中国は日本に学び、日本は中国に学ぶのは良いことです。今回は中国の良い文化を一つ見てみましょう。それは先生への敬意です。
中国の教育文化-先生への敬意とその影響
日本人の先生への態度
日本はしばらく前から、ゆとり教育:(宽松教育:kuānsong jiàoyù)が導入され、先生たちは厳しく指導するのではなく、褒めて伸ばすようになりました。
さらにはモンスターペアレント(怪兽家长:guàishòujiāzhǎng)が増えてきた影響もあって、日本では先生の立場が著しく低くなりました。
良い面もありますが、先生への敬意は明らかに以前より示されなくなっています。
中国の先生への態度
世界的に体罰を許さない態度が強調されるようになり、大国中国もその影響を受けるようになりました。そのため中国人に聞くと「以前よりも、先生たちの権威は失われた」と述べます。
それでも学歴優先主義が色濃い中国は、日本と比べるとまだ先生の権威がしっかりしています。中国の学校では先生が話し出すと生徒は一心に耳を傾け、先生が出した宿題は必ず行なわなければいけないという共通認識を持っています。
先生への敬意があるメリット
中国では先生(老师:lǎoshī)というだけで絶対の権威があります。子どもたちだけでなく、親たちも敬意を払います。
自分たちが子供の時も先生は絶対的存在でしたし、自分の子どもに良い成績を付けってもらって学力競争を勝ち抜くために、先生には十分な敬意を払います。
この先生への敬意がある文化は良い影響を及ぼします。下記のような2つのメリットがあると言えるでしょう。
bǎochí xiàoyuán zhìxù
1,保持校园秩序
tíshēng xuélì
2,提升学力
それぞれどういうメリットでしょうか?
学校に秩序
「保持校园秩序:bǎochí xiàoyuán zhìxù」日本人なら漢字を見ればある程度意味が分かるでしょう。
校园(xiàoyuán)というのは「キャンパス」つまり学校全般を指す言葉です。学校全体の秩序が保持(bǎochí)つまり「維持されている」というのが先生に敬意がある文化の一つ目の長所です。
先生は生徒や親の反応を恐れずに「悪いことは悪い」と声を大にして言えるので、中国の学校は日本ほど乱れていません。先生たちは体罰はできませんが、愛情をこめて大声で叱ることはできるのです。
もちろん授業中に携帯をいじくる生徒はいますが、すぐに叱られるので、生徒はどんなにつまらない授業でも真剣に聞かないといけないと思っています。
国民の学力アップ
先生たちに敬意を払う中国文化の2つ目のメリットは、提升学力(tíshēng xuélì)です。提升(tíshēng)というのは「引き上げる・上昇させる」という意味があり、提高(tígāo)とならんで「成績アップ」を表すのに用いられる動詞です。
中国はお父さんお母さんは「私たちはしっかりお金を稼ぐ(赚钱:zhuànqián)のだから、あなたは学校で先生の言うことを聞いて一生懸命勉強しなさい」と繰り返し子どもに言っています。
結局は学校の先生の指導のもと、子どもたちは朝から晩まで勉強することとなり、それが中国の子供たちの学力向上に寄与していることは否めません。
しかし先生の権威が絶対であることはある程度の問題も生じさせています。
先生が出す宿題
先生の権威が絶対なため、先生が出す宿題も絶対です。中国では小学生は毎日3時間ほど、高校生ともなると睡眠を削らないと終わらないほどの宿題を出されます。しかしどんな宿題が出されるのでしょうか?
chāoxiě kèběn
抄写课本
课本(kèběn)というのは「教科書」のこと、抄写 (chāoxiě)というのは写本すること、つまり「丸写し」のことです。
子どもたちの成績を上げてほしいという要望が親たちからあるため、先生たちも毎日宿題を提出しなくてはいけないのですが、宿題を準備するのは大変です。
よって先生たちは「〇ページ~〇ページまで全部教科書を丸写してきなさい」というような宿題を出します。勉強時間を増やすだけのために、ただただ教科書を書き写さないといけない子どもたちはかわいそうです。
先生は生徒ためを思うもの
中国にも日本にも完全な先生はいません。子どもに苦痛を与える無駄な宿題を出しているのが現状かもしれません。しかしほとんどの先生は生徒の進歩を願っていることには間違いないでしょう。
中国の親御さんたちは、先生の宿題に満足しているわけではありませんが、それでも「先生の言うことはよく聞くのよ。先生には敬意を示すのよ」と教えています。
日本にいる先生たちのほとんども子どもの進歩を望む良い先生でしょう。すぐに学校に文句を言うのではなく、中国のように不完全なところがあっても先生に敬意を示すように教えるほうがいいのかもしれませんね。