中国語の魅力を深掘り!五字から九字までの成语の世界

    1. 中国語講座

    中国語には5万を超える「成语」があるといわれています。そのうち四字熟語格式のものは約96%ですが、更に三字、五字、七字以上の「成语」もあります。

    中国語の学習を始めた人であっても、成語の意味をざっと理解しておくだけで多くのメリットがあります。

    五字から九字まで中国語成语の世界

    成語を学習するメリット

    「中国語のことわざ、慣用句、四字熟語を覚える」そう考えるだけで拒否反応を示してしまう人も多いかもしれません。

    成語の学習は、普通の単語に比べて覚えるのに時間がかかります。一説には3倍くらい余分に労力がかかるともいわれています。そのため、多くの中国語学習者は「とりあえず、後回しにしておこう」と思ってしまいがちです。

    中国語中級レベルくらいまでならそれでも問題ありませんが、さらに上を目指そうとしたら成語はとても大切です。成語を覚えるのは確かに大変ですが、その労力をはるかに上回るメリットがあるのです。

    ネイティブレベルのリスニング力には不可欠

    中国のニュースや討論番組など、程度の高い会話では成語がよく使われます。これらの内容は中国人が中国人に対して情報を提供するもので、言語の能力的には非常に高いレベルのものです。

    これが中国の人と中国語を勉強している外国人の会話であれば、相手側が外国人の中国のレベルに合わせて、ある程度加減をして話してくれます。外国人が聞き取れるような中国語にレベルを下げてくれているのです。

    しかし上に挙げたようなニュースや討論番組では、そうした外国人に対して配慮する必要が一切ないため、使われる中国語のレベルが非常に高くなっています。

    中国人と会話ができるようになった人でも、こうした番組の中国語はあまりよく聞き取れないということもよく耳にします。こうしたネイティブレベルの中国語についていくことができて、初めて中国語のレベルがエキスパートであるということができます。

    中国語を深いレベルで理解するためには、成語の学習は必須です。逆に成語を十分に理解できていないと、毎回成語が出てくるたびに聞き取ることができないため、理解が制限されてしまいます。

    ネイティブから信頼を得られる

    成語が理解できるかどうかは、その人の中国語のレベルを図る一つの試金石です。もし「この人は中国語の成語が理解できる」と相手に判断してもらえれば、次からは遠慮なくネイティブに話すかのように、私たちに話しかけてくれるようになります。

    そうなると、中国人が用いる中国語をたくさん聞くことができ、中国の会話のレベルをさらに高いものを引き上げることができます。

    漢字に対する理解が深まる

    成語を勉強すると、漢字そのものに対する理解が飛躍的に深まります。

    漢字という文字は非常に独特で、1つの文字にたくさんの意味を込めることができます。例えば1冊の本を日本語と中国語で印刷して出版するとします。全く同じ内容であったとしても、中国語の方がはるかに文字数が少なくなります。

    それは中国語は全てが漢字表記で、1つの漢字で多くの意味を表すことができるので、少ない文字数で十分に意味を伝えることができるからです。

    成語に用いられている漢字1つ1つの中にも、非常にたくさんの意味が含まれており、成語を理解することで、それらの漢字に対する理解を深めることができます。逆に言えば、成語を学習することは、漢字の意味を深く理解するための近道とも言えます。

    当然ですが、中国語という言語が漢字表記である以上、漢字に対する理解が深まれば深まるほど、中国のレベルは上達します。

    間違った勉強法

    成語の学習するときのNG

    成語の学習するときにしてはいけないことがあります。それは「ただ丸暗記しようとする」ことです。

    上でも述べたように成語を勉強するという事は、漢字を勉強することでもあります。また、成語には中国の歴史上の出来事をもとに作られたものもたくさんあります。

    成語を理解する過程において中国の文化、歴史、漢字の全てを一気に理解することができるわけです。「成語=文化+歴史+漢字」こうして考えると、非常に効率の良い学習方法ということができるでしょう。

    せっかくこうした素晴らしい勉強方法があるのですから、意味を十分に考えず、丸暗記する事は非常にもったいない行為なのです。

    ではどんな熟語用法があるのでしょうか?ここからは、5文字以上の成語にスポットを当てて紹介していきます。

    中国語中級者以上の方にはぜひ見ていただきたい内容ですが、中国語の学習を始めたばかりの人でも、成語の意味や背景となっているストーリーを知るだけで非常に勉強になります。ぜひ、一度は目で追うようにしてみて下さい。

    成語の世界

    五字熟語:「欲速则不达」の意味と使い方

    まず五字熟語から見てみましょう。

    欲 速 则 不 达

    yù sù zé bù dá

    「急いては事をし損じる」の元になっている成語です。中国での代表的な活用例としては、道路交通法を顧みないドライバーへの警告があります。

    yù sù zé bù dá,zhè jù huà yòng zài kāi chē shàng zuì shì hé bu guò,

    欲 速 则 不 达,这 句 话 用 在 开 车 上 最 适 合 不 过,

    急いては事をし損じる、この句は車の運転において用いるのが最もふさわしい。

    六字熟語:「有眼不识泰山」の背景と現代での使い方

    次に挙げる六字熟語には、中国の昔話がそのまま含まれています。

    yǒu yǎn bù shí tài shān

    有 眼 不 识 泰 山

    重視すべき人または尊敬すべき人を見損なう

    この語は、本当は目の前に有名な人物がいたのに気付かなかったことから、自分の見識が大変狭かったことを表すために用いられます。

    この句で用いられている「泰山」(tàishān)は山東省の有名な泰山の事ではなく、古代のある人物の名前です。

    多くの徒弟を持っていた「鲁班」(lǔ bān)という大変に腕のいい竹工芸職人がいました。彼はあまりに徒弟が多いため、自分の名声を守るために時々彼らを試してはある者たちを淘汰していました。見た所、愚か者に見えた「泰山」もクビにされた一人でした。

    さて何年も経ったある日、「鲁班」は街を歩いていた際に、素晴らしい出来栄えの竹製品を揃え、多くの客に喜ばれている店を見つけました。その出来栄えは本当に素晴らしかったので、「鲁班」は「いったいどんな人物がこれらを作っているのだろう?」と言いますと、そばにいた人が言いました。

    「これはあなたのお弟子さんだった泰山が作ったものですよ。」

    中国の恋人

    七字熟語:「情人眼里出西施」の由来と日常での活用

    qíng rén yǎn lǐ chū xī shī

    情 人 眼 里 出 西 施

    ほれた人の目には西施(せいし)に見える

    西施」(xī shī)は中国古代四大美女の一人で、春秋時代の末期、越国の人です。その美しさに川を泳ぐ魚までが恥ずかしがって川の底に潜ってしまったといわれています。この語は、愛し合う男女間で用いられます。

    xiǎo lì ài fā pí qi,yòu bú piào liang,nǎ li kàn de shàng xiǎo lǐ ne?

    A:晓 丽 爱 发 脾 气,又 不 漂 亮,哪 里 看 得 上 小 李 呢?

    晓丽はかんしゃく持ちの性格だし、美人でもないのに、小李はどこが気に入ったのかしらね?

    zhè méi yǒu shén me qí guài de,gǔ rén yuē,qíng rén yǎn lǐ chū xī shī。

    B:这 没 有 什 么 奇 怪 的,古 人 曰,情 人 眼 里 出 西 施。

    何も不思議なことはないよ、昔から言うじゃないか、「あばたもえくぼ」ってね。

    八字熟語:「三十六计,走为上计」の背景と現代での使用

    八字熟語は二つの四字熟語を用いて表現されるものが多く、音のリズムがとても良いものが多いです。

    sān shi liù jì, zǒu wéi shàng jì

    三十六计,走为上计

    どうしようもなくなれば逃げ出すのが最上の方法である

    中国には古来より、兵法が語り継がれています。そして勝負にあたって取るべき作戦の定石を「九九(くく)」のように暗記するため、「六六」36個にまとめられました。

    「兵法三十六計」は人間関係のかけひきのテクニック集であり、日常の知恵として役立つため、現在でも中国の方達に参考にされているようです。

    九字熟語:「冰冻三尺,非一日之寒」の意味とその背景

    中国語には、九字熟語も存在します。

    bīng dòng sān chǐ,fēi yí rì zhī hán

    冰 冻 三 尺,非 一 日 之 寒

    3尺にも達する厚い氷は1日の寒さでできたものではない

    中国の北方では、冬になると氷点下30度以下になる街があります。当然、川も池も凍り、スケートをして遊ぶ人がいるほどになります。それでこの語は北方のものだと分かります。

    「三尺(約114cm)にも達する厚い氷は一日の寒さでできたものではない」という直接的な意味がありますが、転じてどんな事柄も長期的な何らかの原因があって起こったのであり、何の原因もなく突然起きたわけではないことを表します。

    とはいえ、あまり良い意味では用いられません。新聞では「最近の不況は今に始まった問題ではない」とか、「官僚の汚職や腐敗は明るみになるまでにそれなりの時間と原因がある」といったことを表現する際にこの句を用いることがよくあります。

    成語の使われ方

    成語を使って中国語上級者へのステップアップ

    このように成語は中国語だけでなく、中国の歴史や、一般民衆の生活や考え方などを知って初めて深く理解できるものです。

    そして中国人は会話の中で「成語」をよく使います。新聞記事の見出しやその文章の中には「成语」(chéngyǔ)つまり四字熟語もしくは四字以上の熟語がよく用いられています。

    どのような「成语」が使われているかで、時代や中国人の生活の変化を感じる事ができます。

    現代のニュースでの成语の使い方

    中国では大都市のみならず、各地で高層ビルや高層マンションの建設ラッシュが進んでいます。おから工事や違法建設を表現するのによく用いられているのが「空中楼阁」 (kōng zhōng lóu gé)という「成语」です。

    この語を使った新聞記事の幾つかを見てみましょう。

    lù tiān xuán kōng yáng tái biàn zhù fáng,rú  cǐ “kōng  zhōng  lóu  gé” shǔ  wéi  jiàn

    露 天 悬 空 阳 台 变 住 房,如 此 “空 中 楼 阁” 属 违 建

    空中に張り出したバルコニーを居住スペースに変えてしまう、こうした空中楼閣は違法建築です。

    guī huà liù céng gài le shí jiǔ céng,xìn yáng shì mín wù mǎi “kōng zhōng lóu gé”nán rù zhù

    规 划 6 层 盖 了 19 层,信 阳 市 民 误 买 “空 中 楼 阁” 难 入 住

    計画では6階建てなのに19階建てを建設。騙されて買わされた信陽市民はこの空中楼閣に入居できず。

    さて、この二つの記事で使われていた「空中楼阁」には由来となる古代のエピソードがあります。

    「空中楼阁」の由来

    たいそう愚かな金持ちがおりました。ある日、友人宅を訪れますと、その屋敷は空中に突き出た三階建てで、何とも美しい景観です。

    彼はそれを大層羨ましく思い、自分のためにも同じような建物を建ててくれるよう、当の三階建の屋敷を建てた大工を雇いました。

    大工が一階、二階から建て始めているのを見て金持ちは言いました。「うちに一階と二階はいらない、空中に突き出た三階だけを建ててくれ。」

    「空中楼阁」の意味と使われ方

    この話からわかるように「空中楼阁」の本来の意味は「空中に造られた楼閣」、もしくは「蜃気楼」ですが、「実際には空想上の事物、現実味のない理論や計画」を比喩するためにもよく使われるのです。

    nǐ suǒ miáo huì de dōng xi,zài wǒ kàn lái shì kōng zhōng lóu gé,gēn běn bù cún zài。

    你 所 描 绘 的 东 西,在 我 看 来 是 空 中 楼 阁, 根 本 不 存 在。

    君が絵に描くものは僕の見るところ、実際には全く存在しない空想上のものだね。

    tā zhōng yú míng bái le,zì jǐ guò qù suǒ zhuī qiú de dōng xi,

    他 终 于 明 白 了,自 己 过 去 所 追 求 的 东 西,

    彼は自分がこれまでずっと追い続けてきたものが、

    shí jì shàng shì kōng zhōng lóu gé,jué bù kě néng shí xiàn de。

    实 际 上 是 空 中 楼 阁,绝 不 可 能 实 现 的。

    実際には架空の理論上のものであり、決して実現しえないものであることに遂に気がついた。

    まとめ

    今回は中国語の成語について紹介しました。成語には、理解するために費やす労力を補って余りあるほどのメリットがあります。

    中国語をより深く理解するためにも、是非意識的に理解するようにしてみてください。そうすることで、中国語に対する造詣がより深くなることでしょう。

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