中国人が大好きなナツメの歴史、効能と産地

  1. 中国歴史・民族

ナツメは中国原産で、伝統的な優良品種の樹木です。中国北部では非常に古くから栽培されてきました。

考古学者が発見したナツメの種の化石から既に八千年以上の歴史があることがわかっています。今回はナツメの歴史と効能、産地を少し見てみましょう。

中国人が大好きなナツメの歴史、効能と産地

ナツメの歴史

早くも周時代にはナツメを利用した醸造酒が製造され、貢物に用いたり、お客様や友人へのもてなしの席に用いられたりしていました。

ナツメに含まれる成分が栄養豊かで健康に良いことを古代の人々は既に発見していてそれを利用していたのですね。

周時代初期から春秋時代中頃(西暦前11世紀から西暦前6世紀頃)までの詩歌を集めた「诗经」(shījīng)の中には「八月にナツメの皮をむく」という表現が出てきます。

ナツメは干ばつにも冠水にも強く、適応性に優れた果樹として重宝されてきました。

《Zhàn guó cè》yǒu “běi yǒu zǎo lì zhī lì……zú shí yú mín”,

《战 国 策》有“北 有 枣栗 之利……足 食于 民”,

zhǐ chū zǎo zàiZhōngguó běifāng de zhòngyào zuòyòng。

指 出 枣 在 中国 北方 的 重要 作用。

《Hán fēi zǐ》hái jìzǎi le Qín guó jīhuangshí yòng zǎo lì jiù mín de shì,

《韩 非子》还 记载了 秦 国 饥荒 时 用 枣栗 救 民的 事,

suǒyǐ mínjiān yìzhí shì zǎo wéi“tiěgǎn zhuāngjia”zhī yī。

所以 民间 一直视 枣 为“ 杆 庄稼 之一。

「戦国策」には「北にはナツメと栗の利があり、民が食するに足りる」という記述があり、ナツメが中国北方において重要な働きをしていたことを指し示している。

また「韓非子」には秦国が凶作のときにナツメと栗で民を救ったことについての記述がある。それで民間においてナツメは常に収入の確実な農作物の一つとみなされてきた。

戦国策」と「韓非子」はどちらも紀元前の戦国時代を扱っていますから、その頃からナツメは既に人々の食に欠かせないものだったということですね。

ナツメの効能

赤いドアの前にいる男性中国。

明時代の著名な医薬学者「李时珍」( Shízhēn 李時珍)が著した《本草纲目》(běncǎo gāngmù「本草綱目」)をはじめとする薬学書の多くは、ナツメのもつ効能や薬効について取り上げています。

ナツメを常食することで虚弱体質、消化不良、神経衰弱、内臓不調、疲労、咳、貧血などに効果があるとされてきました。

それで“日食三颗枣百岁不显老”(rìshí sān kē zǎo,bǎisuìbù xiǎn lǎo)つまり「一日3粒のナツメを食べれば百歳になっても老いて見えない」と言われるそうです。

現代医学もタンパク質、糖類、有機酸、ビタミンA、ビタミンC、カルシウム、アミノ酸などの有効栄養成分がナツメに豊富に含まれていることを発見しています。

さらに、免疫力の向上、ガン細胞の抑制、白血球の生成促進、骨粗鬆症の予防、貧血予防、筋力増強、美容促進などにも効果があるという研究結果も発表されています。

ナツメの産地と品種

お土産に頂くこともあるナツメですが、有名な産地と品種がいくつかあるのでご紹介しましょう。

説明:中国の风格の黒い車の箱に包まれた柳条篭。

山东枣Shāndōng zǎo

「中国ナツメの郷」と呼ばれる山東省泰安市寧陽県の「宁阳大枣」(Níngyángdà zǎo)は、その大きさと甘さが特徴です。果肉が厚く、栄養豊富で独特な風味で知られます。

山西枣Shānxī zǎo

「薄い皮、厚い果肉、小さな種」が特徴の「稷山板枣」(Jìshānbǎn zǎo)は2009年に中国農業部、中国農業科学院、中国農産物流通協会などの団体により中国十大ナツメのトップ品目に選ばれました。

河北枣Héběi zǎo

全国700以上の品種のドライフルーツの中から最優良品種の一つに選ばれた「阜平大枣」(Fùpíngdàzǎo)は種と果肉の比率が1:18といわれ、種の小ささと甘みの強さが特徴です。

その他の産地

ほかにも「新疆枣」(Xīnjiāng zǎo)の「阿克苏红枣」(Ākèsū hóngzǎo)や「和田红枣」(Hétián zǎo)が有名ですし、「陕北枣」(Shānběi zǎo)、「甘肃枣」(Gānsù zǎo)も有名です。

こうした産地出身の知人がいると、わざわざ手に入れてくれるよう手配してもらって贈答品としてやり取りする中国人も少なくありません。

初夏におすすめのナツメドリンク

二十四節季の一つ「芒种」(mángzhòng 芒種)である6月頃は気温が高くなってくるので冷たいものを飲んだり、朝晩の寒暖の差が大きかったりして意外と体を冷やしてしまいがちな季節です。

この時期に、おすすめなのが「大枣姜汤」(dàzǎo jiāngtāng)です。

作り方は簡単で、ナツメを10粒、薄くスライスした生姜5切、黒砂糖少量をお湯で煎じます。

お茶代わりに毎日一回飲みつづけることで、内臓の保護と保温に役立つとされています。機会があればぜひ試してみてください。

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