師育成で知られる中国・東北師範大学卒業。講師歴は14年に及び、特に日系企業の駐在員やビジネスパーソン向けの指導経験が豊富です。現役の日中医療通訳士としても活動し同行・商談通訳等にも対応可能です
基礎からの正確な発音指導、ビジネス中国語、赴任前短期集中レッスン、HSK・中国語検定対策、日中医療通訳トレーニング。クイック・レスポンス、シャドウイング等の通訳訓練法をレッスンに導入し、実践的なコミュニケーション能力の効率的な習得をサポートします。企業研修(対面・リモート)、個人・グループレッスン、同行・商談通訳等にも対応可能で教材作成、レッスンカリキュラム、講師育成など幅広い分野で活躍。。

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