中国税関で没収される日本の化粧品

  1. 中国経済・社会

中国人の爆買いは日本企業に大きな利益をもたらしてくれました。しかし中国人旅行客による爆買いも収束に向かうかもしれません。

なぜならば、日本でせっかく爆買いした化粧品が中国税関で没収されることが相次いでいるからです。

中国税関で没収される日本の化粧品

没収の様子

意気揚々と日本で大量に買い込んだ化粧品、さらには沢山の電化製品を詰め込んだキャリーバックを受け取り、空港を出ようとします。

最後に荷物のスキャン検査があるわけですが、中国税関は時間があるときはすべてを、時間がない時は抜き打ちで声をかけて開けるように指示をします。

何も知らない中国人は、後ろめたさなく日本で買い込んだ商品を見せますが、そこで税関はこう尋ねます。

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你是不是转卖这些东西?

これらを転売するつもりじゃないのか?

ほとんどの人は自分のため、もしくは友人からお金を預かってその友人のために買ってきた商品です。

必死で「転売目的ではない。友人から頼まれたんだ。自分が使うんだ」と説明しますが、中国の税関(海关:hǎiguān)は疑わしいものは没収する権利があるので没収されてしまいます。

木製のテーブルには「没収」という漢字が刻まれた小槌が置かれています。

没収されないためには

せっかく日本で買い込んだ化粧品を没収されないためにはどうすればいいのでしょうか?

中国政府は転売(转卖:zhuǎnmài)を取り締まるが目的なので、化粧水であればいったん蓋を開けて使うしかありません。その状態であれば自分のものだと認めてくれます。

でも商品価値を維持した状態で友達に渡したいことでしょう。その場合はどうしたらいいですか?

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好像礼物那样好好包装

プレゼントのようにきちんとラッピングする

ご丁寧にリボンなどを付けるといいでしょう。しかしそれでも厳しい税関所員にあたってしまうと没収されます。

説明: 1 人の男性と 1 人の女性が 1 つのスタックボックスにいます。
关键词:中国

没収されたものはどこへ?

実はSKⅡなどの高級化粧品だけでなく、海外で買ったiphoneなどすべて中国で転売できるものは税関所員の思いひとつで没収されてしまいます。

日本では「個人的人権の侵害だ」などと旅行客も強く言える風潮がありますが、中国では税関所員も国の役人なので強く文句を言うと、ひいては国に逆らっていることになってしまいます。

世界的には自己主張をするとみられている中国人ですが、税関では意外と素直に諦めます。

没収されたものはどこに行っているのでしょうか?

中国政府のサイトには税関で没収した物を処理する方法がいくつか列挙されていますが、一つ目はこう記されています。

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公开拍卖

公開オークションにかける

つまり没収の目的は転売目的を防ぐためなのに、結局没収されたものは中国政府によって転売されているのです。しかし利益は政府のものとして納められます。

日本人も注意しよう

税関で没収されるのは中国人だけではありません。日本人が中国人にお土産をと思って奮発して買ったものでも、税関所員の目にとまってしまえば受け渡すしかありません。

郷に入りては郷に従え。中国には中国の取り締まり方法があるのでせっかくのお土産が台無しになってしまわないように、中国人へのお土産は税関の目にとまらないような商品にしましょう。

中国人が化粧品にかけるお金

少し前までは中国人の女性と言えばお化粧をしないと言われていました。ところが時代は変わっています。今や中国人女性は世界的にみても化粧品に最もお金をかけるようになっているのです。

中国人は毎月の化粧品(化妆品:huàzhuāngpǐn)にいくら使っているのでしょうか?

一か月化粧品にいくら使うのか

女性にとって美しさを維持することは重要なことではありますが、それでも家計の中で化粧品に割けるお金というのは限られています。

日本の場合は30歳以下は4000~5000円くらい、30歳以上は5000~6000円という統計が出ています。つまり日本人女性は平均して毎月5000円を化粧品に使うようです。

中国人の場合はどうなのでしょう?同じアンケートの結果で中国人は一か月に化粧品台として1000元使うという統計が出ています。1000元は日本円でいくらですか?

1000元=1万5000円

そう中国人女性は何と日本人の3倍化粧品にお金をかけているのです。

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なぜ中国人は化粧品にお金をかけるのか

なぜ最近の中国人女性はこれほどまでに化粧品にお金をかけるのでしょうか?

もちろん収入があるからというのもありますが、むしろ中国特有の次の3つの要素があるからです。

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1、化妆品属于奢侈品

化粧品はぜいたく品に属する

 

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2、不容易买到正品

簡単に正規品が購入できない

 

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3、为了炫耀自己购买顶级化妆品

自慢のために最高クラスの化粧品を欲しがる

贅沢品は高い

中国の政策なのですが、生活必需品のお米や野菜、交通費などは価格が安くなるように設定しています。収入の少ない年配者でも生活していけるようにするためです。

しかしお金持ちが欲しがるぜいたく品(奢侈品: shēchǐpǐn)には高い税金をかけて値段を釣り上げています。iphoneや日本産の車が中国で高いのはそのためです。それでも中国人は購入しようとするので費用が掛かります。

化粧品も中国政府の見解ではぜいたく品という位置付けなので、それはそれは高い値段が設定されています。

正規品が買えない

ネットで購入するのが当たり前の時代ですが、中国のネットサイトで正規品を購入するのは至難の業です。

中国の官方网站guānfāngwǎngzhàn)と呼ばれる企業の公式サイトでさえ、安全に正規品が購入できることが保証されているわけではありません。

ある時、筆者がビザの関係で香港に行くと話したら、中国人の大学の先生からこれこれの商品を買ってきてくれないかと頼まれます。

「そのメーカーのお店ならあのデパートの1階にもあるじゃないか」と言いましたが、「中国で売っているのものは本当のものか分からない。しかも香港のほうが安い」ということ。

助け合うことが重要な中国なので、買ってきてあげましたがそれだけ中国で売られている商品を中国人そのものが信じていないということです。

絶対正規品と確証されているものを買うために、わざわざ海外に行き購入するのでは当然費用がかさみますね。

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最高級のものを欲しがる

中国人はお金持ちであることを持ち物でアピールします。一番売れる車はベンツ(奔驰:bēnchí)など最高級車と言われる車です。

化粧品業界でも同じで、中国人はちょっと小金持ちになると世界の名牌(míngpái)と言われるブランド品を欲しがります。

日本のSKⅡや雪肌精などは十分自慢できる代物なので、日本人がなかなか手が出ない高級化粧品を惜しげもなく大量購入します。当然一か月あたりに化粧品にかかるお金も跳ね上がるでしょう。

化粧品からわかる価値観の違い

今回は中国人の化粧品に対する力の入れようを考察しました。日本は中国のようなお国事情がありませんし、自慢よりも節約が美徳と思われるので、軽自動車やお手頃価格で安全な化粧品などが売れ筋商品となります。

こうした中国人の考え方や購入過程を知っておくとチャイナマネーをつかむのに役立つかもしれません。

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