中国への旅行や出張、留学、赴任が決まったとき、誰もが最初に直面する悩みが「今の自分に事前の渡航許可は必要なのか?」という疑問ではないでしょうか。
インターネット上には様々な体験談や情報が飛び交っており、短期の旅行なら不要だと思い込んで準備を進めていたら、直前になって実は自分の渡航目的では事前の許可が必須だったと気づき、慌ててしまうケースも決して珍しくありません。
本記事では、日本国籍の方が中国へ渡航する際の複雑な要件を、目的別・状況別に分かりやすく整理してお伝えします。自分が対象となる区分の見分け方から、申請時に求められる具体的な書類、さらには入国後に現地で義務付けられている宿泊登記や居留許可のルールまでを網羅しています。
滞在日数の数え方や入国審査官とのやり取りなど、実際の渡航現場で役立つ実践的な知識も豊富に盛り込んでいますので、最後まで読んでいただければご自身の状況に合わせた確実な準備ができるようになります。渡航前の不安を一つずつ解消し、自信を持って出発の日を迎えましょう。
入国審査や現地でのコミュニケーションをよりスムーズにし、滞在中のトラブルを未然に防ぎたい方は、出発前に中国語教室で実践的な会話練習をしておくことも大変有効な準備となります。
それでは、まずは自分にとって事前の手続きが必要かどうかを判断する基準から具体的に見ていきましょう。
日本人に中国ビザが必要かを判断する基準
- 要否は「旅券の種類」「中国で行う活動」「滞在日数」の3点で決まる。
- 観光や商談など一定の目的で30日以内の滞在なら原則免除される。
- 就労や留学などは日数にかかわらず事前の許可申請が必須となる。
- 出張と就労の境界線は曖昧になりやすいため、活動内容の精査が必要。
渡航前の手続きが必要かどうかは、主に所持している旅券の種類、中国で行う活動、入国日から出国日までの滞在日数の三つで決まります。
日本国籍であっても、一般旅券以外の渡航書類を使う場合や、免除対象外の活動を行う場合は、通常の短期旅行と同じ判断はできません。自身の状況を客観的に把握し、ルールに適合しているかを慎重に見極めることが重要です。
30日以内の免除が適用される具体的な条件
現行の時限的な措置では、日本の有効な一般旅券を持つ人が特定の目的で訪問し、滞在が30日以内に収まる場合、原則として事前の手続きは不要です。
対象となる目的は以下の5つに限定されています。
- 観光(個人旅行、団体旅行)
- 商業・貿易活動(会議、商談、展示会視察など)
- 親族や友人の訪問
- 文化、学術、スポーツなどの非商業的な交流訪問
- 中国を経由して第三国・地域へ向かうトランジット
未成年者についても、免除条件そのものは成人と共通です。しかし、事前の申告が不要であっても、無条件で入国できるわけではありません。最終的な入国可否の判断は、到着した空港や港などの出入国審査で審査官によって行われます。そのため、免除であっても渡航目的を客観的に証明できる準備が欠かせません。
30日以内でも事前の許可が必要になる活動
滞在日数が短くても、目的によっては免除の対象外となります。代表的な例として、中国国内での就労、大学など教育機関への留学、新聞・テレビなどの取材報道、長期滞在を前提とした家族帯同、居留許可への切り替えを前提とする赴任などが挙げられます。
また、「日本側から給与をもらっていて中国側から報酬を受け取らなければ就労ではない」という自己判断は非常に危険です。中国の企業や施設で技術指導、設備の据え付け、撮影、モデル活動、興行などを行うケースでは、活動内容や期間に応じてM査証またはZ査証などが求められることがあります。
商談と就労の境界線に注意
一般的な会議や取引交渉、契約締結、展示会の見学、仕入れ先との打ち合わせなどは商業・貿易活動として扱われることが多く、免除の範囲内と判断されやすい傾向にあります。
一方、中国の会社と雇用契約を結んで勤務する、中国国内の職場で継続的に役務を提供する、現地の指揮命令を受けて作業する、中国国内のプロジェクトに実務担当者として参加するといった活動は、単純な商談とは明確に区別して考える必要があります。
「出張」という社内の呼称だけで安易に判断せず、現地で具体的に何をするのかを整理し、判断が難しい業務を予定している場合は、訪問先企業が用意した活動説明書をもとに管轄の申請窓口へ事前確認を行うことが安全な渡航につながります。

自分の活動が免除の範囲内に収まると確認できた場合でも、滞在日数の計算を間違えると重大なトラブルに発展します。次に、誤解しやすい滞在日数の数え方について詳しく見ていきます。
「30日以内」の正確な数え方と超過時の対応
- 入国した日を「1日目」として数え、30日目の24時が期限となる。
- 深夜便を利用する場合は、実際の出入国審査を通過する日に注意する。
- やむを得ず期間を超える場合は、事前に公安機関へ相談が必要である。
免除で認められる滞在期間は、入国日から数えて30日目の24時までです。ここで最も注意すべきなのは、入国した日を1日目として扱うという点です。
日付変更線をまたぐ深夜便のリスク
たとえば、ある月の1日に入国した場合、その日が1日目となり、30日が出国期限となります。深夜便を利用するときは、航空券に書かれた出発時刻だけでなく、実際に中国の出入国審査を通過する日付を基準に計画を立てなければなりません。
30日目ぎりぎりの出国便を予約すると、悪天候、機材トラブル、急な体調不良、空港までの交通障害などによって出国が遅延した際、不法滞在(オーバーステイ)になってしまう大きなリスクがあります。数日の余裕を持たせたスケジュールを組むことで、突発的な変更にも落ち着いて対応できるようになります。
滞在期間を超えそうになったらどうするか
免除で入国した人が、観光をもっと続けたい、商談が長引いたといった個人的な理由だけで簡単に期間を延長することは認められていません。
ただし、病気や事故、天候不良による航空便の欠航など、不可抗力による合理的で正当な事情が生じた場合は、滞在地を管轄する公安機関の出入境管理部門へ停留許可を申請できる場合があります。これは自動的に認められる制度ではないため、期限が迫る前に早めに相談することが不可欠です。
滞在期限を1日でも過ぎてしまうと、事情に応じて罰金や警告、最悪の場合は拘留や退去命令の対象となります。将来の入国審査や新たな査証申請にも重大な悪影響を及ぼす可能性があるため、オーバーステイは絶対に避けなければなりません。
滞在日数の厳格なルールを把握したところで、続いては実際に入国審査を受ける際に、審査官から提示を求められる可能性のある書類について確認しましょう。
免除適用時に持参すべき書類と確実な準備
- 審査官に渡航目的や出国予定を論理的に説明できる書類を手元に用意する。
- 航空券の控えや宿泊予約書は、万が一に備えて紙に印刷して持参する。
- パスポートの残存期間は、航空会社の搭乗基準も考慮して余裕を持たせる。
事前の手続きが免除されていても、到着時の入国審査で目的や滞在先、本当に出国する意思があるかを厳しく確認されることがあります。不審な点があれば別室へ案内され、長時間のヒアリングを受けることもあります。
スムーズに審査を通過するためには、以下のような資料を中国語または英語ですぐに提示できるようにしておくことが大切です。
- 有効な一般旅券(パスポート)
- 中国から出国する航空券や乗車券の予約控え(Eチケット)
- 宿泊施設の予約確認書(ホテル名と住所が記載されたもの)
- 滞在先の中国語住所と電話番号
- 観光日程表(簡単なもので可)
- 訪問先企業の名称、住所、担当者、連絡先(商用の場合)
- 会議や展示会の案内状、プログラム
- 親族・友人宅に泊まる場合は相手の氏名、住所、電話番号
- 海外旅行保険の契約内容
スマートフォンの充電切れ・通信障害に備える
これらの情報をスマートフォンの中にだけ保存していると、到着直後の現地の通信障害や、予期せぬ電池切れの際に審査官に提示できず、入国を拒否される恐れがあります。
パスポートの顔写真ページの写し、往復の航空券控え、最初の宿泊先や訪問先の住所情報は、必ず紙に印刷して携帯しておくことを強くお勧めします。紙の資料を持っていれば、言葉が通じなくても提示するだけで意図が伝わります。
パスポートの残存有効期間についての注意点
免除に関する公式案内では、有効期間が予定滞在期間を上回っていればよいとされています。しかし、航空会社の独自の搭乗条件や、万が一第三国へ乗り継ぐことになった場合の条件を考慮すると、実務上はより長い残存期間(たとえば入国時から6ヶ月以上)が求められることが少なくありません。
出発前に利用する航空会社のカスタマーサポートやウェブサイトで搭乗要件を再確認し、残存期間が極端に短い場合は出発前にパスポートの切り替えを検討してください。

もしご自身の活動内容が免除の条件に当てはまらない場合、出発前に許可を得る必要があります。ここからは、現地での活動目的ごとに細かく分類されている区分の選び方について見ていきましょう。
目的別に分かれる各種区分の選び方と特徴
- 現地で実際に行う活動に正確に合致する区分を申請しなければならない。
- 商業目的の「M」、就労目的の「Z」、留学目的の「X」などが代表的。
- それぞれの区分によって求められる招聘状や許可通知などの必要書類が異なる。
事前の申請が必要な場合、中国では渡航目的ごとにアルファベットで分類されています。単に取得しやすそうなものを選ぶのではなく、現地での実際の活動内容に合致した区分を正確に選択する必要があります。事実と異なる申告は重大な違反となります。
L(観光)とM(商業・貿易)
Lは観光を目的とする区分です。日本の一般旅券を持つ人が30日以内で旅行する場合は通常免除されますが、31日以上の長期旅行を予定している場合などに申請対象となります。往復航空券と全日程の宿泊予約が必須です。
Mは、商談、契約交渉、仕入れ、展示会参加などの商業活動を目的とします。申請には中国側の取引先や主催団体が発行する詳細な招聘状(邀请函)が必須となります。招聘状には、申請者の情報、訪問目的、入出国予定日、滞在費の負担者などが明記されている必要があります。
Z(就労)と外国人就労者のA・B・C分類
中国国内で雇用されて働く場合や、実務的な作業を長期間行う場合はZを選択します。この場合、本人が日本で申請を行う前に、受入企業が中国国内で就労許可の手続きを行い、「外国人工作許可通知」を取得しておく必要があります。
なお、中国の外国人就労許可制度では、就労者をA類(高度人材)、B類(専門人材)、C類(一般・短期人材)に分類して管理しています。学歴、給与水準、職務経験などを点数化して評価され、日本から派遣される駐在員の多くはB類に該当します。
X1・X2(留学)とQ・S(親族・家族訪問)
教育機関で学ぶ場合、180日を超える長期の留学にはX1、180日以内の短期の留学にはX2を用います。中国の教育機関が発行した入学許可書などの書類が求められます。学生資格では自由にアルバイトをすることはできません。
Qは中国人や永住資格を持つ人の親族を訪問する場合、Sは中国で就労や留学している外国人の家族を訪問する場合に用います。それぞれ180日を超える長期が「1」、180日以内の短期が「2」と区分されます。家族関係を証明する戸籍謄本などの公的書類(場合によっては認証済み・翻訳付き)が必要になります。
ご自身の目的に合った区分が見つかりましたか?適切な区分を選んだら、次は実際の申請作業に進みます。どのような手順で進めればよいのか、全体の大まかな流れを確認しておきましょう。
申請から取得までの具体的な8つの手順
- 居住地を管轄するセンターや総領事館を最初に確認する。
- オンラインで情報入力と写真のアップロードを行い、予備審査を受ける。
- 窓口へ出向いて書類提出と指紋採取を行い、後日受け取る。
申請手続きは、居住地を管轄する中国大使館・総領事館、または中国ビザ申請サービスセンターに対して行います。東京や大阪など申請センターを利用する地域と、各総領事館へ直接申請する地域があるため、まずは自分の管轄窓口を確認してください。
ステップ1〜3:準備段階
まず渡航目的と区分を決定します。次にパスポートの残存期間(一般に申請時点で6ヶ月以上)と、空白の査証ページが2ページ以上あるかを確認します。過去に取得した旧パスポートがある場合は、それも提出を求められることがあります。その後、航空券、宿泊予約、招聘状、入学許可書など、目的別に必要な書類をすべて集めます。
ステップ4〜5:オンライン申請と予備審査
現在はオンラインでの申請書作成が主流です。指定サイトで申請者情報、職歴、学歴、家族情報、過去の訪中歴、旅行日程などを細かく入力します。顔写真の要件は非常に厳格です。正面、無帽、白系の背景、顔や背景に強い影がないこと、眼鏡の反射がないことなどを満たす写真をアップロードします。
オンライン送信後は、登録したメールアドレスと申請サイトの画面で審査結果を待ちます。補足資料を求められた場合は指示に従います。審査を通過すると、「査証申請凭証」という窓口提出用の書類が発行されます。
ステップ6〜8:窓口提出と受け取り
予約が必要な場合は予約を取り、指定された窓口へ原本を持参します。年齢や過去の登録状況によっては、窓口で指紋の採取が必要になるため、本人が直接出向かなければならないケースが多くあります。
無事に審査が完了しパスポートを受け取ったら、記載されている氏名、生年月日、旅券番号、種類、有効期限、入国可能回数、1回の滞在可能日数に誤りがないかをその場で必ず点検してください。
ここまでは一般的な渡航の流れを解説してきましたが、中国を経由して別の国へ行く場合や、香港・マカオを旅程に含む場合は少し特殊なルールが適用されます。
240時間トランジット免除と香港・マカオ経由の注意点
- 第三国へ乗り継ぐ場合に利用できるトランジット免除制度が存在する。
- 「日本→中国→日本」という単純な往復はトランジットとはみなされない。
- 香港・マカオへの移動は「中国本土からの出国」として扱われるため注意。
中国には、対象国籍の旅行者が対象の入境地点から入り、第三国・地域へ乗り継ぐ場合に利用できる240時間トランジット免除制度があります。日本の一般旅券所持者が通常の30日免除を利用できる間は、この制度をあえて使う必要性は高くありませんが、制度の仕組みを理解しておくことは役立ちます。
トランジットとみなされる旅程
重要なのは、「日本→上海→日本」のような旅程は第三国への乗り継ぎにならないという点です。「日本→北京→パリ」や「日本→広州→香港」のように、出発地と最終目的地が異なる場合のみ対象となります。座席と出発日時が確定した乗り継ぎ航空券を所持していることが条件です。
香港・マカオを含む旅程は「出入国」のカウントに注意
中国本土、香港、マカオは出入国管理が厳密に分かれています。中国本土から香港へ移動すると、本土から一度出国した扱いになります。その後に香港から中国本土へ戻れば、新たな入国として扱われます。
もし1回限り有効のシングルビザを取得していた場合、本土から香港に出た時点でそのビザは使用済みとなり、本土に戻るためには新たなビザが必要になってしまいます。免除条件で入国する場合は再度免除を受けられる可能性がありますが、短期間に何度も出入国を繰り返すと、審査官から滞在目的について厳しく追及されることがあります。
無事に渡航準備が整い、いざ現地へ到着したあとも、外国人が滞在する上で義務付けられている重要な手続きがあります。ここを見落とすと後々大きなトラブルになるため、しっかりと把握しておきましょう。
入国後に必須となる臨時宿泊登記と居留許可
- 中国に滞在するすべての外国人は宿泊先の届け出(宿泊登記)が義務。
- ホテル宿泊時はチェックイン時に自動的に処理されることが多い。
- 友人宅や賃貸の場合は、到着後24時間以内に自身で派出所へ届け出る。
- 長期滞在者は入国後30日以内に居留許可への切り替え手続きが必要。
中国に入国した外国人は、滞在先に応じた「臨時宿泊登記(住宿登记)」を行うことが法律で義務付けられています。これは旅行者であっても例外ではありません。
ホテルに泊まる場合
外国人の受け入れが許可されているホテル、旅館などの宿泊施設では、チェックイン時にパスポートを提示すれば施設側が代行してシステムに登録してくれます。旅行者が別途派出所へ行く必要は通常ありません。
しかし、安価なビジネスホテルや民泊など、外国人非対応の施設や無人ホテルには宿泊自体を断られることがあります。予約サイトで予約できたとしても、現地で「外国人は泊まれない」と言われるトラブルがあるため、予約時に必ず「外賓(外国人)の宿泊が可能か」を確認してください。
友人宅や賃貸住宅など個人宅に滞在する場合
友人や親族の家、あるいは赴任して賃貸アパートに滞在する場合は、到着後24時間以内に、所在地を管轄する公安機関(派出所)へ出向いて手続きを行う必要があります。
地域によってはオンラインでの申告システム(WeChatのミニプログラムなど)が導入されていることもありますが、基本的には本人のパスポート、家主の身分証、賃貸契約書、住宅の権利関係が分かる資料などを持参して手続きを行います。この登記を怠ると罰則の対象となり、後述する居留許可の申請もできなくなります。
長期滞在者の居留許可への切り替え
Z(就労)、X1(長期留学)、Q1・S1(長期家族滞在)などで入国した人は、日本で取得したビザのまま長期滞在できるわけではありません。これらはあくまで「入国するため」の許可であり、入国後30日以内に「居留許可(居留许可)」へ切り替える手続きが必要です。
滞在地を管轄する公安機関の出入境管理部門で、指定病院での健康診断書、工作許可証、臨時宿泊登記の証明などを提出して申請します。居留許可が発行されると、その有効期間中は原則として複数回の出入国が自由に行えるようになります。

制度や手続きについてしっかりと理解できたところで、実際の現場で言葉の壁を乗り越えるための具体的な表現を身につけていきましょう。
入国審査や手続きで使える実践的な中国語フレーズ
- 審査官からの質問には、簡潔かつ事実通りに答えることが最も重要。
- 書類を見せながら説明できる表現を覚えておくと非常に安心。
- 宿泊登記の際にフロントや派出所で使えるフレーズも準備しておく。
空港での審査やホテルでのチェックイン、派出所での手続きは、誰もが緊張する場面です。しかし、基本となる単語と短い文型を覚えておけば、大半の確認事項にはスムーズに対応できます。
ここでは、そのまま使える実践的なフレーズを場面ごとにお伝えします。ピンイン(発音記号)を参考に、声に出して何度か練習してみてください。
入国審査:渡航目的を伝える
審査官から「来中国的目的是什么?(中国へ来た目的は何ですか?)」と聞かれた際の返答例です。
- フレーズ(観光の場合)
- 我来中国旅游。
(Wǒ lái Zhōngguó lǚyóu.) - 日本語訳
- 中国へ観光に来ました。
- 注意点・誤用例
- 出張で来たのに咄嗟に「旅游(観光)」と答えてしまうと、持参しているビジネス関係の書類と辻褄が合わなくなり、虚偽申告を疑われる原因になります。出張の場合は以下のように正確に伝えてください。
- フレーズ(出張の場合)
- 我来参加商务会议。
(Wǒ lái cānjiā shāngwù huìyì.) - 日本語訳
- 商務会議に参加するために来ました。
- 注意点・誤用例
- 商談のために来た人が、単に「我来工作(働くために来ました)」と答えると、就労ビザ(Z)が必要な活動だと誤解される恐れがあります。事実に沿って「会议(会議)」「展会(展示会)」など具体的に答えるのがコツです。
入国審査:書類を提示する
言葉で説明するのが難しい場合は、用意した紙の書類を見せながら説明するのが最も確実です。
- フレーズ
- 这是我的酒店预订单和返程机票。
(Zhè shì wǒ de jiǔdiàn yùdìngdān hé fǎnchéng jīpiào.) - 日本語訳
- こちらがホテルの予約確認書と復路の航空券です。
- 使う場面
- 滞在先や出国の予定を証明する書類の提示を求められた時。
- 発音・ニュアンス
- 「这是(Zhè shì / こちらは〜です)」という表現は非常に万能です。難しい単語が出てこなくても、「这是」と言いながら書類を指差すだけでスムーズにコミュニケーションが取れます。商用の場合は「这是邀请函(こちらが招待状です)」も役立ちます。
入国審査:滞在日数を答える
「打算停留几天?(何日間滞在する予定ですか?)」と聞かれた際の返答です。
- フレーズ
- 我打算停留五天。
(Wǒ dǎsuàn tíngliú wǔ tiān.) - 日本語訳
- 5日間滞在する予定です。
- 発音・ニュアンス
- 免除条件である30日以内に確実に出国することをアピールするために、「我三十日之前离开中国。(30日以内に中国を出国します)」と付け加えるとより安心感を与えられます。
シチュエーション会話例:ホテルでの宿泊登記
現地のホテルでチェックインと同時に宿泊登記をお願いする際の会話の流れです。
- 受付スタッフ
- 您好,办理入住吗?请出示一下护照。
(Nín hǎo, bànlǐ rùzhù ma? Qǐng chūshì yíxià hùzhào.)
(こんにちは、チェックインですか?パスポートをご提示ください。) - 旅行者
- 好的,给你。能帮我办理住宿登记吗?
(Hǎo de, gěi nǐ. Néng bāng wǒ bànlǐ zhùsù dēngjì ma?)
(はい、どうぞ。宿泊登記の手続きもお願いできますか?) - 受付スタッフ
- 没问题,我们会系统自动上传。请在这里签字。
(Méi wèntí, wǒmen huì xìtǒng zìdòng shàngchuán. Qǐng zài zhèlǐ qiānzì.)
(問題ありません、システムで自動的にアップロードされます。こちらにサインをお願いします。)
シチュエーション会話例:派出所での宿泊登記
友人宅や賃貸アパートに泊まるため、自分で派出所へ出向いた際の会話の流れです。
- 滞在者
- 你好,我想办理住宿登记。我住在朋友家。
(Nǐ hǎo, wǒ xiǎng bànlǐ zhùsù dēngjì. Wǒ zhù zài péngyǒu jiā.)
(こんにちは、宿泊登記をしたいです。友人宅に泊まっています。) - 警察官
- 好的。请出示你的护照和你朋友的身份证,还有房产证。
(Hǎo de. Qǐng chūshì nǐ de hùzhào hé nǐ péngyǒu de shēnfènzhèng, hái yǒu fángchǎnzhèng.)
(わかりました。あなたのパスポートと、友人の身分証、あと不動産の権利証を提示してください。) - 滞在者
- 都在这里,请看。
(Dōu zài zhèlǐ, qǐng kàn.)
(すべてここにあります、見てください。)
中国語は四声(声調)によって意味が全く変わってしまう言語です。独学で発音の判断が難しい場合や、さらに複雑なやり取りに備えたい場合は、ネイティブの講師と会話練習を行うのが最も近道です。
出発前の疑問をすべて解消!Q&Aセクション
- 読者から寄せられやすい具体的な疑問に対する回答をまとめた。
- 例外的なケースや注意点についても言及している。
最後に、渡航の手続きに関してよく耳にする質問とその回答をまとめました。ご自身の状況に照らし合わせて最終確認を行ってください。
30日以内の観光なら必ず入国できますか?
免除条件に合致していれば事前の申請は不要ですが、入国が完全に保証されるわけではありません。最終的な権限は入国審査官にあります。審査官から質問された際に、渡航目的や滞在先、出国予定を明確に説明できるよう、往復航空券の控えやホテルの予約確認書を必ず持参し、不審に思われないように堂々と対応してください。
出張で数日滞在する場合、手続きは不要ですか?
単なる商談、会議の参加、契約交渉、展示会の視察などであれば「商業・貿易活動」として免除の対象となり得ます。しかし、現地で機械の据え付け作業を行ったり、研修で技術指導を行ったりするなど、実務的な作業や役務提供を伴う場合は、滞在日数がたとえ2〜3日であったとしても、適切な就労・商務査証(ZやM)の取得が求められることがあります。
免除で入国後、もっと観光したいので滞在を延長できますか?
通常の観光を継続したいという個人的な理由による延長は、原則として認められません。ただし、病気やケガで入院が必要になった、あるいは天候不良による航空便の大幅な遅延や欠航が発生したなど、合理的で正当な不可抗力の事情がある場合に限り、滞在地を管轄する公安機関の出入境管理部門に停留許可を相談できるケースがあります。必ずオーバーステイになる前に手続きを行ってください。
何度もビザ免除で入国を繰り返すことは可能ですか?
制度上、年間の回数や累計滞在日数に明確な一律の上限は明記されていません。しかし、入国のたびに目的が厳しく審査されます。短期間に頻繁な往来を繰り返していると、実質的な就労や長期居住の隠れ蓑にしているのではないかと疑われ、別室で詳しい説明を求められたり、最悪の場合は入国を拒否されたりする可能性があります。
子どもが一緒に渡航する場合、別の手続きが必要ですか?
未成年者であっても、基本的な免除条件は成人と全く同様に適用されます。ただし、国際的な未成年者略取(連れ去り)を防ぐ観点から、片方の親権者のみが同行する場合や、親族ではない大人が引率して単独で渡航する場合は、航空会社や出入国審査において、同行しない親権者の同意書(英語または中国語)の提示を求められることがあります。事前に利用する航空会社へ確認してください。
代理人に申請手続きを頼むことは可能ですか?
一部の申請に関しては、旅行会社やビザ代行業者などの代理人を通じて書類を提出することが可能な場合があります。しかし、年齢(概ね14歳〜70歳)や申請内容によっては、生体認証(指紋採取)のために本人が直接窓口へ出向くことを義務付けられるケースが多くなっています。申請を検討する際は、管轄の窓口の最新の指示や代行業者の案内に従ってください。
Mビザで中国企業から給与を受け取ることはできますか?
できません。Mビザはあくまで商業・貿易活動(商談や視察など)のための区分であり、就労資格ではありません。中国国内の企業から直接給与や報酬を受け取って働く場合は、原則としてZビザを取得し、入国後に工作許可証と就労用の居留許可を取得しなければなりません。これを破ると不法就労として厳しく処罰されます。

