中国語の「よろしくお願いします」はこれで完璧!ネイティブが使うシーン別30表現を徹底解説
「これから中国支社に赴任するけど、最初の挨拶で『よろしくお願いします』って何て言えばいいんだろう…」
「中国人の友人にちょっとしたお願いをしたい時、『よろしくね!』って気軽に伝えたい」
中国語の学習を進める中で、多くの日本人が一度は悩むであろう魔法の言葉、「よろしくお願いします」。日本語では非常に便利で、あらゆる場面で使えますが、これをそのまま中国語に直訳しようとすると、思わぬ壁にぶつかります。実は、日本語の「よろしく」に100%対応する万能な中国語は存在しないのです。本格的にネイティブレベルのコミュニケーションを目指すなら、基礎からしっかり学べる中国語教室で体系的に学習するのが一番の近道です。
この記事では、なぜ「よろしくお願いします」の直訳が難しいのか、その背景にある文化や言語の違いから解き明かし、ビジネスから日常会話まで、あらゆるシーンでネイティブが使う自然な表現を30以上、豊富な例文と共に徹底解説します。この記事を読み終える頃には、あなたはもう「よろしく」の表現に迷うことはありません。状況に合わせて最適な言葉を選び、中国人との距離をぐっと縮めることができるようになるでしょう。
目次
「よろしくお願いします」を中国語で言えますか?実は「请多关照」だけでは不十分!
多くの中国語の教科書で、「よろしくお願いします」の訳として最初に登場するのが「请多关照 (qǐng duō guān zhào)」というフレーズです。もちろん、これは間違いではありません。しかし、この言葉を日本の「よろしくお願いします」と同じ感覚でいつでもどこでも使ってしまうと、相手に違和感を与えたり、場合によっては失礼になったりすることさえあるのです。
例えば、友人に「この荷物、ちょっと見ててくれる?よろしく!」と頼む場面で「请多关照」と言うと、相手は「え、そんな大げさな…」と困惑してしまうでしょう。なぜなら、「请多关照」は非常に丁寧でフォーマルな響きを持ち、「これからあなたのお世話になりますので、どうぞ面倒を見てやってください」という、深い意味合いが含まれているからです。
日本語の「よろしく」が持つ「軽いお願い」「挨拶の締め」「感謝の表明」といった幅広いニュアンスを、たった一つの中国語フレーズでカバーするのは不可能なのです。大切なのは、「今、自分は相手に何を伝えたいのか」を明確にし、その状況に最も適した中国語表現を選ぶことです。
なぜ日本語の「よろしく」は中国語に直しにくいのか?知っておきたい根本的な違い
この難しさの根源は、日本語と中国語の言語的な特性の違いにあります。その違いを理解することが、「よろしく」をマスターするための第一歩です。
多機能すぎる日本語の「よろしく」
日本語の「よろしくお願いします」は、まさに「万能調味料」のような言葉です。自己紹介の締め、仕事の依頼、感謝の表現、別れ際の挨拶など、文脈によって意味が柔軟に変化します。私たちは、その場の空気や相手との関係性を読み取り、無意識にこの言葉を使い分けています。これは、言葉の意味を文脈に大きく依存させる、日本語の「ハイコンテクスト」な文化を象徴しています。
日本語「よろしく」の多機能性(例)
- 挨拶:「はじめまして、佐藤です。よろしくお願いします。」
- 依頼:「この件、明日までによろしくお願いします。」
- 感謝:「いつもお世話になっております。今後ともよろしくお願いします。」
- 念押し:「じゃあ、明日の10時に駅前で。よろしくね。」
- 伝言:「部長によろしくお伝えください。」
状況を具体的に表現する中国語
一方、中国語はより「ローコンテクスト」な言語です。つまり、言葉そのものが持つ具体的な意味を重視します。「よろしく」と言いたい時、中国語では「何を」よろしくお願いしたいのかを、より具体的な動詞を使って表現する必要があります。
「仕事を頼む」のであれば「拜托 (bàituō)」(頼む)や「麻烦 (máfan)」(手間をかける)、「指導を請う」のであれば「指教 (zhǐjiào)」(指導する)、「世話になる」のであれば「关照 (guānzhào)」(面倒を見る)といったように、状況に応じて動詞を的確に使い分けることが求められます。この「動詞の使い分け」こそが、中国語の「よろしく」を攻略する最大のポイントなのです。
【シーン別】初対面・自己紹介で使う「よろしくお願いします」
ここからは、具体的なシーン別に適切な表現を見ていきましょう。まずは基本の「初対面」です。

フォーマルな場では、丁寧な表現で良い第一印象を
フォーマルな場面:ビジネスの挨拶やスピーチで
会社の入社挨拶、取引先との初対面、公式なスピーチなど、改まった場面では、最も丁寧な表現が求められます。ここでようやく「请多关照」の出番です。
初めまして、日本から参りました佐藤です。これから皆さんと一緒に仕事ができることを嬉しく思います。よろしくお願いします。
大家好,我是从日本来的佐藤。很高兴能和大家一起工作。请多关照。
Dàjiā hǎo, wǒ shì cóng Rìběn lái de Zuǒténg. Hěn gāoxìng néng hé dàjiā yìqǐ gōngzuò. Qǐng duō guānzhào.
皆様のご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。
请大家多多指教。
Qǐng dàjiā duōduō zhǐjiào.
解説:「指教 (zhǐjiào)」は「指導する」という意味の謙譲語。教えを請う姿勢を示す非常に丁寧な表現です。
カジュアルな場面:友人紹介や新しいコミュニティで
友人から新しい友人を紹介された時や、サークル活動などで初対面の人と話す時など、カジュアルな場面で「请多关照」を使うと、非常に堅苦しく、よそよそしい印象を与えてしまいます。このような場合は、シンプルな挨拶で十分です。
こんにちは、田中です。お会いできて嬉しいです。(これで「よろしく」のニュアンス)
你好,我叫田中。认识你很高兴。
Nǐ hǎo, wǒ jiào Tiánzhōng. Rènshi nǐ hěn gāoxìng.
(李さんの友人だと紹介され)こんにちは、花子です。よろしくね!
你好!我是李小姐的朋友花子。
Nǐ hǎo! Wǒ shì Lǐ xiǎojiě de péngyou Huāzǐ.
解説:カジュアルな場面では、自己紹介そのものに「これから仲良くしましょう」という「よろしく」の気持ちが含まれます。余計な言葉は不要です。
要注意!「请多关照」の正しい使い方とニュアンス
「请多关照」は、「これから長期的に、一方的にお世話になる」というニュアンスが強い言葉です。そのため、使う場面は限定的です。
- 新入社員として会社に入った時
- 留学生として大学に入学した時
- 新しい部署に配属された時
- 師匠に弟子入りする時
上記のような、自分が下の立場としてコミュニティに新しく参加し、周囲のサポートを必要とする状況で使うのが最も適切です。対等な立場の相手や、一時的な関係の相手に使うのは避けましょう。
【シーン別】ビジネスで必須!依頼・協力・感謝の「よろしくお願いします」
ビジネスシーンでは「よろしく」の登場回数が格段に増えます。依頼、確認、感謝など、目的を明確にした表現を使い分けましょう。
仕事を依頼する時の「よろしくお願いします」
同僚や部下、取引先に何かをお願いする時は、「頼む」を意味する「拜托 (bàituō)」や、「手間をかける」を意味する「麻烦 (máfan)」が頻繁に使われます。
この資料の翻訳、よろしくお願いします。
这个资料的翻译,麻烦你了。
Zhège zīliào de fānyì, máfan nǐ le.
解説:「麻烦你了」は「あなたに面倒をおかけしますね」というニュアンスで、非常に丁寧でよく使われる依頼表現です。
このプロジェクトの件、よろしくお願い致します。(少し重めのお願い)
关于这个项目的事情,就拜托您了。
Guānyú zhège xiàngmù de shìqing, jiù bàituō nín le.
解説:「拜托」は「麻烦」よりも少し重く、「頼りにしています、お任せします」という気持ちが強くこもります。目上の人には丁寧な「您 (nín)」を使いましょう。
協力を仰ぐ・確認をお願いする時の「よろしくお願いします」
相手に何かをしてもらうのではなく、確認や協力といったアクションを促す場合は、より直接的な動詞を使います。
内容のご確認、よろしくお願いします。
请确认一下内容。
Qǐng quèrèn yíxià nèiróng.
本件、ご協力のほどよろしくお願いいたします。
这件事,希望您能协助。
Zhè jiàn shì, xīwàng nín néng xiézhù.
解説:「希望 (xīwàng)」は「~を希望します」という意味で、相手に協力を「お願いする」よりも少し柔らかいニュアンスになります。

メールの結びは「谢谢」だけでも丁寧な表現になります
メールの結びで使う丁寧な「よろしくお願いします」
日本のビジネスメールでは定型句として「よろしくお願いいたします」が使われますが、中国のビジネスメールはよりシンプルです。多くの場合、「谢谢 (xièxie)」(ありがとう)だけで十分丁寧な結びになります。
メールの結びで使える「よろしく」表現
- シンプルに感謝を伝える:
谢谢! (Xièxie!) - 依頼を伴う場合:
麻烦您了,谢谢。 (Máfan nín le, xièxie.) - 返信を待っている場合:
期待您的回复。 (Qídài nín de huífù.)
(お返事をお待ちしております。) - 相手の健康や成功を祈る表現:
祝好! (Zhù hǎo!)
(ご健勝をお祈りします。親しい相手にも使える便利な結びです。)
今後のお付き合いを願う「今後ともよろしくお願いします」
取引先との商談の終わりや、プロジェクトの成功後など、これからの良好な関係を願う場面で使います。
今後ともよろしくお願いいたします。
希望今后也能多多关照。
Xīwàng jīnhòu yě néng duōduō guānzhào.
解説:「今後も引き続きお世話になります」というニュアンスで、フォーマルな場面で使えます。
今後、より一層の協力関係を築けることを楽しみにしています。
希望我们以后合作愉快。
Xīwàng wǒmen yǐhòu hézuò yúkuài.
解説:「合作愉快 (hézuò yúkuài)」は「協力がうまくいく、楽しく仕事ができる」という意味の決まり文句で、非常にポジティブな印象を与えます。
【シーン別】日常会話で心を通わせる「よろしくね」
家族や友人など、親しい間柄で使う「よろしく」は、ビジネスシーンとは全く異なる表現を使います。よりシンプルで直接的な言葉が好まれます。

親しい友人へのお願いはシンプルに「拜托了!」
友人や家族に何かをお願いする時の「よろしく!」
ちょっとした頼み事をする時は、ビジネスでも使った「拜托 (bàituō)」がカジュアルな場面でも大活躍します。語尾に「了 (le)」をつけると、より口語的になります。
この本、明日まで貸してくれない?よろしく!
这本书可以借我到明天吗?拜托了!
Zhè běn shū kěyǐ jiè wǒ dào míngtiān ma? Bàituō le!
駅に着いたら連絡してね、よろしく!
你到车站了就联系我,麻烦你了啊。
Nǐ dào chēzhàn le jiù liánxì wǒ, máfan nǐ le a.
解説:「麻烦你」も使えます。語尾の「啊 (a)」は語気を和らげる効果があります。
別れ際に次の約束を確認する「じゃあ、よろしくね」
日本語では念押しで「よろしく」と言いますが、中国語ではこのニュアンスを付け加える必要はほとんどありません。約束の内容を繰り返すだけで十分です。
じゃあ、また来週の水曜日に会おうね。(よろしく!)
那我们下周三见吧。
Nà wǒmen xià zhōu sān jiàn ba.
解説:「〜吧 (ba)」は「~しようね」という提案や確認の意味を表し、これだけで「よろしく」の気持ちが伝わります。
感謝を込めて伝える「これからもよろしくね」
恋人や配偶者、親友に対して、日頃の感謝と共に「これからもよろしく」と伝える場面。中国語では、感謝の言葉や、未来へのポジティブなメッセージで表現するのが一般的です。「これからもお世話になります」という意味合いの言葉は、かえって距離を感じさせてしまうことがあります。
いつもありがとう。これからもずっと一緒にいようね。(=これからもよろしく)
谢谢你一直陪着我。我们以后也要一直在一起。
Xièxie nǐ yìzhí péizhe wǒ. Wǒmen yǐhòu yě yào yìzhí zài yìqǐ.
新年の挨拶「今年もよろしく」
新年の挨拶でも「よろしく」は定番ですが、これもシーンによって使い分けが必要です。
(ビジネスの相手に)明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。
新年快乐!新的一年也请多多关照。
Xīnnián kuàilè! Xīn de yì nián yě qǐng duōduō guānzhào.
(友人に)あけおめ!今年もよろしくね!
新年快乐!今年也一起玩儿吧!
Xīnnián kuàilè! Jīnnián yě yìqǐ wánr ba!
解説:「今年も一緒に楽しもうね!」のように、具体的な行動を提案する方が、より自然で親しい感じが出ます。
【応用編】「〇〇さんによろしくお伝えください」はどう言う?
別れ際などに使う伝言の「よろしく」にも、決まった表現があります。
フォーマルな伝言
ビジネスの相手や目上の方への伝言は、丁寧な表現を使いましょう。
田中部長によろしくお伝えください。
请代我向田中部长问好。
Qǐng dài wǒ xiàng Tiánzhōng bùzhǎng wènhǎo.
解説:「代我 (dài wǒ)」は「私の代わりに」、「向 (xiàng) 〇〇 问好 (wènhǎo)」は「〇〇によろしくと尋ねる」という意味の定型フレーズです。
カジュアルな伝言
友人や家族への伝言は、よりシンプルな表現になります。
奥さんによろしくね!
跟你妻子问个好。
Gēn nǐ qīzi wèn ge hǎo.
日本人がやりがち!中国語の「よろしく」NG使用例
最後に、これまでの内容を踏まえて、日本人が犯しやすい間違いを2つ紹介します。これを避けるだけでも、あなたの中国語はぐっと自然になります。
NG例1:軽いお願いに「拜托您了」を使う
「このペン、貸してください。よろしくお願いします」というような軽いお願いの場面で、丁寧さを意識するあまり「请借给我这支笔,拜托您了 (Qǐng jiè gěi wǒ zhè zhī bǐ, bàituō nín le)」と言ってしまうと、相手は恐縮してしまいます。この場合はシンプルに「可以借我一下这支笔吗?谢谢 (Kěyǐ jiè wǒ yíxià zhè zhī bǐ ma? Xièxie)」(このペン、ちょっと貸してもらえますか?ありがとう)で十分です。
NG例2:恋人に「请多关照」と言う
交際を始めたばかりの恋人に対して、改まった気持ちで「これからよろしくね」と言いたくなるかもしれませんが、そこで「以后请多关照 (Yǐhòu qǐng duō guānzhào)」と言うのは絶対にNGです。これは「これからお世話になります」という、ビジネスライクで他人行儀な宣言に聞こえてしまいます。先ほど紹介したように、「我们以后也要一直在一起 (Wǒmen yǐhòu yě yào yìzhí zài yìqǐ)」(これからもずっと一緒にいようね)といった、愛情のこもった言葉を選びましょう。
まとめ:状況に合わせた動詞の使い分けが「よろしく」マスターへの鍵
今回は、日本語の「よろしくお願いします」に対応する中国語表現を、様々なシーンに分けて詳しく解説しました。
この記事の重要ポイント
- 日本語の「よろしく」に100%対応する万能な中国語は存在しない。
- 「请多关照」は非常に丁寧な表現で、使う場面が限られる。
- 中国語では「何を」お願いしたいのか、具体的な動詞(拜托, 麻烦, 指教など)を使って表現することが重要。
- カジュアルな場面では、シンプルな挨拶「你好」や感謝「谢谢」だけで「よろしく」の気持ちが伝わることが多い。
- 相手との関係性や状況をよく考え、最適な言葉を選ぶことが円滑なコミュニケーションの鍵となる。
最初は難しく感じるかもしれませんが、今回ご紹介した例文を何度も音読し、実際の会話で積極的に使ってみることで、徐々に感覚が掴めてくるはずです。一つ一つの状況を思い浮かべながら、「この場面なら、どんな動詞が一番しっくりくるかな?」と考える癖をつけることが、ネイティブの感覚に近づくための最良のトレーニングになります。
ぜひ、この記事をブックマークして、中国語で「よろしく」と言いたい場面でいつでも見返せるようにしてくださいね!