中国語「没有(メイヨー)」とは?意味、発音、使い方を徹底解説【初心者向け】
目次
はじめに:「没有(メイヨー)」は中国語学習の第一歩
中国語の世界へようこそ!言語学習の旅を始めると、すぐに「没有(méiyǒu / メイヨー)」という言葉に出会うはずです。この単語は、単に「ない」という意味だけでなく、所有、存在、過去の経験の否定など、驚くほど多くの場面で使われる、中国語の根幹をなす非常に重要な言葉です。この「没有」を使いこなせるかどうかは、初級レベルを突破し、より自然な中国語コミュニケーションへ進むための鍵となります。
なぜ「没有」が重要なのか?
「没有」は、英語の “no”, “not”, “don’t have”, “haven’t” といった複数の否定表現を一つでカバーできる、非常に便利な単語です。日常の買い物や食事の場面から、自分の経験を語ったり、物事を比較したりする場面まで、その用途は多岐にわたります。だからこそ、この単語の正しい発音、意味、そして使い方を初期段階でしっかりと理解することが、その後の学習をスムーズに進める上で不可欠なのです。
この記事で学べること
この記事では、中国語初心者の方でも「没有」を完全に理解し、自信を持って使えるようになることを目指します。以下の内容を、豊富な例文とともに分かりやすく解説していきます。
- 「没有」の正しい発音と声調のコツ
- 「持っていない」「存在しない」という基本的な意味と使い方
- 経験や比較など、応用的な使い方
- 最重要ポイント!「不(bù)」との明確な違いと使い分け
- 買い物、食事、自己紹介など、場面別の実践的な会話フレーズ
- 学習を深めるための発展知識と注意点
「没有(メイヨー)」の基本
まずは、すべての土台となる「没有」の基本を固めましょう。正しい発音と、その核となる意味を理解することが、応用への第一歩です。
発音と声調:正しく発音するためのポイント
中国語の発音は、ピンイン(アルファベット表記)と声調(音の高低)で決まります。「没有」をネイティブのように発音するためのコツを見ていきましょう。
音節とピンイン
「没有」は2つの漢字で構成され、ピンイン表記は méiyǒu となります。
- 没 (méi): 日本語の「メイ」に近い音です。
- 有 (yǒu): 日本語の「ヨウ」に近い音です。
声調の種類と「没有」の声調
声調は、意味を区別するための音の上げ下げです。「没有」の声調は 第二声+第三声 の組み合わせです。
- 没 (méi): 第二声 (陽平)。低い音から高い音へ、尻上がりに発音します。「え?」と聞き返す時のようなイントネーションです。
- 有 (yǒu): 第三声 (上声)。一度低い音域まで下げてから、少しだけ持ち上げるように発音します。「うん」と納得する時のようなイメージです。
ただし、第三声が連続する場合など、声調が変化するルールがありますが、「méiyǒu」の場合はそのまま第二声+第三声で発音します。

第二声(上がる音)と第三声(下がって上がる音)を意識して発音しましょう。
発音の注意点と練習方法
初心者がつまずきやすいのは、声調を大げさに発音することをためらってしまう点です。最初は恥ずかしがらず、音の上がり下がりをはっきりと意識して練習しましょう。スマートフォンの音声録音機能を使って自分の発音を聞き返したり、オンラインの辞書サイトでネイティブの発音を繰り返し聞いたりするのが効果的です。
基本的な意味:「持っていない」「~がない」
「没有」の最も中心的で分かりやすい意味は、所有や存在の否定です。人や物が「ない」こと、「持っていない」ことを表します。
名詞を否定する使い方
文の構造は非常にシンプルで、主語 + 没有 + 名詞
の形になります。
例文:
- 我 没有 钱。(Wǒ méiyǒu qián.) – 私はお金を持っていません。
- 桌子上 没有 书。(Zhuōzi shang méiyǒu shū.) – 机の上に本はありません。
- 我们公司 没有 食堂。(Wǒmen gōngsī méiyǒu shítáng.) – 私たちの会社には食堂がありません。
動詞の存在や発生を否定する使い方
「没有」は、ある動作が過去に行われなかったこと、完了していないことを示すためにも使われます。これは「~しなかった」「~していない」という意味になります。
この場合の構造は 主語 + 没有 + 動詞 (+ 目的語)
となります。
例文:
- 他昨天 没有 来上班。(Tā zuótiān méiyǒu lái shàngbān.) – 彼は昨日、出勤しませんでした。
- 我 没有 吃饭。(Wǒ méiyǒu chīfàn.) – 私はご飯を食べていません。
重要なのは、これは過去の事実についての否定であるという点です。未来や習慣の否定には使われません。
「没有(メイヨー)」を使った様々な表現
基本を理解したところで、次は「没有」が持つ豊かな表現の世界を探検しましょう。様々な文脈で使われる「没有」は、あなたの中国語をよりネイティブらしくしてくれます。
経験や動作の否定:「~したことがない」
過去の経験の有無を語ることは、会話の定番です。「~したことがある」は動詞の後に「过 (guò)」をつけますが、その否定形が 没有 + 動詞 + 过
です。
例文:
- 我 没有 去过 中国。(Wǒ méiyǒu qùguo Zhōngguó.) – 私は中国へ行ったことがありません。
- 你 没有 看过 这部电影吗?(Nǐ méiyǒu kànguo zhè bù diànyǐng ma?) – あなたはこの映画を観たことがないのですか?
- 她 没有 吃过 纳豆。(Tā méiyǒu chīguo nàdòu.) – 彼女は納豆を食べたことがありません。
この「过 (guò)」を伴う形は非常に頻繁に使われるので、セットで覚えてしまいましょう。
比較における否定:「~ほど…ではない」
二つのものを比べて、「AはBほど~ではない」と言いたい時にも「没有」が活躍します。基本的な形は A + 没有 + B + 形容詞
となります。
例文:
- 今天 没有 昨天 热。(Jīntiān méiyǒu zuótiān rè.) – 今日は昨日ほど暑くない。
- 哥哥 没有 弟弟 高。(Gēge méiyǒu dìdi gāo.) – 兄は弟ほど背が高くない。
- 这台电脑 没有 那台 贵。(Zhè tái diànnǎo méiyǒu nà tái guì.) – このパソコンはあのパソコンほど高くない。
「AはBより優れていない」というニュアンスで、人や物のレベルや程度を比較する際に非常に便利な表現です。
「不(bù)」との違い:否定の使い分け
ここが中国語学習における最大の山場の一つです。もう一つの否定詞「不 (bù / ブー)」と「没有」の使い分け。これを制する者は、中国語の否定表現を制します。違いを明確に理解しましょう。

「没有」と「不」の使い分けは、否定する内容の「時点」と「性質」で考えよう。
「没有」と「不」の基本的な違い
一言で言うと、その違いは「客観的な事実の否定」か「主観的な意志や習慣の否定」かにあります。
没有 (méiyǒu) | 不 (bù) | |
---|---|---|
主な役割 | 存在・所有・過去の事実の否定 (~がない、~しなかった) |
意志・習慣・未来・性質の否定 (~しない、~ではない) |
否定する時点 | 過去・現在完了 | 現在・未来 |
否定できる品詞 | 動詞「有」、動詞(過去形) | 動詞、形容詞、副詞、助動詞 |
具体的なケースで比較
言葉で説明されてもピンとこないかもしれません。具体的な動詞「去 (qù) – 行く」を使って比較してみましょう。
- 我昨天没有去学校。 (Wǒ zuótiān méiyǒu qù xuéxiào.)
→ 昨日、学校に行かなかった。(過去の事実の否定) - 我今天不去学校。 (Wǒ jīntiān bù qù xuéxiào.)
→ 今日、学校に行かない。(現在の意志・未来の予定の否定)
形容詞を否定する場合は、原則として「不」を使います。
- ⭕ 正:这个 不 贵。(Zhège bù guì.) – これは高くない。
- ❌ 誤:这个 没有 贵。
迷いやすいポイントと判断基準
迷ったときは、「『有 (yǒu)』の否定は絶対に『没有』」という大原則を思い出してください。そして、「過去のことか?未来や習慣のことか?」と自問自答してみましょう。
- 「お金がある(有钱)」の否定は? →「没有钱」
- 「昨日食べた」の否定は? →「昨天没有吃」(過去)
- 「(普段)肉は食べない」の否定は? →「我不吃肉」(習慣)
- 「明日は行かない」の否定は? →「明天不去」(未来)
日常会話で役立つ「没有(メイヨー)」の例文
理論は完璧でも、使えなければ意味がありません。ここからは、具体的な場面を想定して、「没有」を使った実践的なフレーズをたくさんご紹介します。どんどん声に出して練習してみましょう!
買い物で

お店でのコミュニケーションに「没有」は必須です。
お店で在庫を確認したり、欲しいものがないことを伝えたりする際に頻繁に使います。
- A: 请问,有这个大一号的吗? (Qǐngwèn, yǒu zhège dà yí hào de ma?)
すみません、これのLサイズはありますか? - B: 对不起,没有了。(Duìbuqǐ, méiyǒu le.)
申し訳ありません、もうありません。(売り切れました)
- A: 你想买什么? (Nǐ xiǎng mǎi shénme?)
何を買いたいの? - B: 我也没有想好。(Wǒ yě méiyǒu xiǎng hǎo.)
私もまだ決めていません。
食事の場面で
レストランで注文したり、好き嫌いを伝えたりする際にも役立ちます。
- A: 你吃早饭了吗? (Nǐ chī zǎofàn le ma?)
朝ごはん食べましたか? - B: 还没有呢。(Hái méiyǒu ne.)
まだなんですよ。
- (注文の際に) 这个菜里没有放香菜吧? (Zhège cài lǐ méiyǒu fàng xiāngcài ba?)
この料理にパクチーは入っていませんよね?
自己紹介・雑談で
自分の経験や状況を説明するのに使えます。
- 我没有兄弟姐妹。(Wǒ méiyǒu xiōngdì jiěmèi.)
私には兄弟姉妹がいません。 - 我没有去过国外旅行。(Wǒ méiyǒu qùguo guówài lǚxíng.)
海外旅行に行ったことがありません。 - 他说话我没有听懂。(Tā shuōhuà wǒ méiyǒu tīng dǒng.)
彼が言ったことを私は聞き取れませんでした。
「没有(メイヨー)」をさらに理解するための発展
基本的な使い方に慣れてきたら、もう少しステップアップしてみましょう。「没有」に関連する便利な表現を知ることで、より細やかなニュアンスを伝えられるようになります。
便利な派生フレーズ
「没有」を使った、決まり文句としてよく使われるフレーズがあります。
-
没办法 (méiyǒu bànfǎ)
「仕方がない」「どうしようもない」という意味。手の打ちようがない状況で使います。
例:雨下得太大了,没办法出门。(Yǔ xià de tài dà le, méiyǒu bànfǎ chūmén.) – 雨がひどすぎて、出かけるのは無理だ(仕方ない)。 -
没关系 (méi guānxi)
「大丈夫です」「気にしないで」という意味。謝られた時や、問題がないことを伝える時に使います。「不客气 (bú kèqi)」と似ていますが、「没关系」はより広い意味で使えます。
例:A: 对不起!(Duìbuqǐ!) – ごめんなさい! B: 没关系。(Méi guānxi.) – 大丈夫ですよ。 -
没什么 (méi shénme)
「どういたしまして」「大したことないよ」「特に何もない」など、文脈によって様々な意味になります。謙遜したり、軽く受け流したりする際に便利です。
例:A: 谢谢你!(Xièxie nǐ!) – ありがとう! B: 没什么。(Méi shénme.) – どういたしまして。
口語での省略形「没 (méi)」
日常のカジュアルな会話では、「没有」の「有」が省略されて「没 (méi)」だけで使われることが非常に多いです。意味は「没有」と全く同じです。
例文:
- 你吃饭了没? (Nǐ chīfàn le méi?) – ご飯食べた? (吗 の代わりに文末で使う)
- 我没钱。(Wǒ méi qián.) – お金ないんだ。
- 他没来。(Tā méi lái.) – 彼、来なかったよ。
最初は「没有」としっかり発音し、慣れてきたらこの省略形「没」も使ってみると、より自然に聞こえます。
まとめ:「没有(メイヨー)」をマスターして中国語会話を楽しもう
今回は、中国語の最重要否定詞「没有」について、その発音、基本的な意味、応用的な使い方、そして「不」との違いまで、徹底的に解説しました。最後に、重要なポイントをもう一度おさらいしましょう。
- 「没有」は所有・存在・過去の事実を否定する。
- 「不」は意志・習慣・未来・性質を否定する。
- 「~したことがない」という経験の否定は「没有 + 動詞 + 过」。
- 「AはBほど~ない」という比較の否定は「A + 没有 + B + 形容詞」。
- 口語では「没」と省略されることも多い。
「没有」は、使えば使うほどその便利さと奥深さが分かってくる単語です。最初は間違えても構いません。この記事で学んだたくさんの例文を何度も音読し、実際の会話で積極的に使ってみてください。一つ一つの成功体験が、あなたの中国語学習への自信と楽しさにつながっていくはずです。