中国でも有名な日本の歌

  1. 中国経済・社会

中国人の友人やビジネスパートナーとの交流の場で、「何か場を盛り上げたい」「もっと親しくなりたい」と思ったことはありませんか?そんな時、言葉の壁を越えて心を通わせる強力なツールとなるのが「歌」です。特に、相手が知っている日本の歌を披露できれば、一気に場の雰囲気が和み、忘れられない思い出を作れるかもしれません。

では、一体どんな日本の歌が中国の人々に知られ、喜ばれるのでしょうか?この記事では、中国で世代を超えて愛される日本の名曲を、演歌、歌謡曲・J-POP、アニメソングといったジャンル別に詳しく紹介します。さらに、歌を披露する際のポイントや注意点、そして中国の生活に深く根付いている「カラオケ(卡拉OK)」文化についても、心温まるエピソードを交えながら徹底的にガイドします。さあ、あなたも歌を通じて、中国の人々との素敵な交流を始めてみませんか?

中国で大合唱も?「北国の春」からアニソンまで、中国人にウケる日本の歌&カラオケ文化徹底ガイド

言葉の壁を越える!歌で深まる日中交流

国際交流において、言葉の違いは時として大きな障壁となります。しかし、音楽、特に歌は、その壁を軽々と乗り越える不思議な力を持っています。メロディーは万国共通の言語であり、たとえ歌詞の意味が完全には理解できなくても、感情を共有し、一体感を生み出すことができます。中国人と交流する際に、一緒に歌える日本の歌を知っていることは、コミュニケーションを円滑にし、相互理解を深めるための素晴らしい武器となるのです。

中国人が喜ぶ日本の歌の条件:「听过的熟悉旋律」とは?

では、どんな日本の歌を選べば、中国の人々に喜んでもらえるのでしょうか?その答えはシンプルです。元の記事でも指摘されているように、中国語で言うところの…

tīngguò de shúxī xuánlǜ

听过的熟悉旋律

これが最も重要な条件となります。分解して意味を確認しましょう。

  • 听过 (tīngguò): 听 (tīng) は「聴く」という意味の動詞。動詞の後に助詞の 过 (guò) がつくと「~したことがある」という経験を表します。つまり「聴いたことがある」。
  • 熟悉 (shúxī): 形容詞で「(人や物事に)精通している、よく知っている」。
  • 旋律 (xuánlǜ): 日本語と同じく「旋律、メロディー」。

つまり、中国人が喜ぶ日本の歌の最大の条件は、「(彼らが)聴いたことがあり、よく知っているメロディー」である、ということです。どんなに日本で有名な曲でも、相手が全く知らなければ、残念ながら共感を得るのは難しいでしょう。逆に、日本ではそれほど有名でなくても、何らかの理由で中国で広く知られている曲であれば、大いに盛り上がる可能性があるのです。

ジャンル別!中国で愛される日本の名曲たち

では、具体的にどのような日本の歌が「听过的熟悉旋律」として、中国の人々に親しまれているのでしょうか?ここでは、代表的な曲を「演歌」「歌謡曲・J-POP」「アニメソング」の3つのジャンルに分けてご紹介します。

【演歌】世代を超えて響く「北国之春」とテレサ・テン

意外に思われるかもしれませんが、日本の「演歌」は中国でも一定の人気と知名度があります。中国語にも日本語の「演歌」をそのまま音訳した「演歌 (yǎngē)」という言葉が存在し、主に日本の演歌を指す言葉として使われています。独特の節回しや情感豊かな歌唱スタイルに魅力を感じ、「日本の演歌が好きだ」と公言する中国人は少なくありません。

とはいえ、日本と同様、演歌を日常的に聴く層は限られています。しかし、そんな中でも、ほぼ100%と言っても過言ではないほど、多くの中国人が知っている演歌の超有名曲があります。それが、千昌夫さんの大ヒット曲…

Běiguó zhī chūn

北国之春

『北国の春』

この曲は、中国語のカバーバージョン(蒋大为などが歌唱)が大ヒットし、中国では日本の原曲以上に広く浸透しています。美しいメロディーと、故郷や家族を思う歌詞(中国語版)が多くの中国人の心に響き、まさに国民的な歌となっています。中国人との交流会やカラオケで歌に困ったら、とりあえず「♪しらかば~ あおぞら~」と歌い始めれば、会場全体が大合唱になる…なんてことも十分にあり得る、鉄板中の鉄板ソングです。

演歌系ではもう一人、絶対に外せないのが、台湾出身でありながら日本、そして中国大陸を含む中華圏全体で絶大な人気を誇った伝説の歌姫、テレサ・テン(邓丽君 dèng lì jūn)です。彼女の歌声は中国の人々を魅了し、多くのヒット曲が今でも愛され続けています。代表曲としては、

  • 『時の流れに身をまかせ』(中国語版:『我只在乎你 wǒ zhǐ zàihu nǐ』)
  • 『つぐない』(中国語版:『偿还 chánghuán』)
  • 『愛人』(中国語版:同タイトル『爱人 àirén』)
  • 『空港』(中国語版:『情人的关怀 qíngrén de guānhuái』)
  • 『月亮代表我的心 yuèliang dàibiǎo wǒ de xīn』(※これは元々中国語の歌ですが、彼女のカバーで不動の人気に)

などが挙げられます。彼女の歌は、美しいメロディーと切ない歌詞が多くの人の心を掴み、中国のカラオケでも定番曲となっています。彼女の歌を歌えれば、特に中高年層には非常に喜ばれるでしょう。

カラオケで歌う人のシルエット

テレサ・テンの歌は中国でも広く愛されています

【歌謡曲・J-POP】カバー曲多数!中国でもお馴染みのメロディー

日本の歌謡曲やJ-POPも、多くの曲が中国語でカバーされたり、ドラマや映画を通じて広まったりしており、幅広い層に親しまれています。ただし、演歌の「北国の春」ほど絶対的な知名度を持つ曲は少なく、年代によって知っている曲が異なる傾向があります。

時代を彩った名曲たち (涙そうそう、未来へ、雪の華など)

1990年代から2000年代にかけてヒットした日本の歌謡曲・J-POPの中には、中国語でカバーされ、原曲以上に有名になっているケースも少なくありません。元の記事で挙げられている曲は、まさにその代表例です。

  • 夏川りみ『涙そうそう』:多くの歌手にカバーされていますが、特に黄品源の『白鹭鸶 báilùsī』などが知られています。メロディーの美しさが国境を越えて愛されています。
  • Kiroro『未来へ』:劉若英(レネ・リウ)がカバーした『后来 hòulái』が大ヒット。元の記事にもあるように、原曲の母親への感謝とは異なり、恋愛の切なさを歌った歌詞になっていますが、メロディーはそのまま使われています。
  • Kiroro『長い間』:これも劉若英が『很爱很爱你 hěn ài hěn ài nǐ』としてカバーし、大ヒットしました。結婚式の定番ソングにもなっています。
  • 中島美嘉『雪の華』:韓雪(ハン・シュエ)など複数の歌手がカバー。冬の定番ラブソングとして人気があります。
  • 中島みゆき『銀の龍の背に乗って』:范瑋琪(ファン・ウェイチー)が『最初的梦想 zuìchū de mèngxiǎng』としてカバー。励まされるような歌詞が人気で、卒業ソングとしても歌われます。中島みゆきさんの曲は他にも多数カバーされており(例:『ルージュ』→フェイ・ウォン『容易受伤的女人』)、中華圏の音楽に大きな影響を与えています。

これらの曲以外にも、

  • 安全地帯『Friend』(→ジャッキー・チュン『沉默的眼睛』など多数)
  • 谷村新司『昴 -すばる-』(多数カバーあり)
  • 小田和正『ラブ・ストーリーは突然に』(→辛曉琪『爱情故事』など)
  • CHAGE and ASKA『SAY YES』(→多数カバーあり)

なども、特に30代以上の層には比較的知られている可能性が高いです。これらの曲はメロディーが非常にキャッチーで、心に残りやすいため、カバーを通じて中国の人々の記憶に刻まれているのです。

近年のヒット曲の浸透状況 (若者層を中心に)

若い世代(10代~20代)に目を向けると、また違った日本のアーティストや楽曲が人気を集めています。インターネットやSNSを通じて日本の音楽情報に触れる機会が増えたことで、よりリアルタイムに近い形で日本のヒット曲が知られるようになりました。

  • ジャニーズ系アイドル(嵐、King & Princeなど):ドラマやバラエティ番組を通じてファンを獲得しており、楽曲も人気です。
  • AKB48グループや坂道シリーズ:アジア圏全体で人気があり、楽曲やダンスが注目されています。(上海にはSNH48という姉妹グループも存在します)
  • 宇多田ヒカル、浜崎あゆみ、安室奈美恵など:一時代を築いた歌姫たちの楽曲は、今でも根強い人気があります。
  • 米津玄師、Official髭男dism、YOASOBI、Adoなど:近年の日本のヒットチャートを賑わすアーティストの楽曲も、アニメ主題歌などをきっかけに中国の若者の間で急速に広まっています。

ただし、これらの新しい楽曲は、まだ「誰もが知っている」というレベルには達していない場合が多いです。相手が日本のポップカルチャーに関心があるか、どの年代か、といった要素によって、ウケるかどうかは大きく左右されるでしょう。

【アニメソング】絶大な人気!ジブリ音楽と定番アニソン

日本のポップカルチャーの中でも、特に中国で絶大な人気と影響力を持っているのがアニメです。それに伴い、日本のアニメソング(アニソン)も非常に広く知られ、愛されています。カラオケでアニソンを歌えば、世代や性別を超えて盛り上がれる可能性が高いでしょう。

「君をのせて」は鉄板!宮崎駿作品の影響力

元の記事でも触れられている通り、スタジオジブリ、特に宮崎駿(宫崎骏 gōngqí jùn)監督の作品は、中国で「神」のような存在として尊敬と人気を集めています。彼の描く美しい映像、心温まるストーリー、そしてそれを彩る久石譲さんの音楽は、多くの中国人の心を捉えて離しません。

中でも、『天空の城ラピュタ(天空之城 tiānkōng zhī chéng)』の主題歌(エンディングテーマ)である『君をのせて』は、中国でも非常に有名で、ピアノやオーケストラで演奏されたり、様々な場面でBGMとして使われたりしています。あの美しいメロディーは、多くの人が一度は耳にしたことがあるはず。「♪あのち~へいせ~ん~」と歌い始めれば、きっと喜んでくれるでしょう。

他にも、『となりのトトロ』の『さんぽ』や『となりのトトロ』、『千と千尋の神隠し』の『いつも何度でも』など、ジブリ作品の楽曲は高い知名度を誇ります。

他の人気アニメ主題歌(例:スラムダンク、ドラえもんなど)

ジブリ以外にも、中国で長年愛されている日本のアニメは数多くあり、その主題歌も定番ソングとなっています。

  • 『SLAM DUNK(灌篮高手 guànlán gāoshǒu)』:特にオープニングテーマの『君が好きだと叫びたい』(BAAD)や、エンディングテーマの『世界が終るまでは…』(WANDS)、『あなただけ見つめてる』(大黒摩季)などは、90年代に青春を過ごした世代を中心に絶大な人気があり、今でもカラオケで熱唱される定番曲です。
  • 『ドラえもん(哆啦A梦 duōlā A mèng)』:『ドラえもんのうた』は、中国でも子供から大人まで誰もが知っていると言ってもいいほど有名です。
  • 『聖闘士星矢(圣斗士星矢 shèngdòushì xīngshǐ)』:オープニングテーマ『ペガサス幻想』(MAKE-UP)は、熱いメロディーが人気です。
  • 『名探偵コナン(名侦探柯南 míngzhēntàn Kē Nán)』:倉木麻衣さんなどが歌う歴代の主題歌も人気があります。
  • その他:『デジモンアドベンチャー』の『Butter-Fly』(和田光司)、『新世紀エヴァンゲリオン』の『残酷な天使のテーゼ』(高橋洋子)なども、アニメファンを中心に知られています。

アニソンは、言葉がわからなくてもメロディーだけで情熱や楽しさが伝わりやすく、一緒に盛り上がりやすいのが魅力です。

アニメキャラクターが楽しそうにしているイラスト

日本のアニメソングは中国でも大人気!

日本の歌を歌う際のポイントと注意点

さて、中国の人々に喜ばれる日本の歌がわかったところで、実際に歌う際にはどのような点に気をつければ良いのでしょうか?いくつかポイントと注意点を押さえておきましょう。

日本語で歌う?中国語で歌う?

まず迷うのが、日本語の原曲のまま歌うべきか、それとも中国語のカバー版があればそちらで歌うべきか、という点です。

  • 日本語で歌うメリット:
    • 元の歌の雰囲気や魅力をそのまま伝えられる。
    • 日本人ならではの「プレミア感」があり、かえって喜ばれる場合がある(特に原曲を知っている人)。
    • 自分が歌い慣れている。
  • 日本語で歌うデメリット:
    • 相手が歌詞の意味を理解できないため、共感を得にくい場合がある。
    • 相手が中国語版しか知らない場合、何の歌かわからない可能性がある。
  • 中国語で歌うメリット:
    • 相手も歌詞を理解でき、一緒に歌える可能性が高い。
    • 親近感が湧きやすく、より一体感が生まれる。
  • 中国語で歌うデメリット:
    • 発音や声調が難しく、うまく歌えない可能性がある。
    • 歌詞を覚えるのが大変。

元の記事では「日本人なら日本語でうたったほうが元歌のプレミア感があって逆に喜ばれる」と述べられています。これは一理あり、特に相手が日本の文化に関心を持っている場合は有効でしょう。しかし、もし可能であれば、サビの部分だけでも中国語で歌えるように練習しておくと、さらに場が盛り上がるかもしれません。最終的には、自分の歌唱力や相手の反応を見ながら判断するのが良いでしょう。

「中国にもあるよ!」と言われた時のスマートな対応

日本の歌を歌った際に、中国人から「中国也有 (Zhōngguó yě yǒu) – 中国にもあるよ!」と言われ、中国語バージョンで歌い返してくれる、という場面は非常によくあります。これは、彼らがそのメロディーをよく知っていて、親しみを感じている証拠であり、ポジティブな反応と捉えるべきです。

しかし、ここで注意したいのは、元の記事でも触れられているように、彼らの中には「その曲は元々中国の歌だ」と勘違いしている人も少なからずいる、という点です。特に、中国語のカバー版の方が有名になっている場合、原曲が日本の歌であることを知らないケースは珍しくありません。

このような状況で、「いや、それは元々日本の歌で、中国がカバーしたんですよ」と事実を指摘するのは、避けた方が賢明です。なぜなら、それは相手の知識不足を指摘し、場合によっては相手の「面子(メンツ)」を潰してしまう行為になりかねないからです。中国文化において面子は非常に重要であり、相手に恥をかかせることは、人間関係に悪影響を及ぼす可能性があります。

たとえ相手が勘違いしていたとしても、ここは日中友好のため、そしてその場の雰囲気を壊さないために、「へえ、そうなんですね!中国語版も素敵ですね」「このメロディー、やっぱり良いですよね」のように、相手の言葉を受け止め、共感を示すスマートな対応を心がけましょう。音楽の素晴らしさを共有することが目的なのですから。

知っておきたい著作権の問題(カバー曲について)

中国で日本の楽曲が多数カバーされている背景には、過去において著作権に対する意識が現在ほど高くなかった時代があったことも関係しています。中には、正式な許諾を得ずにメロディーが「拝借」され、独自の歌詞がつけられてヒットしたケースも存在したと言われています。

近年では、中国でも著作権保護の法整備が進み、意識も向上していますが、過去に作られたカバー曲に関しては、権利関係が曖昧なままになっているものも存在する可能性があります。私たちがカラオケなどで歌う分には直接問題になることはまずありませんが、こうした背景があることは、豆知識として知っておいても良いかもしれません。

中国のカラオケ「卡拉OK」文化:生活に根付く娯楽

日本発祥の文化であるカラオケは、中国でも「卡拉OK (kǎlā OK)」として広く普及し、老若男女問わず多くの人々に愛される人気の娯楽となっています。単なる歌を楽しむ場としてだけでなく、コミュニケーションやストレス解消、さらには地域コミュニティの活性化にも繋がる、中国社会に深く根付いた文化と言えるでしょう。

「卡拉OK (kǎlā OK)」の普及と楽しみ方

中国の都市部には、「KTV」(卡拉OK Televisionの略)と呼ばれるカラオケボックスが至る所にあります。日本のカラオケボックスと似ていますが、部屋が非常に豪華で広々としていたり、食事が充実していたり、部屋ごとに専属のスタッフがついたりする店舗も多く、単に歌うだけでなく、飲食や socializing(交流)を楽しむ場としての性格が強いのが特徴です。

友人同士の集まり、同僚との飲み会(二次会)、家族でのレジャー、誕生日パーティー、さらにはビジネスの接待など、様々な場面でKTVが利用されます。料金体系も、部屋代+飲食代、あるいは時間制の歌い放題+飲み放題など、多様です。選曲システムも進化しており、日本の歌も豊富に揃っている場合が多いです。(ただし、最新曲の反映は日本より遅れる傾向があります。)

中国のカラオケボックス(KTV)で友人たちが楽しそうに歌っている様子

中国のKTVは友人との交流や娯楽の定番スポット

老若男女に愛される理由:ストレス解消とコミュニケーション

なぜカラオケはこれほどまでに中国の人々に受け入れられているのでしょうか?

  • ストレス解消:大きな声で歌うことは、日頃のストレスを発散させるのに効果的です。周りを気にせず思い切り歌える個室空間は、格好のストレス解消の場となります。
  • コミュニケーション促進:一緒に歌ったり、手拍子をしたり、デュエットしたりする中で、自然と会話が生まれ、仲間意識が強まります。普段はあまり話さない人とも、カラオケを通じて打ち解けられることがあります。
  • 自己表現の場:人前で歌を披露することは、自己表現の一つの形です。拍手をもらったり、褒められたりすることで、自信や満足感を得ることができます。
  • 手軽な娯楽:比較的安価で、特別な準備も不要で、天候にも左右されずに楽しめる手軽な娯楽であることも、人気の理由です。

地域コミュニティを繋ぐ:団地のカラオケ大会エピソード

カラオケは、友人や同僚との集まりだけでなく、地域コミュニティ、特に高齢者の生活においても重要な役割を果たしています。元の記事で紹介されている北京のある団地のカラオケ大会のエピソードは、そのことをよく示しています。

高齢者の生きがいと健康効果

退職後の高齢者にとって、カラオケは単なる娯楽以上の意味を持ちます。大声で歌うことは、呼吸器系の機能を維持し、ストレスを軽減するなど、心身の健康維持に繋がります。また、カラオケ大会のようなイベントは、家に閉じこもりがちな高齢者にとって、外に出て他の住民と交流する良い機会となります。目標を持って歌の練習をしたり、衣装を選んだりすることは、日々の生活に張り合いを与え、孤独感を和らげる効果も期待できます。

エピソードにあるように、大会当日は多くの高齢者が集まり、気合の入った衣装で生き生きと歌声を披露し、会場は大変な熱気に包まれました。これは、カラオケが彼らにとって、若さを保ち、社会との繋がりを感じられる貴重な場であることを物語っています。

李さんのエピソード:歌がもたらす自信と喜び

特に印象的なのが、軽度のうつ病を患う独り暮らしの李さんのエピソードです。普段は引っ込み思案で、インタビューにも小声でしか答えられなかった李さんが、いざ音楽が流れ歌い始めると、朗々とした素晴らしい歌声を披露し、聴衆を驚かせました。

Lǎo Lǐ,méi xiǎng dào nǐ hái zhēn yǒu liǎngxiàzi,píngcháng zěnme méi xiǎnlù ne?
A: 老 李,没 想 到 你 还 真 有 两 下 子,平 常 怎 么 没 显 露 呢?
李さん、あなたにそんな特技があったなんて思いもよらなかったよ、普段どうしてその才能を見せてくれなかったんだい?

Wǒ yuánlái zài dānwèi zhuānmén gǎo wénhuà xuānchuán de,chàng gē bú zài huà xià,
B: 我 原 来 在 单 位 专 门 搞 文 化 宣 传 的,唱 歌 不 在 话 下,
chàng gē búdàn nénggòu yúyuè shēnxīn,yòu néng chóng sù lǎorén mén de zìxìnxīn,tígāo chéngjiù gǎn,
唱 歌 不 但 能 够 愉 悦 身 心,又 能 重 塑 老 人 们 的 自 信 心,提 高 成 就 感,
jíshǐ yí chàng gē jiù zǒu diào,zhǐyào yǒnggǎn de chàng chū lai,duì shēnxīn yě huì yǒu hǎochu。
即 使 一 唱 歌 就 走 调,只 要 勇 敢 地 唱 出 来,对 身 心 也 会 有 好 处。
Yǐhòu wǒ yào duō cānjiā shèqū huódòng,ràng zìjǐ dòng qǐ lai。
以 后 我 要 多 参 加 社 区 活 动,让 自 己 动 起 来。
私はもともと会社で文化広報の仕事を専門にしていてね、歌うのは話すより得意なんだ。歌を歌うのは心身ともに楽しめるだけでなく、年老いた者に再び自信をつけ、達成感を高めてくれるね。たとえ歌い始めてその音が少々はずれていても、勇気をもって歌いきることで心身にいい影響があるよ。これからは団地のこうした活動にも一層参加して、活動的になろうと思う。

李さんの言葉にあるように、歌うことは、たとえ上手でなくても、心を楽しませ、自信を取り戻させ、達成感を与えてくれます。そして、コミュニティ活動への参加意欲を高め、生活をより活動的で豊かなものにするきっかけとなり得るのです。このカラオケ大会は、参加した高齢者だけでなく、同伴した家族にとっても、高齢者の心身の健康や、世代間の交流の大切さを再認識する機会となったようです。

公園で楽しそうに歌う中国の高齢者のグループ

カラオケは高齢者の健康と生きがいにも繋がっています

まとめ:歌を通じて心を通わせよう

中国の人々との交流を深めたいと考えた時、「歌」は非常に有効な手段です。特に、彼らがよく知っている日本の歌、「听过的熟悉旋律」を歌うことができれば、言葉の壁を越えて、一気に心の距離を縮めることができます。

この記事では、世代を超えて愛される演歌の定番『北国の春』やテレサ・テンの楽曲、中国語でカバーされ広く親しまれている『涙そうそう』『未来へ』『雪の華』などの歌謡曲・J-POP、そして絶大な人気を誇るジブリ作品の『君をのせて』をはじめとするアニメソングなど、中国でウケる日本の歌を具体的に紹介しました。

歌う際には、日本語で歌うか中国語で歌うか、相手の反応を見ながら判断し、たとえ相手が原曲について勘違いしていたとしても、面子を尊重し、その場の雰囲気を大切にする心配りが重要です。

また、中国社会に深く根付いた「卡拉OK」文化についても触れました。カラオケは単なる娯楽ではなく、ストレス解消、コミュニケーション促進、そして高齢者にとっては健康維持や生きがいにも繋がる、生活に欠かせない存在となっています。

音楽は、国境や文化の違いを超えて人々の心をつなぐ普遍的な力を持っています。次に中国の人々と交流する機会があれば、ぜひ勇気を出して、彼らが知っている日本の歌を歌ってみてください。あるいは、一緒にKTVに行って、お互いの国の歌を歌い合ってみるのも素晴らしい経験になるでしょう。歌を通じて、きっと忘れられない、心温まる交流が生まれるはずです。

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ヤン・ファン (楊芳) この記事を書いた人

講師育成で知られる中国・東北師範大学卒業。講師歴は14年に及び、特に日系企業の駐在員やビジネスパーソン向けの指導経験が豊富です。現役の日中医療通訳士としても活動し同行・商談通訳等にも対応可能です
基礎からの正確な発音指導、ビジネス中国語、赴任前短期集中レッスン、HSK・中国語検定対策、日中医療通訳トレーニング。クイック・レスポンス、シャドウイング等の通訳訓練法をレッスンに導入し、実践的なコミュニケーション能力の効率的な習得をサポートします。企業研修(対面・リモート)、個人・グループレッスン、同行・商談通訳等にも対応可能で教材作成、レッスンカリキュラム、講師育成など幅広い分野で活躍。。

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