中国豆腐の全て:種類、加工品、そしてその独特の「臭豆腐」 

  1. 中国語講座

皆さんは豆腐はお好きですか?栄養価が高いのに安くて美味しい。日本食を語るにあたって豆腐はなくてはならない存在です。中国にも豆腐は存在していて、色々な種類の豆腐があります。

今回は中国豆腐、そしてその独特の臭いについて紹介します

中国豆腐の全て:種類、加工品、そしてその独特の「臭豆腐」 

中国人に愛される豆腐

学生食堂のメニューから家庭料理、さらには高級料理に至るまで、豆腐は中国料理において欠かせない食材の一つです。

一般的な豆腐以外に、加工された豆腐食材の種類も豊富でいろいろなものがあります。中にはすごく臭いのにみんなから愛されている豆腐もあります。

日本同様とても安く購入できる食材なので、中国でも豆腐は多くの人から愛されている食材です。ところで、皆さんは豆腐の発祥地がどこであるかご存じでしたか?

豆腐の起源

豆腐発祥の地は中国です。 日本には奈良時代に伝わったとされ、庶民が口にするようになったのは江戸時代です。 天明2年(1782年)に「豆腐百珍」という豆腐料理の本が爆発的な人気を呼んだころには全国各地で豆腐が食されるようになっていました。

豆腐は大豆をすりつぶし、搾った豆乳に凝固剤(にがりなど)を加えて固めたものです。沸騰させた豆乳「豆浆」(dòu jiāng)に、海水やにがり「盐卤」(yánlǔ)を入れて凝固させる製法は日本と同じです。

中国の一般的な豆腐は日本のものよりも硬めで水分が少ないのが特徴です。炒め料理によく用いられることから、沖縄の豆腐に近いともいわれています。いわゆる豆腐チャンプルーのようなイメージですね。

豆腐の発祥

中国豆腐の種類

中国豆腐の種類:北豆腐

北豆腐(běi dòu fǔ)

少し黄色くて、硬さ、弾力性、粘りの強いのが「北豆腐」または「老豆腐」(lǎo dòu fǔ)とも呼ばれる豆腐で、中国北部でよく見られます。

水切りして薄く切った北豆腐を油で揚げて、いなり寿司の皮にするための甘揚げを作ってみるとよくわかるのですが、日本の豆腐よりも組織が大きく、大きな気泡が中にできてしまうのが難点です。

中国豆腐の種類:嫩豆腐

 嫩豆腐(nèn dòu fǔ)

嫩豆腐」は「软豆腐」(ruǎn dòu fǔ)とも呼ばれ、にがりの代わりに石膏を入れることできめがより細かくなり、滑らかな舌触りが特徴の豆腐です。

また色が白いのも特徴です。名前の通り柔らかく日本の豆腐に幾分似た感じで、麻婆豆腐や鍋に入れるのに適しています。

中国豆腐の種類:冻豆腐

冻豆腐(dòng dòu fǔ)

北豆腐もしくは嫩豆腐を適当な大きさに切り、塩を少し入れた鍋で水から煮て、沸騰したら1分で冷水に取り出します。水を切った豆腐を密封した袋に入れて冷凍庫で凍らせれば出来上がりです。解凍してから水を切り、鍋に入れたり、油で炒めた後含め煮にしたりします。

古来北方人は冻豆腐を解凍後、水分を1%以下にまで乾燥させて保存食としていたようですが、これは「海绵豆腐」(hǎi mián dòu fǔ)と呼ばれ、いわゆる日本の高野豆腐に似ているようです。

中国豆腐の種類:豆腐干

豆腐干(dòu fu gān)

またの呼び名を「豆干」(dòu gān)ともいう豆腐の加工食品です。豆腐を作る工程までは同じですが、厚みはより薄く、水分はより少なく硬めに仕上げます。続いてそれを塩水の中に半日ほど漬けこみ、浸透圧でさらに水分を減らします。

その後、塩・ウイキョウ・花椒・八角・干したショウガ・桂皮・醤油などで味付けされたタレと共に鍋に入れ30分ほど煮詰めていきます。布に包んで蒸すという製法もあるようです。

香りがよく程よい味がついており、日持ちする上にそのまま食べる事ができるので、旅行などに携帯するのに便利だと重宝されています。冷製おかずの食材としても好まれ、炒め物にも適しています。

中国豆腐の種類:豆腐皮

豆腐皮(dòu fu pí)

中国各地で呼び名がさまざまあり、いろいろな料理に使えて便利な食材が「豆腐皮」です。「油皮」(yóu pí)、「腐竹」(fǔ zhú)、「豆腐衣」(dòu fu yī)、「豆笋」(dòu sǔn)とも呼ばれます。

大まかに分けて二つの製造方法があります。その一つは日本の湯葉のように、豆乳を煮て沸騰させた際に表面にできた膜をすくい取り、乾かして作る方法です。

中国豆腐の種類:干豆腐

干豆腐(gān dòu fǔ)

もう一つは豆腐に圧力をかけて作ります。明らかに「油皮」より厚みがあり、薄い「豆腐干」のような感じですが、水分が少なく塩味を加えているので、豆腐とは味が異なります。「千张」(qiān zhang)、「干豆腐」(gān dòu fǔ)とも呼ばれます。

北方ではこれをくるくると巻いて串に刺したものをバーベキューのように焼いて食べさせる屋台があります。また千切りにした豆腐皮は寄せ鍋「火锅」(huǒ guō)の具材の定番です。

豆腐の種類をチェックしてみよう

今度中国料理を食べる際には、どの種類の豆腐が食材として使われているのかチェックしてみると面白いかもしれませんね。中国と日本で共通する習慣の一つが豆腐を食べることです。中国のスーパーでも豆腐は必ず売っており、自家製豆腐を作って街角で売っている人も見かけます。

中国の豆腐にもいわゆる「木綿」や「ソフト」があります。しかし中国豆腐は全体的に硬く、日本の木綿豆腐は中国のソフト豆腐といった感じで、食べ応えは十分です。

中国豆腐を外で買って家で食べたいとき、豆腐のお値段は3元~4元(60円~80円)が相場です。ほとんどの都市のバスに2元(40円)で乗れることを考えるとちょっと高い感じがしますね。

しかし外食で中国豆腐を食べるのはとてもリーズナブル「划算」(huá suàn)です。庶民の定食屋には「豆花套餐」(dòu huā tào cān)という定食があります。

手作り豆腐を山椒「花椒」(huā jiāo)のタレにつけてオカズにし、ご飯は食べ放題です。それでいて値段は5~8元(100~160円)なので好評です。お金がない時などに重宝します。

中国豆腐の作り方ですが、大豆「大豆」(dà dòu)とにがり「卤水」(lǔ shuǐ)を使うというもので、基本的な作り方は日本と全く同じです。

中国の臭豆腐

中国で最も独特な「臭豆腐」

中国には世界的にとても有名な豆腐があり、それが「臭豆腐」(chòu dòu fu)。読んで字の如くとても強烈な匂いがして、臭いことで有名な豆腐です。

臭豆腐とは

臭豆腐とは、植物性の発酵液につけた豆腐を揚げたり蒸したりしたもので、中国湖南省が発祥です。そのため臭豆腐のお店の看板には「湖南臭豆腐」(hú nán chòu dòu fu)と銘打ったものが数多く見られます。

臭豆腐は中国大陸だけでなく香港、台湾でも食べられています。台湾には第2次世界大戦後、上海からの移民によってもたらされました。
 

臭豆腐の臭いの元となる発酵液は野菜や塩、豆腐などから作ります。魚介類や動物性たんぱく質を加えるところもあります。

この発酵液がおいしさを決める最大のポイントで、お店によってさまざまなレシピがありますが、基本的には半年ほど寝かせた発酵液に豆腐を入れ臭いをつけます。発酵液につける時間が長いほど臭い臭豆腐になります。

臭豆腐を作るのにはかなりの手間ひまを要するため、わざわざ家庭で作ることはほとんどなく、多くの人が専門の屋台やレストランで食べます。

臭豆腐の特徴は何といっても独特の発酵臭にあります。臭いの元を化学的に分析すると「インドール」という化学成分で、なんと、糞尿臭・大便臭・おならなどに見られます。

電車が止まるほどの臭さ

臭豆腐がどのくらい臭いのかを物語るエピソードがあります。

2016年2月7日、日本の三重県桑名市と愛知県名古屋市を結ぶJR関西線の普通列車が愛知県弥富駅に停車中に、乗客から「車内がアンモニア臭い」と報告があり、すぐに20人の乗客全員を同駅に降ろしました。

駅構内の異臭であれば、テロ行為の可能性もあります。事態を重視した愛知県警の指示により消防員が出動し、防護服に身を包んで現場に乗り込みました。

しかし結果として発見された異臭元はなんと「臭豆腐」!消防員が駅のごみ箱の中から臭豆腐のパッケージを見つけ、列車の1両目後方の座席と床にも液体の一部がこぼれているのが発見されました。

この影響により電車の運行を約2時間見合わせることになったのです。

このニュースは中国でも報道されており、中国の検索エンジンサイトの百度で「日本臭豆腐事件」(rì běn chòu dòu fu shì jiàn)と検索すると、そのニュースについての中国語の記事を読むことができます。

「日本臭豆腐事件」に対する世間の反応

このニュースに関してはネットユーザーの間で様々な反応が見られます。

中国に住むある日本人ネットユーザー:

nǐ men jué dé rì běn rén tài shén jīng zhì? 

你们觉得日本人太神经质?

日本人が神経質すぎるなんて思わないでください。

 

bié wù huì ~wǒ men zhǐ shì bù xí guàn chòu dòu fu de wèi dào. 

别误会~我们只是不习惯臭豆腐的味道。

臭豆腐の独特のにおいに慣れてないだけなんです。誤解しないでください~

 

dà jiā hái yǐ wéi nà shì shén me wéi xiǎn de dōng xī…… 

大家还以为那是什么危险的东西……

きっと何か危険な物質なのかと思ったんです……

このように苦笑交じりのコメントを残していました。確かに日本では臭豆腐は一般に知られておらず、日本人はその匂いに慣れていません。

中国人のネットユーザーからも様々なコメントが寄せられていました。

wǒ pèng dào chī chòu dòu fu de rén hé mài chòu dòu fu dì dì fāng, dōu shì rào zhe zǒu. 

我碰到吃臭豆腐的人和卖臭豆腐的地方,都是绕着走。

私は臭豆腐を食べている人と臭豆腐を売っている場所はすべて避けるようにしているよ。

このように臭豆腐の匂いが好きになれないという意見もあれば、

zài rì běn dì tiě tóu fàng dú qì de yīn yǐng xiàn zài yī rán zài rì běn mín zhòng de xīn lǐ. 

在日本地铁投放毒气的阴影现在依然在日本民众的心里。

日本人の心に地下鉄サリン事件の時のトラウマが依然として深く残っているのだろう。

こうした電車内での日本人の行動を冷静に分析しているコメントも寄せられています。

臭い食べ物

臭豆腐を世界の臭い食べ物と比較

このように日本で匂いの強烈さを印象づけた臭豆腐ですが、世界の有名な臭い食べ物と比較した場合、一体どのぐらい強烈な匂いなのでしょうか?

皆さんは、世界の臭い食べ物ランキングというものがあるのをご存知でしょうか?臭いの強さを測る機械によって、その臭いレベルを測定して数値化し、ランキングしたものです。数値はアラバスター単位=Auというので表されています。

このランキングで世界で最も臭い食べ物として認定されたのは「シュールストレミング」で、数値は8070Auでした。


では、中国の臭豆腐と、多くの外国人から臭くて食べられないと言われてしまう日本の食べ物のランクは何位でしょうか?

  • 5位:くさや(焼き立て) 1267Au
  • 6位:鮒鮨 486Au
  • 7位:納豆 452Au
  • 8位:くさや(焼く前) 447Au
  • 9位:沢庵の古漬け 430Au

そして注目の「臭豆腐」に関しては420Auで10位という結果でした。

臭い食べ物の話題

こうして見てみますと、日本にも臭い食べ物はたくさんあるんですね。列車の運行を止めてしまうほど臭いといわれた臭豆腐ですが、臭いレベル(Au)で数値化すると納豆以下になります。

中国にはどんな臭い食べ物があるのか、日本にはどんな臭い食べ物あるのか、異文化交流においてこうした話題はとても盛り上がりやすいものです。

臭豆腐を食べたことがある方でしたらその感想を伝えることができますし、食べたことがなければ相手に感想を聞いてみると、面白いように会話が弾みます。

日本にどんな臭い食べ物があるのかを説明できるようにしておくと、より楽しく会話できるでしょう。

まとめ

今回は豆腐について紹介しました。豆腐は中国が発祥で、中国から日本に伝わってきた食べ物です。

豆腐は日本人とっても、中国人にとっても、とても大切な食べ物です。日本の豆腐と中国の豆腐の違いをよく理解しておくと、中国の方と楽しく会話することができます。

臭豆腐の話題も大変盛り上がります。機会があればぜひ食べてみてください。


使える中国語をカフェで習得
何度でも聞ける1対1レッスンはコスパ最強
【先生を選んで、無料体験する!】

開く

この記事を読んだ方はこんな記事も読んでいます