【中国語文法の壁】「得」の使い分けで悩む人へ|補語の用法を例文で完全マスター<

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【中国語文法の壁】「得」の使い分けで悩む人へ|補語の用法を例文で完全マスター

他汉语说得很流利。」——この一文を見て、「なぜ が2回も?」「 と一体何が違うの?」と頭を抱え、中国語のテキストをそっと閉じてしまった経験はありませんか?大丈夫、あなただけではありません。中国語学習における「3匹の龍」とも言われる「的・地・得」。その中でも特に手強いのが、この「」という存在です。

しかし、ご安心ください。この記事は、そんなあなたのための「龍の攻略本」です。なぜ「得」が難しいのか、その理由を解き明かすことから始め、発音の異なる3つの顔を一つずつ暴き、最難関である「補語」の使い方を、豊富な例文と図解で徹底的にマスターしていきます。この記事を読み終える頃には、「得」への苦手意識は「得意」へと変わり、あなたの中国語表現力は新しいレベルへと進化しているはずです。文法の壁を本気で乗り越えたいなら、プロの指導者がいる中国語教室で、基礎からしっかり学ぶのが一番の近道かもしれません。

なぜ「得」は中国語学習の「ラスボス」なのか?日本人がつまずく3つの理由

攻略に入る前に、まずは敵(ラスボス)の正体をしっかり見極めましょう。なぜこれほど多くの学習者が「得」でつまずくのか、その理由を言語化することで、学ぶべきポイントが明確になります。

理由1:日本語に存在しない「補語」という概念

「得」が難しい最大の理由は、それが日本語にはない「補語」という文法概念と深く結びついているからです。日本語では「速く走る」「きれいに書く」のように、動作の様子を表すには主に副詞を使います。しかし中国語では、動作の結果や様子、可能性などを、動詞の後ろに置いて具体的に説明する「補語」という考え方が非常に発達しています。「得」は、その補語(特に様態補語や程度補語)を動詞と結びつけるための「接着剤」のような役割を果たすのです。この根本的な発想の違いが、日本人学習者を混乱させる最初の壁です。

理由2:音が同じ!3匹の龍「的・地・得」との大混戦

ご存知の通り、中国語にはピンインが “de” となる漢字が3つあります。文法的な役割は全く異なりますが、音が同じであるため、特にリスニングや会話で混同しやすく、苦手意識の原因となりがちです。それぞれの役割を明確に区別することが、最初の関門となります。

理由3:変幻自在!多すぎる用法と異なる発音

さらに厄介なことに、「得」には、補語のマーカー(de)以外にも、全く異なる意味と発音を持つ用法が存在します。動詞として「獲得する(dé)」と読んだり、助動詞として「〜しなければならない(děi)」と読んだりします。一つの漢字が複数の役割と発音を持つため、「この文の『得』は、どの用法で、何と読むべきか?」を文脈から判断する必要があり、これが学習をさらに複雑にしているのです。

最初の関門:3つの「de」の役割分担を完璧に理解する

「得」の攻略に入る前に、まずは混同しやすい3つの「de」のテリトリーを明確にしましょう。この表を頭に入れれば、混乱は大幅に減るはずです。

超重要!「的・地・得」見分け方比較表

漢字 位置 役割 簡単な例文
名詞の前 後ろの名詞を修飾する。「〜の」
例:形容詞/動詞/名詞 + 的 + 名詞
漂亮的 (きれいな花)
動詞の前 後ろの動詞を修飾する。「〜に、〜な様子で」
例:形容詞 + 地 + 動詞
慢慢地 (ゆっくりと歩く)
動詞/形容詞の後 前の動詞/形容詞を補足説明する。
例:動詞 + 得 + 説明(補語)
得很快 (走るのが速い)

発音で攻略!動詞「得(dé)」と助動詞「得(děi)」の使い方

構造助詞(de)という本丸に挑む前に、まずは肩慣らしとして、意味と発音が明確な2つの用法をマスターしましょう。

用法1:動詞としての「得 (dé)」 – 手に入れる、得る

第二声の「dé」と発音する場合、これは「手に入れる、獲得する、病気になる」といった意味を持つ動詞です。
例:这次考试我得了满分。 (zhè cì kǎoshì wǒ dé le mǎnfēn) – 今回のテストで満点を取った。

用法2:助動詞としての「得 (děi)」 – 〜しなければならない

第三声の「děi」と発音する場合、これは「〜しなければならない」という義務や必要性を表す助動詞になります。話し言葉で頻出します。
例:时间不早了,我得走了。 (shíjiān bù zǎo le, wǒ děi zǒu le) – もう遅いので、行かなくてはなりません。

最難関ダンジョンに挑む!構造助詞「得(de)」と補語の世界

さて、ここからが本番です。軽声で「de」と発音される構造助詞「得」と、それが導く「補語」の世界を冒険しましょう。

様態補語:動作の「クオリティ」を描写する魔法

様態補語は、動詞の動作がどのような様子・状態か(=クオリティ)を具体的に説明する成分です。「得」は、その動詞と説明部分をつなぐ「接着剤」です。

【基本形】 動詞 + 得 + 様態補語 (多くは副詞+形容詞)
例:跑得很快。 (pǎo de hěn kuài) – 走るのがとても速い。

速く走るアスリートと中国語の様態補語の例文

動作(跑)の様子(很快)を「得」が繋ぎます。

★最重要ルール:動詞の後に目的語がある場合

「彼は中国語を話すのが上手だ」のように目的語(汉语)がある場合、動詞を繰り返すという特殊なルールがあります。

【鉄則】 主語 + 動詞 + 目的語 + 動詞 + 得 + 様態補語
例:汉语得特别棒。 (tā shuō hànyǔ shuō de tèbié bàng)

程度補語:「ヤバさ」のレベルを伝える表現

程度補語は、動作や状態がどのくらい甚だしいレベルかを表現し、「〜すぎて〜だ」という意味になります。
例:我最近累得不想吃饭。 (wǒ zuìjìn lèi de bùxiǎng chīfàn) – 私は最近、疲れすぎてご飯も食べたくない。

可能補語:中国語の「できる・できない」の心臓部

可能補語は、動作の結果が実現可能かどうかを表す、極めて重要な用法です。

【肯定形】 動詞 + 得 + 補語
【否定形】 動詞 + 不 + 補語

  • 看得懂 / 看不懂 (kàn de dǒng / kàn bu dǒng) – 見て理解できる / できない
  • 听得见 / 听不见 (tīng de jiàn / tīng bu jiàn) – 聞こえる / 聞こえない

★「V不C」と「不能V」の違い

`看不懂`は「見ても(能力や条件的に)理解できない」という結果の不可能性を表すのに対し、`不能看`は「見てはいけない(許可がない)」「見る状況にない(時間がない等)」という行為自体の不可能性を表します。このニュアンスの違いは非常に重要です。

可能補語の「できる」「できない」を比較するインフォグラフィック

可能補語は「できる(得)」「できない(不)」という結果の可能性を表します。

【腕試し】あなたの「得」理解度チェック!よくある間違い探し

ここまでの内容が理解できたか、クイズ形式で挑戦してみましょう!以下の間違った文章を正しく直せますか?

【第1問】❌ 我学习得汉语。

(ヒント:「得」は動詞と目的語の間には入れません)

正解: 我学习汉语。 (単純な「S+V+O」の文ですね)


【第2問】❌ 他唱歌很好听。

(ヒント:動作の様子を説明するには「得」が必要です!)

正解: 他唱歌唱得很好听。 (目的語があるので動詞を繰り返します)


【第3問】❌ 我听不懂他的话,所以我不能听。

(ヒント:「聞いて理解できない」のはどの表現が適切でしょう?)

正解: 我听不懂他的话。 (彼の話は聞いて理解できない。後の文は不要です)

表現の幅が爆発的に広がる!「得」を使った応用フレーズ集

文法を理解したら、会話で使える便利なフレーズをどんどんインプットしましょう。

A你今天穿得很漂亮啊!
(今日すごくきれいな格好してるね! 様態補語)

B谢谢!我得去参加朋友的婚礼。
(ありがとう!友達の結婚式に行かなきゃいけないの。 助動詞děi)

A作业太多了,我今天肯定做不完。
(宿題が多すぎて、今日は絶対に終わらないよ。 可能補語)

B怪不得你看上去那么累。
(どうりでそんなに疲れて見えるわけだ。 応用フレーズ)

「〜しなければならない」という意味の中国語「得(děi)」のイメージ

助動詞「děi」は「〜しなければならない」という状況で使います。

苦手克服から「得意」へ!明日からできる「得」完全習得トレーニング

最後に、「得」を自在に操るための具体的なトレーニング方法をご紹介します。インプットとアウトプットを繰り返すことが、感覚を養う一番の近道です。

  • 瞬間作文トレーニング:「速く走る」→「跑得很快」、「見えない」→「看不见」のように、日本語から瞬時に中国語へ変換する練習を繰り返します。
  • ドラマのセリフで学ぶ:中国ドラマを見て、「得」が使われているセリフを書き出してみましょう。どんな感情や状況で使われているか、文脈と共に学ぶのが効果的です。
  • 言語交換パートナーと実践:パートナーに「私の今日の服はどう?」と聞いて「你今天穿得很帅!(今日の服装、かっこいいよ!)」と言ってもらうなど、意図的に「得」が使われる会話をしてみましょう。

まとめ:さあ、「得」を使いこなして、新しい表現の扉を開こう!

今回は、多くの中国語学習者を悩ませる「ラスボス」、「」の攻略法を徹底的に解説しました。

本日の最重要ポイント

  • 「得」には動詞(dé)助動詞(děi)構造助詞(de)の3つの顔がある。発音で区別!
  • 構造助詞(de)は、補語を導く「接着剤」。それ自体に意味はない。
  • 目的語がある様態補語は「V+O+V+得」の形を徹底的に覚える!
  • 可能補語「V+得/不+C」は、「できる/できない」を表す超頻出表現。

日本語にない「補語」という概念は、最初は難しく感じるかもしれません。しかし、一つひとつ文章を分解し、その構造を理解することで、これまで曖昧だった部分が驚くほどクリアになるはずです。「得」を使いこなせるようになると、単に事実を伝えるだけでなく、物事の様子や自分の感情を細やかに表現できるようになり、中国語でのコミュニケーションが何倍も楽しくなります。この記事を相棒に、ぜひ「得」をあなたの「得意」な文法にしてください!

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ヤン・ファン (楊芳) この記事を書いた人

講師育成で知られる中国・東北師範大学卒業。講師歴は14年に及び、特に日系企業の駐在員やビジネスパーソン向けの指導経験が豊富です。現役の日中医療通訳士としても活動し同行・商談通訳等にも対応可能です
基礎からの正確な発音指導、ビジネス中国語、赴任前短期集中レッスン、HSK・中国語検定対策、日中医療通訳トレーニング。クイック・レスポンス、シャドウイング等の通訳訓練法をレッスンに導入し、実践的なコミュニケーション能力の効率的な習得をサポートします。企業研修(対面・リモート)、個人・グループレッスン、同行・商談通訳等にも対応可能で教材作成、レッスンカリキュラム、講師育成など幅広い分野で活躍。

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