中国で話してはいけない? タブーとされる3つの話題とその背景

    1. 中国歴史・民族

    どの国でも触れてはいけない話題、つまり「タブー」が存在します。

    例えば、中国では初対面の相手にお給料がいくらなのか聞くのは当たり前ですが、日本ではタブーされていますよね。同じように中国でもタブーとされている話題があります。

    中国で話してはいけない? タブーとされる3つの話題

    中国のタブーとは?

    中国で特に敏感なテーマとして扱われているのが「政治」と「戦争の歴史」と「宗教」についてです。

    中国社会での暗黙の了解とされている話題でもあるため、中国人にとっては一般的な規範であり日本人のわたしたちにはあまり慣れない習慣かもしれません。

    zhèngzhì yǒuguān de huàtí

    政治有关的话题

    政治の話題

    yǐqián de zhànzhēng yǒuguān de huàtí

    以前的战争有关的话题

    以前の戦争の話題

    zōngjiào yǒuguān de huàtí

    宗教有关的话题

    宗教の話題

    中国の共産党

    政治の話題:中国での敏感なテーマ

    中国における政治についての話題は、非常に敏感であり慎重に扱われることが一般的です。

    これは中国政府の強力な統制と監視によるものであり、特に公然と政府に批判的な意見を表明することは厳しく制限されていることを覚えておきましょう。

    共産党の批判とそのリスク

    中国共産党は自分たちを批判する行為を厳しく取り締まっています。共産党に対する批判は「政治的安定を乱す行為」と見なされ、個人や団体が抑圧や迫害を受ける可能性も少なくありません。

    中国では「対外敵対行為」として共産党に対する批判を取り締まる法律が存在します。このような法律を利用して、政府は批判的な意見を持つ個人や団体を法的に追求することが可能となっています。

    こうした共産党に対する批判が国外に広まることについても、中国政府は外交的な対立を引き起こすとして厳しく監視しています。

    デジタル化が進む中国では、共産党に対する批判は投稿されるとすぐに拡散されるため、インターネット上での規制も厳しくなっているのかもしれません。

    特に絶対政権を握っている共産党を批判するようなコメントは、私たちよりも共産党のことをよく知っている中国人でさえ、決して公には話題にしません。中国には昔の日本のように、もし誰かが共産党の批判をするなら、密告(举报jǔ bào)する制度が残っているからです。

    あまり親しくない人に、過去の文化大革命のことを否定的な意見を述べたり、天安門事件に触れてしまうと密告されてしまう危険性があるので、しっかり把握をしておきましょう。

    文化大革命や天安門事件への言及

    中国において、文化大革命と天安門事件に触れる際は、かなり慎重に言葉を選ばなければなりません。これらの出来事は中国歴史において重要な節目であり、政治的な安定を脅かすことに繋がるとして、政府による厳格な情報統制と監視が今現在も行われています。

    【文化大革命とは】

    文化大革命は、中国共産党の指導者である毛沢東によって始められた大規模な社会運動でした。1966年に始まり、中国社会に激しい動乱と混乱をもたらしています。

    赤衛兵と呼ばれる学生や青少年たちが政府の指示に従い、政治的な反対勢力を迫害する運動が行われました。多くの文化的・歴史的遺産が破壊され、社会秩序が崩壊した歴史的革命として知られています。日本の歴史の授業でも記憶にある方も多いのではないでしょうか。

    【天安門事件とは】

    天安門事件は、1989年に北京の天安門広場で発生した大規模な民主化運動です。学生や市民が政治的自由と人権を求めてデモを行い、政府の体制に対する批判が高まりました。それに対し政府は、軍隊を動員してデモ隊を強制排除。多数の犠牲者も出しています。

    天安門事件についても、中国政府は情報統制を厳格に行っています。事件の詳細や真相について公然と議論することは避けなければいけません。事件についての公式な報道はかなり制限されており、インターネット上でも統制が行われています。

    実はこの2つの出来事について、知識を持っていない若い世代も増えています。特に大学での授業や論文において、これらに関する執筆や研究への政府の統制を教授が恐れ、規制することも珍しくありません。

    文化大革命・天安門事件への批判的な意見や詳細情報を発信することは、政府の意向に反すると見なされ重大な結果を招く可能性もあります。そのため中国国内では、この時期の歴史を公に議論することはほとんど行われていません。

    日中問題

    尖閣諸島の話題:日中の政治的緊張

    尖閣諸島問題は、日中の間で長年続く政治的緊張の要因となっていることは皆さんご存じかと思います。

    東シナ海にある小さな島々からなる尖閣諸島(钓鱼岛diào yú dǎo)は、戦略的な地理的位置と豊富な海洋資源が争いの背景となっています。

    日本は尖閣諸島を長らく固有の領土として主張しており、これまでの歴史的な経緯や国際法に基づいて自らの領土であると考えています。日本政府は尖閣諸島を領土問題として取り上げることで、中国や台湾との交渉のポジションを強化したい意図があるのかもしれません。

    一方、中国は尖閣諸島を钓鱼岛と呼び、自らの領土であると主張しています。中国政府は歴史的文献や地理的な証拠を引用して、尖閣諸島の領有権を裏付けると主張してきました。また、豊富な海洋資源の利用や国内世論の統一を背景に、尖閣諸島問題を国内外でアピールを強めています。

    中国人の尋問と日本人の対応方法

    中国人と尖閣諸島の話題になった際、下記のように問われることがあります。

    nǐ juéde diàoyúdǎo shì zhōngguó de , háishì rìběn de

    你觉得钓鱼岛是中国的,还是日本的?

    尖閣諸島って中国のものだと思う?それとも日本?

    元々、中国では教育の側面から、あまり日本の歴史や立場を教える文化がありません。そのため、直接的な質問をする中国人においては「いったいどっちの国のだと思う?」と軽い気持ちで聞いてくることはあまりありません。

    「絶対に中国のものなのに、どうして日本は権利を主張しようとするの?」という懐疑的な意味合いを含んでいる可能背が高いでしょう。

    この場合の返答としては、どちらかのものという直接的な伝え方ではなく、客観的な意見や日本での報道について軽く触れる程度で抑えておきましょう。

    以前の戦争の話題:歴史的背景と現代の影響

    日本と中国の歴史的関係を知る上で避けては通れないのが「戦争」に関する内容です。戦争とは程遠い世界で生きている私たちにとっては想像しにくいテーマかもしれません。

    ここでは、日中関係を築く上で欠かせないテーマとして、報道されている内容と現代への影響についてご紹介します。

    メディアの報道と日本人の知らない情報

    日本と中国での戦争に関するメディア報道は、両国の政府やメディアの立場によって異なります。

    中国では日中戦争や侵略に関連する出来事についての報道は非常に厳しく制限される傾向が強く、政府の指導者や歴史の一部を褒め称える内容が多く報道されます。

    日本での戦争に関連する報道は、日中戦争や南京虐殺などの出来事に関する内容が多く見受けられます。戦争過程や戦争犠牲者に対する取材や、証言に関する報道もよく目にするのではないでしょうか。歴史的な事実に対する反省や謝罪について、首相自ら国民の前で話す映像も多くあります。

    日本人が知らない情報としては、中国の学校教育やメディアで取り上げられる戦争に関連する情報が、中国政府の統制により一部の側面しか伝えられていない点が挙げられます。中国政府は歴史の一部を強調し、国民の愛国心を高めることを重視する傾向が見られます。

    また中国国内では、日中の戦争に関する報道や歴史認識についての議論が行われることがあります。特に中国の学術界やインターネット上で、戦争に対する異なる意見や証言を見かけたことがある方も多いのではないでしょうか。

    しかし政府による検閲や監視から、インターネット上での発信はすぐに削除されることも少なくありません。議論するための場としても存在するSNSでの発言も、特に中国国内では注意が必要です。

    議論は異文化理解において重要な役割を担っているといえますが、相手の国の歴史や過去を否定するのではなく、知ることと尊重する姿勢で中国人との親交を深めていきたいものですね。

    中国の宗教

    宗教の話題:信仰と共産党

    習近平のスローガンと共産党の位置づけ

    中国では宗教も敏感な話題として扱われており、政府による厳格な統制と監視が行われています。

    皆さんは、习近平がスローガンに掲げている次の言葉をご存じでしょうか?

    rénmín yǒu xìnyǎng , mínzú yǒu xīwàng , guójiā yǒu lìliang

    人民有信仰,民族有希望,国家有力量。

    国民が信仰を持つと、民族には希望がある。すると国家には力が生まれる。

    実はここでいう「信仰」という言葉の対象は共産党です。過去の中国政府は宗教に対して比較的寛容でしたが、徐々に信仰の対象は共産党だけという風潮に変化してきました。

    中国共産党は建国以来、無神論を基本方針として掲げています。宗教は社会秩序を乱す要因とみなされたことで、政府は宗教活動を厳格に管理・制御するようになったのかもしれません。

    一党独裁状態の共産党で成り立つ中国政府は、宗教的指導者の影響力も警戒しています。そのため、政府は公認宗教の指導者に対しても監視を行い、政府の意向に反する発言や行動は許容されません。

    中国では、一般市民でも共産党員になれることがあります。日本では馴染みのない光景ですよね。筆者の中国人の友人も、医師でありながら共産党員でもありました。

    共産党員になれる基準は明らかにされてはいませんが、社会秩序を守るために一般社会にも共産党を浸透させたい政府の思惑があるのかもしれません。

    中国の発言の自由: 規制と実際の文化のギャップ

    日本と異なる中国の情報統制

    中国では「グレート・ファイアウォール」として知られるインターネット検閲が行われています。政府は特定のwebサイトやSNSへのアクセスを制限し、不適切とされる情報をブロックしています。特定のキーワードや表現をすると、その投稿が削除されることも少なくありません。

    実際に中国留学に行く際は、VPNというサーバーを通して各種SNSを使うことになります。私たちが普段使っているGoogleやLINE、Instagram等のSNSは中国では使うことができません。

    こうした検閲下において、SNS利用者の発言や投稿内容は、政治的な内容や敏感なトピックに関して特に注意深く監視されています。不適切とされるものや政府にとって不利となる内容は、強制的に削除されてしまいます。

    中国のメディアに関しても政府の指導下にあり、報道内容に対する厳しい制約が課されています。

    特に政治や敏感な話題に関する報道は、政府の意向によって大きく影響を受けることになります。報道の自由はほとんどないため、偏った内容が報道された場合には、自身で正しく情報を取捨選択することが求められます。

    政府は国内の安定維持や社会秩序の維持のため、政治や歴史など秩序が乱れる敏感な話題に関する発信には厳しい姿勢を見せています。そのため、先にあげたようにインターネット上で政治や歴史に関する話題ついては慎重に行わなければいけません。

    厳しい統制がある中でも、一部の市民や活動家は政府に対抗して情報を公開する姿も増えています。こうした状況の背景には、中国社会の複雑さを表しているといえるかもしれません。

    実際の生活でのギャップ

    中国は世界的なデジタル先進国であり、中国人は様々な手段を使って情報の発信やアクセスを試みています。VPNを使った回避方法は、外国人だけでなく、中国人も日常的に取り入れていることをご存知でしょうか。

    中国に行くと、情報統制によってLINEやInstagram等の各種SNSで連絡が取れなくなると思われていますが、実はVPNを使うことで情報発信や発言の場を増やしている中国人がたくさんいるのです。

    日本で報道される規制の強さと実際のギャップを感じますよね。ただしVPNでの規制回避によってSNS使用ができるものの、全国人民大会などが開催される重要な時期では、VPNの規制も厳格化されてしまいます。

    こうした状況を見ると中国の情報統制はとても厳格ですが、社会の安定を保つために市民の意見を受け入れる姿勢も存在していることがわりますね。

    まとめ

    今回は中国人との交流を深める上で、知っておきたい敏感な話題についてご紹介しました。

    日本でもタブーと言われる話題や質問があるように、中国においてもタブーな話題は存在します。特に、政治や歴史についての話題は相手との関係をこじらせてしまう原因にもなりかねません。

    過去を受け入れ相手を尊重する姿勢を持ちながら、異文化理解や交流を深めていくことで、相互理解を深めることができるはずです。

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