中国への旅行、出張、留学の予定が決まり、準備を進める中で「お金の問題」に直面していませんか。「中国元は日本と現地のどちらで両替したほうがよいのだろうか」「空港、銀行、ATMのうち、どこを選べば損を抑えられるのか」と、多くの方が同じような悩みを抱えています。
現在の中国本土では、Alipay(支付宝)やWeChat Pay(微信支付)といったQRコード決済が社会の隅々まで浸透しています。外国人旅行者も手持ちの国際ブランドのクレジットカードをアプリに登録して利用できるようになり、都市部ではスマートフォンさえあれば大半の支払いをスムーズに済ませられる場面が劇的に増えました。
それでも、「現金をまったく用意しないで渡航する」という計画には大きな不安が残ります。もし通信障害が起きたらどうなるでしょうか。スマートフォンの充電が切れてしまったり、クレジットカード会社による突然のセキュリティロックがかかったり、本人確認がうまく通らずアプリ側のエラーが起きたりすれば、異国の地で文字通り「一銭も支払えない」事態に陥ってしまいます。言葉の壁がある中で、現金を持たずにトラブルに対処するのは非常に困難です。
中国元の両替を成功させるには、単純に「一番レートがよい場所」を探すだけではなく、現地での決済手段全体をデザインする視点が必要です。出発前に基礎的な中国語のやり取りを中国語教室などで学んでおき、適切な場所で安全に現金を確保することが、心強いお守りとなります。
この記事では、両替レートの正しい読み方から、日本国内と中国現地の両替場所の比較、安全なATMの使い方、そして窓口で確実にお金を受け取るための実践的な中国語フレーズまで、順を追って詳しくお伝えします。最後まで目を通していただくことで、現地でお金に困ることなく、スムーズで快適な滞在を実現できるはずです。
中国元の両替で先に押さえたい基本方針
- メインの支払いはQRコード決済、予備として現金を持つのが最適
- 旅行費用の全額を一度に現金化する必要はない
- アプリ2種と異なるブランドのカード2枚を準備する
中国本土への短期渡航において最も理にかなっているのは、QRコード決済を主軸とし、人民元の現金を予備として持つというハイブリッドな方法です。
なぜなら、現金を多く用意しすぎると、単純にスリや紛失のリスクが高まるからです。さらに、使い切れずに余った人民元を帰国時に日本円へ戻す場合、「日本円→人民元」「人民元→日本円」という2回の交換が行われ、それぞれで不利な為替レートが適用されるため、目減りする差額が大きくなってしまいます。
一方で、現金が手元にまったくない状態も危険です。空港からホテルへ向かうタクシーでアプリが立ち上がらなかったり、屋台の小さなお店で現金しか受け付けてもらえなかったりした場合、身動きが取れなくなります。通信インフラに依存する電子決済は、万が一のシステムダウン時に無力です。
したがって、出発前に旅行費用の全額をわざわざ人民元へ両替する必要はありません。まずは「空港から市内までの交通費」「初日の食事代」「現地SIMカードなど通信手段の確保」に使える程度の予備資金を用意し、残りの生活費はQRコード決済やクレジットカードで支払う形が、最も安全で扱いやすいスタイルといえます。
では、具体的にどのようなバランスで準備を進めればよいのでしょうか。
おすすめの組み合わせと準備手順
数日間の短期旅行や出張であれば、以下の組み合わせを一つの基準として準備を進めてみてください。
- 日本国内で事前に少額(数千円〜1万円程度)の人民元を用意しておく
- Alipay(支付宝)とWeChat Pay(微信支付)の両方のアプリをダウンロードし、本人確認を済ませておく
- 異なるカード会社(Visa、Mastercardなど)のクレジットカードを2枚以上用意し、アプリに紐づける
- 現地で現金が不足したときだけ、銀行の窓口やATMを利用して補充する
- 現金、スマートフォン、予備のカードを一つの財布にまとめず、別々のバッグやポケットに分散させる
決済アプリをわざわざ2種類も用意するのには明確な理由があります。店舗のレジ端末の不具合や、通信回線の相性によって、「AlipayはエラーになるがWeChat Payなら決済できた」というケースが頻繁に起こるからです。クレジットカードを複数枚用意するのも同様に、カード会社の不正利用検知システムが誤作動して一時的にロックされた場合の影響を最小限に食い止めるためです。
中国の通貨「人民元」とCNY・RMBの違い
- 正式名称は「人民币」、日常会話では「块(kuài)」と呼ぶ
- 「CNY」と「RMB」はどちらも同じ中国元を指す
- 日本円と同じ「¥」記号が使われるため混同に注意する
両替を行う前に、中国のお金の単位と呼び方について正確に把握しておきましょう。ここを曖昧にしたまま現地へ向かうと、料金の確認や支払い時に大きな勘違いが生じる可能性があります。
中国本土で流通している通貨の正式名称は「人民币(rénmínbì/人民元)」です。国際的な金融取引で使われる通貨コードは「CNY(Chinese Yuan)」ですが、現地の店舗のメニュー表や銀行の案内ボードでは「RMB(Renminbiの頭文字)」と表記されることも多々あります。これらはすべて同じ通貨を指しています。
名称と単位の使われ方を分かりやすく整理しました。
- 人民币 (rénmínbì):中国語における通貨の正式名称です。
- 人民元:日本のニュースや日常会話で一般的に使われる日本語の名称です。
- CNY:国際規格(ISO)で定められた通貨コードです。為替アプリなどでよく見かけます。
- RMB:Renminbiを省略した表記で、現地で広く使われています。
- 元 (yuán):金額を表す基本単位です。主に書面やフォーマルな場で使われます。
- 块 (kuài):「元」に相当する口語表現です。日常会話の9割以上はこちらが使われます。
- 角 (jiǎo) / 毛 (máo):1元の10分の1(0.1元)に当たる補助単位です。口語では「毛」と言います。
ここで特に気をつけたいのが、話し言葉としての「块(kuài)」です。レストランで料理の値段を聞いたとき、店員から「三十块(sānshí kuài)」と返ってきたら、それは「30元」という意味です。文字としては「元」が書かれていますが、耳から入ってくる音は「块」であるという違いに慣れておく必要があります。
中国元は、日本円とまったく同じ「¥」という記号を使って表記されることがよくあります。航空券の予約サイトや現地のオンラインショッピングサイトを利用する際、「¥ 500」と表示されていても、それが日本円の500円なのか、人民元の500元(日本円で約10,000円相当)なのかを必ず「JPY」「CNY」の表記で確認してください。記号だけで判断すると、想定外の高額請求につながる恐れがあります。
紙幣と硬貨の種類
現在、中国本土で一般的に流通している主な紙幣は以下の6種類です。
- 100元(最高額紙幣。赤色が特徴)
- 50元(緑色)
- 20元(茶色)
- 10元(青色)
- 5元(紫色)
- 1元(黄緑色)

日本国内の銀行や両替専門店で日本円から人民元へ両替する場合、硬貨(1角、5角、1元コイン)は取り扱っておらず、紙幣のみのやり取りになるのが一般的です。さらに、店舗によっては小額紙幣(1元、5元)の在庫を置いていないこともあります。細かいお金が必要な場合は、事前に電話などで在庫状況を確認しておくと安心です。
香港・マカオ・台湾では通貨が異なる
中国旅行を計画する際、複数の地域を周遊するルートを組む方もいるでしょう。しかし、人民元が通用するのは基本的に「中国本土」のみです。近隣地域ではそれぞれ独自の通貨が発行されています。
- 香港:香港ドル(HKD)
- マカオ:パタカ(MOP)および香港ドル
- 台湾:新台湾ドル(TWD)
たとえば「上海に3泊したあと、香港へ2泊する」という日程の場合、上海で両替した人民元を香港の飲食店でそのまま使うことはできません。地域が変われば通貨も決済アプリのルールも変わるため、目的地ごとの準備が必要になる点に留意してください。
両替レートと手数料の仕組み
- 「手数料無料」という言葉の裏には、不利なレート設定が隠れている
- 比較すべきは表面上の手数料ではなく「最終受取額」
- 日本と中国ではレートの表示形式(向き)が異なることに注意する
次に、多くの方が戸惑う「両替レート」と「手数料」の関係について詳しくお伝えします。両替所で損を避けるための鉄則は、看板に掲げられた「手数料無料」という魅力的な言葉に惑わされず、手元に残る最終的な金額を冷静に比較することです。
テレビのニュースや為替情報サイトで目にする「1元=約20円」といったレートは、あくまで銀行間で行われる大規模な市場取引の基準となる「仲値(なかね)」です。私たち個人の旅行者が現金を両替する際は、この仲値に、紙幣の輸送費、保管コスト、偽札確認のリスク、人件費などが上乗せされた「現金用のレート」が適用されます。
そのため、「両替手数料0円」「取扱手数料無料」と謳っている店舗であっても、実際には基準レートに大きなマージン(利益)を上乗せして設定しているだけで、実質的な負担は決して軽くありません。
比較すべき数字は「最終受取額」
複数の両替店を比較する際、最も確実な方法は「同じ日本円を窓口で渡した場合、最終的に何元受け取れるか」という結果の数字を確認することです。
たとえば、手元の5万円を人民元に両替したい場合、各店舗で次のように尋ねます。
「5万円を支払ったら、手数料などをすべて差し引いた後、最終的に何元受け取れますか」
その結果、以下のような回答があったと仮定します。
- A店:表示上の手数料は「無料」。最終受取額は「2,050元」。
- B店:表示上の手数料は「500円」。最終受取額は「2,080元」。
- C店:表示上の手数料は「無料」。最終受取額は「2,020元」。
この場合、別途500円の手数料を請求されるB店が、実は最も多くの人民元を受け取れる一番お得な店舗であることが分かります。表面上の見せ方ではなく、最終的な結果の数字で判断すべき理由がお分かりいただけるでしょう。
日本と中国ではレート表示の向きが異なる
実は、ここにも意外な落とし穴が潜んでいます。日本国内の両替所と、中国現地の両替所では、電光掲示板に表示されるレートの形式が逆になっていることが多いのです。
【日本の表示形式:「1元を買うために何円必要か」】
例:「CNY 21.50」と表示されていたら、1元を手に入れるために21.5円を支払うという意味です。この表示形式の場合、数字が小さいほど少ない日本円で人民元を買えるため、旅行者にとって有利になります。
【中国の表示形式:「100円で何元受け取れるか」】
例:「JPY 4.65」と表示されていたら(※100円あたりの数字を示す場合)、100円を渡すと4.65元を受け取れるという意味です。この表示形式の場合、数字が大きいほど同じ日本円で多くの人民元を受け取れるため、旅行者にとって有利になります。
表示の向きを確認せずに「数字が小さいからお得だ」と慌てて飛びつくと、まったく逆の損な取引をしてしまう恐れがあります。まずは「何円で1元を買うのか」「100円で何元受け取れるのか」の前提を確認する癖をつけてください。
中国元を両替できる場所の比較
- 場所によって手軽さ、費用、安全性のバランスが異なる
- 少額なら交通費や手間を考慮して利便性を優先する
- 大金ならレート差の影響が大きいため複数比較が必須
日本円を中国元へ両替できる場所は多数あります。それぞれのメリットとデメリットを比較してみましょう。
日本の銀行窓口:信頼性が極めて高く、偽札が混入する心配がありません。日本語でじっくり手続きができる反面、為替手数料がやや高く設定されていることが多く、平日の日中しか営業していないという時間の制約があります。
日本の外貨両替専門店:駅前や繁華街にあり、土日や夜間も営業している店舗が多いため利便性が高いです。店舗によってレートに大きなばらつきがあるため、周辺に複数店舗がある場合は歩いて比較することをおすすめします。
日本の空港:出発の直前に両替できるため圧倒的に手軽ですが、空港の施設維持費などがレートに上乗せされており、街中の店舗に比べて受取額が少なくなる傾向があります。ただし、数千円〜1万円程度の少額両替であれば、街の安い両替所まで出向く電車代や時間の手間のほうが大きくなるため、空港での両替も十分に合理的な選択肢です。
中国の空港:到着してすぐ、入国審査後や手荷物受取所の近くで両替できます。当面のタクシー代などを確保するのに必須ですが、取引1回ごとに高額な「固定取扱手数料(50元〜60元程度)」が差し引かれることが多く、少額を両替すると非常に割高になります。
中国の銀行:現地の市中銀行(中国銀行、中国工商銀行など)は、総じて日本の空港や現地の空港よりもレートが良い場合が多いです。しかし、外国人がパスポートを提示して両替するには書類への記入など多くの手続きが必要で、待ち時間を含めて1時間以上かかることも珍しくありません。時間に余裕がある人向けです。
日本国内で中国元を用意する方法とポイント
- 日本国内での両替は言葉の壁がなく確実性が高い
- 銀行を利用する場合は在庫と取扱時間を確認する
- 必ず10元や50元などの「小額紙幣」を混ぜてもらう
現地に到着してから言葉の通じない環境で両替所を探し回るのは、精神的なストレスになります。そのため、当面必要な資金(空港からホテルまでの移動費や初日の食費など)は、言葉の壁がなく安全な日本国内で確実に用意しておくことを強く推奨します。
日本の銀行を利用する場合は、すべての支店で外貨の現金を扱っているわけではない点に注意してください。「銀行に行けばいつでも両替できるだろう」と当日飛び込むと、取り扱いがなくて慌てることになります。来店前に公式サイトや電話で「中国元の現金の取り扱いがあるか」「希望する金額の在庫があるか」を確認してから向かいましょう。
小額紙幣を混ぜてもらう決定的な理由
日本国内の窓口で人民元を受け取る際、100元札(最高額紙幣)ばかりで受け取らないことが極めて重要です。必ず10元、20元、50元といった小額紙幣を混ぜてもらうように窓口の担当者にお願いしてください。
その理由は、現在の中国における激しいキャッシュレス化にあります。多くの店舗やタクシー運転手は、日々の取引のほとんどをQRコード決済で済ませているため、レジの中に「現金のお釣り」を十分に用意していません。屋台で15元の肉まんを買うために100元札を出すと、「お釣りがないから売れない」と露骨に嫌がられたり、受け取りを拒否されたりするトラブルが頻発します。
窓口で「10元札を多めに、50元札も数枚入れてください」と具体的に希望を伝えるだけで、現地到着直後の小さな支払いが驚くほどスムーズになります。
中国の空港や銀行で両替する際の手順と注意点
- 中国の空港両替所は「1回ごとの固定手数料」に注意
- 中国の銀行ではパスポート原本と滞在先情報が必須
- 窓口を離れる前に必ず枚数と紙幣の状態を確認する
日本で準備ができなかった場合や、現地で滞在が延びて現金が不足した場合は、中国現地の施設を利用することになります。それぞれのシチュエーションに応じた手順と注意点を見ていきましょう。
中国の空港にある窓口・自動両替機
北京首都国際空港や上海浦東国際空港など、主要な空港には到着ロビーに両替窓口や自動両替機が設置されています。手軽で安心感がありますが、前述の通り取引1回ごとに50〜60元(約1,000円〜1,200円)の固定取扱手数料を差し引かれるケースが多々あります。
たとえば、急いで1万円だけ両替しようとした場合、為替レートの差額とは別にこの固定手数料が引かれるため、手元に残る金額が極端に少なくなってしまいます。「空港では当面の少額だけ換える」というセオリーが、固定費の仕組みによってはかえって大損につながる罠になり得ます。手続きを確定させる前に、必ず「手续费(手数料)」の金額を画面やスタッフに確認してください。
中国の銀行での手続きの流れ
現地の市中銀行(中国銀行、中国工商銀行など)で日本円を人民元へ両替する場合、レートは比較的良好ですが、手続きは非常に厳格です。外国人の手続きに慣れていない小さな支店では断られることもあるため、外国人が多く宿泊するエリアの大型支店を選ぶのがコツです。
銀行へ持参すべき必須アイテムは以下の通りです。
- パスポート原本(コピーやスマートフォンの画像は不可)
- 両替する日本円の現金
- 中国国内の滞在先住所(ホテルの予約確認書など)
- 中国で連絡可能な電話番号
銀行に入ったら、まずは案内係(多くの場合、入口付近に立っている警備員やフロアマネージャー)に両替したい旨を伝えます。言葉が通じない場合は、スマートフォンで「我要把日元换成人民币(日本円を人民元に両替したいです)」という文字を見せれば、外貨取扱窓口の番号札(整理券)を発券してくれます。
自分の番号が呼ばれたら窓口へ行き、パスポートと現金を提出します。渡される申請書に氏名、パスポート番号、滞在先住所などを記入し、提示されたレートと最終的な受取額を確認して署名します。観光の予定が詰まっている日に組み込むとスケジュールが狂う原因になるため、時間に余裕を持たせておきましょう。
海外対応ATMで人民元を引き出す方法
- VisaやMastercardを使って必要な分だけ現金を引き出せる
- クレジットカードの場合は「海外キャッシング(借入)」となる
- ATM画面の「独自レートでの円換算」提案には注意する
窓口での言葉のやり取りや長い待ち時間を避けたい方に人気なのが、海外対応ATMを利用した現金引き出しです。VisaやMastercardなどの国際ブランドマークがついたカードを持っていれば、中国国内の多くのATMで人民元を直接引き出すことができます。

ただし、クレジットカードを使って現金を引き出す行為は、預金の引き出しではなく「海外キャッシング(借入)」として扱われます。引き出したその日から、カード会社に返済するまでの日数分だけ所定の利息(年利18%程度が一般的)が発生します。帰国後、早めにカード会社のサポートデスクに連絡して一括繰上返済を行えば、利息を数百円程度に抑えることが可能です。
海外のATMで取引を進めると、画面上に突然「JPY(日本円)で決済を確定させますか?」といった案内(DCC決済の提案)が表示されることがあります。これはATMの運営会社が独自の、非常に割高なレートで日本円に換算して請求する仕組みです。この画面が出た場合は、必ず「CNY(人民元)」のまま処理する選択肢、あるいは「Without Conversion(換算なし)」を選んでください。カード会社が規定する本来のレートのほうが負担を抑えられます。
偽札や個人両替を避けるための防犯対策
- 路上で声をかけてくる個人の両替人には絶対に応じない
- 窓口やATMで紙幣を受け取ったらその場を離れずに確認する
- 大きく破れた紙幣はその場で交換を要求する
中国の空港の到着ロビーや大きな銀行の入り口付近を歩いていると、「両替しないか?銀行よりレートを良くするよ」と日本語や英語で声をかけてくる人物に遭遇することがあります。これらは非正規の個人両替(ヤミ両替)であり、絶対に応じてはいけません。
巧妙に偽札を混ぜられたり、数えている最中に手品のような手口で枚数を抜き取られたり、日本円を受け取った瞬間に逃走されたりする被害が後を絶ちません。公的な明細書も発行されないため、後から警察に被害を届け出ても証拠が残りません。両替は必ず正規の窓口や管理されたATMで行ってください。
また、正規の窓口やATMを利用した場合でも、お金を受け取ったらその場から一歩も動かずに枚数と状態を確認する習慣をつけてください。端が大きくちぎれていたり、テープで補修されていたりする紙幣は、いざ現地の店舗で使おうとした時に受け取りを拒否されることがあります。もし状態の悪い紙幣が混ざっていたら、窓口を離れる前に「请换一张(別のものに換えてください)」と伝えて交換してもらいましょう。
両替窓口や現地で使える実践中国語フレーズ集
- 希望や要求はシンプルで明確な文法を使って伝える
- 数字や金額は手書きや電卓を併用すると確実
- 分からない時は曖昧に頷かず、「書いてください」とお願いする
それでは、いざ現地の両替窓口やお店に立ったとき、どのようにコミュニケーションを取ればよいのでしょうか。旅行者がそのまま使える実践的なフレーズと、その文法的な構造、発音のニュアンス、そしてリアルな会話例を場面別に詳しくお伝えします。
両替窓口での必須フレーズ
- フレーズ
- 我要把日元换成人民币。
- 日本語訳
- 日本円を人民元に両替したいです。
- 使う場面
- 銀行の入り口の案内係や、両替所の窓口に立った最初の第一声として使います。
- 注意点・誤用例
- 単に「换钱(お金を換える)」と言うよりも、「把A换成B(AをBに換える)」という構造を使うことで、どちらからどちらへの両替かが明確に伝わります。帰国時に余った人民元を日本円に戻したい場合は、「我要把人民币换成日元」とAとBを入れ替えるだけで応用できます。
- 発音・ニュアンス
- Wǒ yào bǎ rìyuán huàn chéng rénmínbì.(ウォ ヤオ バ リーユエン ホワン チョン レンミンビー)
「日元(rìyuán)」の「rì」は、舌を少し巻き上げるようにして発音すると自然に聞こえます。
- フレーズ
- 五万日元一共能换多少人民币?
- 日本語訳
- 5万円で全部で何人民元に両替できますか。
- 使う場面
- 手続きを確定させる前に、手数料を含めた「最終受取額」を確認するための最も重要なフレーズです。
- 注意点・誤用例
- 「一共(合計で、全部で)」という単語を入れることで、手数料などがすべて差し引かれた後の最終的な金額を尋ねていることが明確になります。金額部分を変えれば「一万日元(1万円)」「三万日元(3万円)」と応用可能です。
- 発音・ニュアンス
- Wǔwàn rìyuán yígòng néng huàn duōshao rénmínbì?(ウーワン リーユエン イーゴン ネン ホワン ドゥオシャオ レンミンビー)
- フレーズ
- 请给我一些小面额的纸币。
- 日本語訳
- 小さい額面の紙幣も少しください。
- 使う場面
- 現金を受け取る際、100元札ばかりで渡されそうになったときに小額紙幣(10元、20元、50元)を混ぜてもらうようお願いします。
- 注意点・誤用例
- 相手がピンと来ていないようであれば、さらに念押しとして「不要全是百元的(全部100元札にしないでください)」と付け加えると確実です。
- 発音・ニュアンス
- Qǐng gěi wǒ yìxiē xiǎo miàn’é de zhǐbì.(チン ゲイ ウォ イーシエ シアオ ミエンアー ドゥ ジービー)
「请(qǐng)」を冒頭につけることで、丁寧な依頼のニュアンスになります。
- フレーズ
- 我听不懂,请写下来。
- 日本語訳
- 聞き取れないので、書いてください。
- 使う場面
- 窓口のスタッフが早口で手数料やレートの説明をしてきたが、数字が聞き取れない場面で使います。
- 注意点・誤用例
- 分からないまま曖昧に「Yes」と頷いてしまうのは非常に危険です。数字に関わるトラブルを避けるため、スマートフォンのメモ画面や紙を差し出して、明確に書き出してもらいましょう。
- 発音・ニュアンス
- Wǒ tīngbudǒng, qǐng xiě xiàlái.(ウォ ティンブードン、チン シエ シアライ)
場面別会話シミュレーション(窓口でのやり取り)
実際の両替所で起こりうるやり取りを、対話形式で確認してみましょう。
- 会話例:空港の両替窓口にて
-
学習者(あなた):你好。我要把日元换成人民币。
(こんにちは。日本円を人民元に両替したいです。)窓口スタッフ:好的。你要换多少?
(分かりました。いくら両替しますか?)学習者:两万日元。有手续费吗?
(2万円です。手数料はかかりますか?)窓口スタッフ:每笔收六十块手续费。
(1回の手続きにつき、60元の手数料をいただきます。)学習者:扣除手续费后,一共能拿到多少?
(手数料を引いた後、全部でいくら受け取れますか?)窓口スタッフ:稍等。一共是八百八十块。
(少々お待ちください。合計で880元です。)学習者:好的,请给我一些小面额的纸币。
(分かりました。小さい額面の紙幣も混ぜてください。)
このように、手続きを確定する前に「有手续费吗?(手数料はありますか)」「一共能拿到多少?(全部でいくら受け取れますか)」と段階を踏んで確認することで、空港特有の固定手数料による想定外の損失を未然に防ぐことができます。
街中での支払いトラブル回避フレーズ
両替した現金を実際に街中で使う際にも、ちょっとしたコミュニケーションが必要です。
- 会話例:現地の屋台やタクシーにて(100元札を出す場面)
-
店員/運転手:二十块。(20元です。)
学習者(あなた):我只有一百块的,找得开吗?
(Wǒ zhǐ yǒu yìbǎi kuài de, zhǎo de kāi ma? / 100元札しかありませんが、お釣りはありますか?)店員/運転手:找不开。你有微信支付吗?
(お釣りはありません。WeChat Payは持っていますか?)学習者:我有。我扫你还是你扫我?
(持っています。私がQRコードを読み取りますか、それともあなたが読み取りますか?)

「找得开吗?(お釣りは出せますか、崩せますか)」というフレーズは、現金派の旅行者にとって必須の表現です。もしお釣りがないと言われた場合は、すぐに「我有支付宝(Alipayを持っています)」「我有微信支付(WeChat Payを持っています)」と切り替えられるようにしておきましょう。
よくある疑問(Q&A)
最後に、中国元の両替やお金の取り扱いに関して、多くの方が抱く疑問をQ&A形式で整理してお伝えします。
中国では本当に現金を使わなくても生活できますか?
人民元の現金は法定通貨であるため、国の方針として現金受け取りを拒否することは禁止されています。しかし現実には、店側がお釣り用の現金を用意していないことや、若い従業員が現金決済のレジ操作に不慣れなことが多々あります。QRコード決済をメインとしつつ、お釣りの出ない小額紙幣を持ち歩くのが最もスムーズです。
クレジットカードの「タッチ決済」は広く使えますか?
欧米や日本のように、街中のカフェやコンビニでクレジットカードを直接端末にタッチして支払うスタイルは、中国本土ではほとんど普及していません。クレジットカードはそのまま提示するのではなく、AlipayやWeChat Payのアプリの裏側に紐付けて(登録して)QRコード経由で決済するのが基本となります。
ATMでカードが吸い込まれて出てこないことはありますか?
暗証番号を複数回間違えたり、現金やカードが出た後に一定時間(約30秒)操作せずに放置したりすると、防犯のためにATMがカードを機内に回収してしまう仕様になっています。トラブル発生時にすぐ行員に助けを求められるよう、路上の無人ATMではなく、銀行店舗内にあり、かつ営業時間中のATMを利用することを強く推奨します。
両替時にもらう「水单(明細書)」は捨ててもよいですか?
帰国して日本円に戻す手続きが終わるまでは、絶対に捨てずに保管してください。特に、中国出国前に空港で余った人民元を日本円へ再両替する場合、「最初に外貨(日本円)から人民元へ両替した公的な証明書(水单)」の提示を求められることがあります。スマートフォンで写真を撮ってバックアップを残しておくとさらに安心です。
帰国時に余った硬貨(コイン)はどうすればよいですか?
日本の外貨両替店や銀行では、外国硬貨の買取(日本円への両替)は原則として行っていません。そのため、1元硬貨や角(0.1元)の小銭が大量に余ってしまった場合、日本に持ち帰ってもただの記念品になってしまいます。帰国する前に、空港のコンビニで飲み物やお菓子を買うなどして使い切ってしまうか、空港内にある募金箱へ入れるのが得策です。

