中国の小学校での班長選出:子供たちの競争と親の期待

  1. 中国経済・社会

小学校の一クラスに相当するのが「」です。そして学級委員長のことを「班长」と言います。いわゆる子供の社会における役職ですね。

中国の子供たちにとっては自分が、また親にとっては自分の子供がこの「班长」になれるかどうかは、大問題のようです。

中国の小学校での班長選出:子供たちの競争と親の期待

班長に立候補

班长」(bān zhǎng)に立候補することを「竞选」(jìng xuǎn)と言います。立候補者のことは「候选人」(hòu xuǎn rén)と言います。

新学期が始まると、多くの小学校でその学期の班長を決める選挙が行われます。

最近、山東省の済南市で小学校を対象に行われた調査によると、クラスの中のいろいろな係や役の中で、最も人気があったのは班長の選挙でした。

【班長は人気のある役職】

あるクラスではかなり激しい選挙戦だったようで、学校の5年生は一クラス65人中、21人が班長に立候補しました。

なんと、クラスの三分の一に当たります。立候補者は写真のようにクラスメイトの前で演説を行わなければなりません。

立候補演説

Dà jiā hǎo,wǒ jiào Yáng Xiǎo huá。Zài zhè ge qiū fēng sòng shuǎng de rì zi lǐ,

大 家 好,我 叫 扬 小 华。在 这 个 秋 风 送 爽 的 日 子 里,

hěn róng xìng jīn tiān néng zǒu shàng jiǎng tái。

很 荣 幸 今 天 能 走 上 讲 台。

皆さんこんにちは、私は揚小華と言います。さわやかな秋の風が吹く今日この日に、演台に上がる事が出来て光栄です。

これは二年生の女の子が原稿を片手に始めた演説でのあいさつの言葉です。

彼女は演説の中で自信たっぷりに自分の性格、成績、趣味に触れます。さらに、自分が当選した暁には先生の良き補佐、クラスメイトの良き友となります、と高らかに宣言します。

演説が終わってもすぐに演台から降りず、持ってきた袋の中から自分の美術の作品を二つ取り出してみんなに見せます。

このクラスで自分の作品を紹介して自己推薦をしたのは彼女だけでしたが、これがクラスメイトに受けて大喝さいを浴び、彼女は最高得票で当選したのでした。

【5年生ごろには演説の達人に】

ある子供たちは原稿を手にしながら、ある子供たちは暗記して、演説に臨みます。

言葉を忘れてしまうこともあれば、声が上ずったり、声が小さすぎて先生に指摘されたりとさまざまです。緊張のせいで頬が真っ赤になっている子供もいます。

これが五年生にもなると慣れたもので、演台に上がるとまずは全員にお辞儀をし、落ち着いて大人顔負けの演説をはじめます。

一つの中国人站は人々の前にあります。

大人の過干渉が問題に

ところが、こうした子供たちの選挙に父兄が過度に関わることが問題視されている場所もあります。

Wǒ kàn xīn wén shuō,hái zi jìng xuǎn bān zhǎng,bà mā bǐ hái zi hái jǐn zhāng,

A: 我 看 新 闻 说,孩 子 竞 选 班 长,爹 妈 比 孩 子 还 紧 张,

xiǎng chū gè zhǒng bàn fǎ wèi hái zi lā piào zhuàn rén qì,

想 出 各 种 办 法 为 孩 子 拉 票 赚 人 气,

jiā zhǎng tā men zhè me zuò,wǒ jué de bú duì。

家 长 他 们 这 么 做,我 觉 得 不 对。

ニュースで見たんだけど、子供が班長に立候補すると親の方が緊張して、ありとあらゆる方法で子供のために人気を得て、多くの票を獲得しようとするんですって。父兄のそういうやり方って、わたし間違ってると思うわ。

Wǒ tóng yì。Wǒ tīng yǒu ge mā ma xiàng nǚr shuō:

B: 我 同 意。我 听 有 个 妈 妈 向 女 儿 说 :

dāng bān zhǎng shì mā ma cóng xiǎo de xīn yuàn,xī wàng nǐ qù wán chéng。

“当 班 长 是 妈 妈 从 小 的 心 愿,希 望 你 去 完 成。”

Wǒ bù jīn yào wèn,dào dǐ shì shéi xiǎng dāng bān zhǎng ne?

我 不 禁 要 问,到 底 是 谁 想 当 班 长 呢?

私もそう思うわ。ある母親が娘に「班長になるというお母さんの子供のころからの夢をぜひあなたにかなえて欲しいわ。」と言っているのを聞いたんだけど、班長になりたいのはいったい誰よと聞かずにはいられなかったわ。

あるテレビ番組は、どうにかして子供を「班长」にしようとする父兄の工作活動を取り上げました。

  • 子供の写真にサインを入れて選挙ポスターを作る
  • クラスメイトに配るためのケーキを大量に作る
  • 親が用意した演説の内容を子供に徹夜で暗記させる
  • 演説の能力を向上させるためのセミナーに子供を通わせる
  • 学期が始まる前の休み中にクラスメイトを招いて投票してくれる事を条件にケンタッキーでごちそうする

などなど。

父兄のこうした子供に対する行き過ぎた期待は、子供自身の自尊心や成長にとって良くないと思っている先生方も少なくないようです。

それで、あえて選挙という方法ではなく、先生が順に生徒を指名し、すべての生徒がそれぞれの任期中にその責任を果たすようにしている学校やクラスもあるようです。

親の過剰な期待の原因は、一人っ子の我が子が、やがて社会に出て自立するための訓練とみなしたり、自信や自尊心を高めて欲しいという願いだったりするようですが、何とも驚かされるばかりです。

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