中国語で「行きません」と「行きませんでした」を言おうとして、「不」と「没」のどちらを置けばよいか止まってしまうことはありませんか。日本語ではどちらも「ない」と訳せるため、単語だけを暗記しても、会話になると迷いやすい部分です。
けれども、判断の軸は複雑ではありません。「意思・習慣・性質」を否定するなら「不」、「起きたかどうか・実現したかどうか」を否定するなら「没・没有」と考えると、多くの文を整理できます。過去か現在かだけで選ばないことが大切です。
この記事では、「不去」と「没去」の違いから、「不好」と「没好」、「不能」と「听不懂」、禁止を表す「不要・别・勿」まで、実際に口から出せる形で学びます。基礎を対話形式で練習したい場合は、中国語教室を活用する方法もあります。
まず全体像をつかみ、その後で語順、結果補語、やわらかな断り方へ進みます。最後には判断手順、練習問題、発音練習、よくある疑問も用意しました。では、「時間」ではなく「何を否定するか」という見方から始めましょう。
中国語の否定語は「何を打ち消すか」で選ぶ
- 「不」は意思、習慣、好み、性質、判断を否定する
- 「没・没有」は動作の不発生、未実現、経験、所有、存在を否定する
最初に覚えたい基準は、不は選択や状態、没は出来事の実現という対比です。「明日行かない」は予定や意思なので「不去」、「昨日行かなかった」は出来事が起きなかったので「没去」となります。
「現在や未来は不、過去は没」と覚える方法は、入口としては分かりやすいものの、例外に見える文がすぐに現れます。たとえば「子どものころは野菜を食べなかった」は過去の話ですが、習慣を述べるので「我小时候不吃蔬菜」と言います。
反対に、「まだ食べていない」は現在の話でも「我还没吃」となります。現在までに食べる動作が実現していないからです。カレンダー上の時点ではなく、話し手が意思を語っているのか、発生の有無を報告しているのかを見ましょう。
| 表現 | 中心となる意味 | 短い例 |
|---|---|---|
| 不(bù) | しない、そうではない | 我不去。行きません |
| 没・没有(méi・méiyǒu) | しなかった、まだしていない、存在しない | 我没去。行きませんでした |
| 不要・别 | しないで、するな | 别说话。話さないで |
| 勿(wù) | 掲示や案内での禁止 | 请勿拍照。撮影しないでください |
- フレーズ
- 我明天不去。
Wǒ míngtiān bú qù. - 日本語訳
- 私は明日行きません。
- 使う場面
- 翌日の予定を聞かれ、自分は参加しないと伝える場面です。
- 注意点・誤用例
- 昨日行かなかった事実なら「我昨天没去」です。「我昨天不去」は、文脈によっては昨日の時点で行かない意思だった、という読みになります。
- 発音・ニュアンス
- 「去 qù」が第四声なので、「不」は声調変化して「bú」と発音します。短く言うと強く聞こえる場合があるため、断る場面では理由を添えると穏やかです。

全体の地図が見えたところで、まずは「不」が担当する意思、習慣、判断を詳しく見ていきましょう。
「不」は意思・習慣・好み・性質を否定する
- 行動を選ばない意思や、普段の習慣には「不」を使う
- 「是」、形容詞、助動詞も原則として「不」で否定する
「不」は、動詞や形容詞の前に置き、本人の意思、繰り返される習慣、好み、認識、性質を打ち消します。核になる感覚は、その人や物についての判断です。
意思や予定を否定する
これから行うかどうかを選び、「しない」と伝えるときは「不+動詞」を使います。「我不买这个」は、買う動作が過去に起きなかったという報告ではなく、今ここで「これは買わない」と決める表現です。
- フレーズ
- 这个太贵了,我不买。
Zhège tài guì le, wǒ bù mǎi. - 日本語訳
- これは高すぎるので、買いません。
- 使う場面
- 店頭で価格を確認し、購入を見送る判断を伝える場面です。
- 注意点・誤用例
- 「我没买」は、実際に買わなかった、またはまだ買っていないという事実です。購入意思の否定とは視点が異なります。
- 発音・ニュアンス
- 「不买」は「bù mǎi」です。「买」は第三声なので「不」は第四声のまま、上から下へはっきり下げます。
習慣は過去の話でも「不」
「普段は飲まない」「週末は働かない」のように、繰り返される行動を否定するときも「不」です。ここが「過去なら没」という覚え方では処理しにくい部分です。
「我小时候不吃蔬菜」は、子どものころに野菜を食べない傾向が続いていたことを表します。「昨天我没吃蔬菜」は、昨日という一回の機会に食べる動作が発生しなかったことを表します。
- フレーズ
- 我平时不喝咖啡。
Wǒ píngshí bù hē kāfēi. - 日本語訳
- 私は普段コーヒーを飲みません。
- 使う場面
- 飲み物の好みや日常習慣を説明するときに使います。
- 注意点・誤用例
- 今朝だけ飲まなかったなら「我今天早上没喝咖啡」です。「平时」があることで、習慣の否定だと明確になります。
- 発音・ニュアンス
- 「不喝」は「bù hē」です。「平时」を少し強めると、今日だけではなく普段の話だと伝わりやすくなります。
好み・認識・心理を否定する
「喜欢」「想」「知道」「认识」のように、好みや考え、認識を表す動詞は通常「不」で否定します。「我不喜欢早起」「我不想出去」「我不知道」「我不认识他」の形です。
ただし、結果や経験を否定するなら「没」が現れます。「我没想到会下雨」は、考えがそこまで到達しなかったことを表します。「我没喜欢过他」は、「过」とともに過去から現在までの経験を否定しています。
「是」と形容詞は「不」で否定する
「AはBである」を表す「是」の否定形は、過去の話でも「不是」です。「他以前不是老师」は「彼は以前、教師ではありませんでした」という意味ですが、「没是老师」にはしません。
形容詞も原則として「不」で否定します。「这个商品不便宜」「那个房间不大」「昨天的菜不好吃」のように使います。中国語の形容詞は、日本語のように語尾を過去形へ変化させないため、時点は「昨天」「以前」や文脈で示します。
「有」の否定は例外的に「没有」を使います。「我不有时间」「房间里不有人」とは言わず、「我没有时间」「房间里没有人」とします。
助動詞はその前から否定する
「会」「能」「可以」「应该」「想」などがある文では、否定語は原則として助動詞の前です。不+助動詞+動詞という並びを一つの型にしましょう。
- 我不会游泳。Wǒ bú huì yóuyǒng./私は泳げません。
- 我不能参加。Wǒ bù néng cānjiā./私は参加できません。
- 你不可以在这里停车。Nǐ bù kěyǐ zài zhèlǐ tíngchē./ここに駐車してはいけません。
- 你不应该一个人去。Nǐ bù yīnggāi yí ge rén qù./一人で行くべきではありません。
「我不能吃香菇」は、体質、健康上の事情、規則などによって食べられないという意味になりやすい表現です。単なる好みなら「我不吃香菇」または「我不喜欢吃香菇」が自然です。次は、起きなかった事実を受け持つ「没」を見てみましょう。
「没・没有」は不発生・未実現・経験・存在を否定する
- 特定の動作が起きなかったときは「没+動詞」を使う
- 「还没」「没+動詞+过」「没有+名詞」の型を覚える
「没」は「没有」の短い形として使われ、ある出来事が発生しなかったこと、基準時までに実現していないことを示します。ここでの中心は、本人がどう思ったかではなく、実際に成立したかどうかです。
特定の機会に起きなかった動作
「昨日」「さっき」「その会議で」のように特定の機会があり、その場で動作が起きなかったなら「没」を置きます。「我昨天没去公司」「他没参加会议」「我没买那本书」が基本形です。
- フレーズ
- 我昨天没去公司。
Wǒ zuótiān méi qù gōngsī. - 日本語訳
- 私は昨日、会社に行きませんでした。
- 使う場面
- 昨日の行動を尋ねられ、出社しなかった事実を報告するときに使います。
- 注意点・誤用例
- 「我昨天不去公司」は、昨日の時点で「会社へ行かない」と決めていたという文脈なら成立します。単純な行動報告では「没去」が適切です。
- 発音・ニュアンス
- 「没 méi」は第二声です。低めから上げ、「去 qù」は鋭く下げます。意思よりも事実を淡々と伝える響きです。
「还没」は現在までの未実現
「还没+動詞」は「まだしていない」という頻出表現です。「我还没吃饭」は、過去の一時点だけでなく、話している今まで食事が実現していないことを表します。
「还不」と「还没」は似ていますが、視点が違います。「我还不吃」は「今はまだ食べない」という判断、「我还没吃」は「今までに食べていない」という状況報告です。
- フレーズ
- 作业还没写完。
Zuòyè hái méi xiěwán. - 日本語訳
- 宿題はまだ書き終わっていません。
- 使う場面
- 作業の進み具合を聞かれ、完了という結果に達していないと答える場面です。
- 注意点・誤用例
- 「写完」は「書き終える」です。「没写」は書かなかったこと、「没写完」は書き始めた可能性はあるが終わっていないことを表せます。
- 発音・ニュアンス
- 「还 hái」「没 méi」はどちらも第二声です。二つを平らにせず、それぞれ低めから上げると聞き分けやすくなります。
経験の否定では「过」を残す
経験を表す「过」を否定するときは、「没・没有」を動詞の前に置き、「过」は残します。型は没+動詞+过です。
- フレーズ
- 我没去过中国。
Wǒ méi qùguo Zhōngguó. - 日本語訳
- 私は中国へ行ったことがありません。
- 使う場面
- 旅行歴や訪問経験について尋ねられたときに使います。
- 注意点・誤用例
- 「我没去中国」は、ある機会に中国へ行かなかった、または現在まで行っていないという文です。生涯経験の有無を明確にするなら「过」を加えます。
- 発音・ニュアンス
- 経験を表す「过」は軽声で「guo」と短く添えます。「去过」を一まとまりにして練習すると自然です。
所有と存在を否定する「没有」
所有や存在を表す「有」は「没有」で否定します。「我没有钱」「我没时间」「房间里没有人」「附近没有便利店」のように使います。口語では「有」が省かれ、「没钱」「没空」「没人」と短くなることもあります。
「有意思」「有耐心」のように「有+名詞」で性質を表す語も同じです。「这本书没有意思」は「この本は面白くありません」、「他没有耐心」は「彼には忍耐力がありません」という意味です。
「不」と「没」の担当範囲が分かったら、次は同じ動詞を並べ、意味がどう動くかを確かめましょう。
「不去」と「没去」を対で覚える
- 同じ動詞でも「不」は意思や習慣、「没」は不発生を表す
- 形容詞に「没」が付くと、状態変化の未実現を表すことがある
使い分けを定着させる近道は、同じ動詞を「不」と「没」で挟み、二つの情景を思い浮かべることです。単独の訳語ではなく、意思と事実の対比として覚えましょう。
不去と没去
- フレーズ
- 我不去。Wǒ bú qù.
我没去。Wǒ méi qù. - 日本語訳
- 私は行きません。
私は行きませんでした/行っていません。 - 使う場面
- 「不去」は誘いへの返答や予定の表明、「没去」は出席したかどうかの報告に使います。
- 注意点・誤用例
- 日本語訳だけでは区別できない場合があります。「行くつもりがない」のか、「行く出来事がなかった」のかを確認します。
- 発音・ニュアンス
- 「bú qù」は上昇してから下降し、「méi qù」も上昇してから下降します。否定語の後ろを一拍空けずに発音します。
不吃と没吃
「我不吃早饭」は朝食を食べる習慣がない、または今は食べないという意思です。「我今天没吃早饭」は、今日の朝食という一回の行動が起きなかったことを伝えます。
不看と没看
「我不看那部电影」は、その映画を見るつもりがないという意味です。「我没看那部电影」は、見る機会があったかどうかにかかわらず、実際には見ていないことを示します。
不好と没好
形容詞には通常「不」を使いますが、状態への変化として捉えられる場合は「没」も使えます。「她身体不好」は体調がよくない状態です。「她的病还没好」は病気が治るという変化がまだ実現していません。
- フレーズ
- 水不凉。Shuǐ bù liáng.
水还没凉。Shuǐ hái méi liáng. - 日本語訳
- 水は冷たくありません。
水はまだ冷めていません。 - 使う場面
- 一つ目は水の温度を評価するとき、二つ目は熱い水が冷めるのを待っているときに使います。
- 注意点・誤用例
- すべての形容詞へ自由に「没」を付けられるわけではありません。「ある状態になる」という変化を自然に想像できるかが目安です。
- 発音・ニュアンス
- 「凉 liáng」は第二声です。「还没」を添えると、今後は冷めるという含みが生まれます。
対の感覚がつかめると、次に迷いやすいのは否定語を置く位置です。位置が変わると、単なる語順の違いではなく、否定する範囲そのものが変わります。
否定語の位置で意味と範囲が変わる
- 基本語順は「主語+否定語+動詞・形容詞」
- 「不都」と「都不」では、否定される範囲が異なる
基本は「主語+否定語+述語」です。「我没收到邮件」「这个孩子不听父母的话」のように、否定したい動詞や形容詞の直前へ置きます。助動詞があれば、「我不会说法语」のように助動詞の前から否定します。
不都は「全員というわけではない」
「他们不都是老师」は「彼らは全員が教師というわけではありません」という部分否定です。教師の人もいれば、教師でない人もいる可能性があります。不が都より前にあるため、「全員」という範囲を否定しています。
都不是は「全員が違う」
「他们都不是老师」は「彼らは全員、教師ではありません」という全面否定です。「都」が先に集団全体を指定し、その後ろの「不是」が全員にかかります。
- フレーズ
- 我们不都去。Wǒmen bù dōu qù.
我们都不去。Wǒmen dōu bú qù. - 日本語訳
- 私たち全員が行くわけではありません。
私たちは全員行きません。 - 使う場面
- グループの参加状況を説明し、一部だけ欠席するのか、全員欠席するのかを区別するときに使います。
- 注意点・誤用例
- 日本語の「みんな行かない」は二通りに取れる場合があります。中国語では「不都」と「都不」の順序を意識して区別します。
- 発音・ニュアンス
- 対比練習では「不都」と「都不」を少し強く読みます。強調位置が意味の範囲を聞き手へ伝える助けになります。
不太はやわらかく否定する
「不太+形容詞・動詞」は「あまり~ではない」という控えめな否定です。「我不太明白」は「あまりよく分かりません」、「这个不太方便」は「あまり都合がよくありません」という意味になります。
一方、「很不满意」は「かなり不満だ」、「非常不合理」は「非常に不合理だ」という強い否定です。「很不」は否定された状態の程度を強めます。「不太」と混同せず、語順ごと音で覚えると安全です。
一つもない・誰もいないを表す
「一+量詞+也・都+不/没」で、「一つも」「一度も」という全面否定を作れます。「我一个也没买」は一つも買わなかった事実、「我一口也不吃」は一口も食べないという強い意思です。
- 我一次也没去过。Wǒ yí cì yě méi qùguo./私は一度も行ったことがありません。
- 我什么都没买。Wǒ shénme dōu méi mǎi./私は何も買いませんでした。
- 谁也不知道。Shéi yě bù zhīdao./誰も知りません。
- 他哪儿都没去。Tā nǎr dōu méi qù./彼はどこにも行きませんでした。
「根本不」「并没有」「从来没」「再也不」などを加えると、否定へ話し手の態度を添えられます。ただし強い響きもあるため、初対面の相手への返答では「不太」「可能」などの緩和表現も選択肢に入ります。
「听不懂」は意思ではなく実現可能性の否定
- 「動詞+不+結果補語」は、結果へ到達できないことを表す
- 「不能」は事情や条件、「听不懂」は実際の結果に重点がある
「我不听」と「我听不懂」は、どちらにも「不」がありますが構造が違います。「我不听」は聞く意思がないこと、「我听不懂」は聞いても理解という結果に到達できないことです。
「听不懂」では、「不」が動詞「听」と結果を表す「懂」の間に入っています。この形を可能補語の否定形といい、試みても結果が成立しないという感覚を表します。
- フレーズ
- 我听不懂,请再说一遍。
Wǒ tīngbudǒng, qǐng zài shuō yí biàn. - 日本語訳
- 聞いても理解できません。もう一度言ってください。
- 使う場面
- 音は聞こえたものの、語彙や話す速さのために内容を理解できなかった場面です。
- 注意点・誤用例
- 「我不听」は「私は聞きません」という拒否です。「没听清楚」は、そのとき音をはっきり聞き取れなかったという事実を表します。
- 発音・ニュアンス
- 「听不懂 tīngbudǒng」の「不」は軽く短く読みます。「听・不・懂」を同じ強さで切らず、一まとまりにしましょう。
よく使う可能補語
- 看不见(kànbujiàn):見えない
- 听不到(tīngbudào):聞こえない、聞く機会を得られない
- 听不清楚(tīngbuqīngchu):はっきり聞き取れない
- 买不起(mǎibuqǐ):価格が高くて買えない
- 买不到(mǎibudào):売り切れなどで手に入らない
- 吃不完(chībuwán):量が多くて食べ切れない
- 吃不下(chībuxià):満腹や体調などで食べられない
- 做不好(zuòbuhǎo):うまくできない
同じ「買えない」でも、「买不起」は金銭的に負担できないこと、「买不到」は品物を入手できないことです。補語が示す結果を理解すると、否定の理由まで短い表現で伝えられます。
不能と可能補語の違い
「我不能去」は、予定、許可、健康、規則などの事情によって行けないことを表します。「我去不了」は、実際の状況から行くことが成立しないという響きが強くなります。
「不能吃」は事情による制限、「吃不完」は量が多くて完食という結果へ届かないことです。日本語訳が同じ「できない」でも、原因や結果をどこまで具体的に示すかが異なります。
完了の「了」は没による否定で外れる
肯定文の「我吃了早饭」を否定するときは、通常「我没吃早饭」とし、完了を表す「了」を外します。完了した事実そのものを「没」で否定するためです。「我没吃了早饭」と機械的に置き換えないようにしましょう。
完了の「了」は通常外れますが、経験を表す「过」は「我没去过上海」のように残ります。「了」と「过」を同じ処理にしないことが重要です。
ここまでで事実や可能性の否定を扱いました。次は、相手へ行動をやめてほしいと伝える禁止表現と、角を立てにくい断り方へ進みます。
禁止の「不要・别・勿」と自然な断り方
- 会話の禁止には「不要・别」、掲示や案内には「勿」が使われる
- 断るときは感謝、理由、代案を添えると響きが穏やかになる
相手に「しないで」と求める場合は、出来事の不発生を表す「没」ではなく、禁止の形を使います。日常会話では「不要」「别」、公共施設の掲示や書面では「勿」がよく見られます。
不要は明確に行為を止める
「不要说话」は「話さないでください」、「不要担心」は「心配しないでください」です。「请不要在这里拍照」のように「请」を加えると依頼の形になりますが、内容は明確な禁止です。
别は会話でよく使う
「别说话」「别着急」「别忘了带护照」のように、「别」は短く自然な会話表現です。ただし声の調子や関係性によっては命令のように響きます。丁寧に伝えるなら、「请」「麻烦你」を添えます。
- フレーズ
- 请别在这里吸烟。
Qǐng bié zài zhèlǐ xīyān. - 日本語訳
- ここでは喫煙しないでください。
- 使う場面
- 相手へその場で喫煙を控えてほしいと、口頭で依頼する場面です。
- 注意点・誤用例
- 「没吸烟」は「喫煙しなかった」という事実です。相手にやめるよう求める意味にはなりません。
- 発音・ニュアンス
- 「别 bié」は第二声です。「请」を添え、文末まで急がず穏やかに言うと、依頼として伝わりやすくなります。
勿は掲示や案内に向く
「勿」は書き言葉の性格が強く、「请勿触摸」「请勿吸烟」「请勿拍照」「请勿靠近」など、施設の注意書きで使われます。友人に「触らないで」と言うなら「别摸」、丁寧な口頭表現なら「请不要摸」が自然です。
「不许进去」は権限を持つ側が「入ってはいけない」と許可しない響きがあります。「禁止吸烟」は規則や標識に使われる硬い表現です。相手との関係と媒体に合わせて選びましょう。

短い会話で自然な断り方を練習する
- フレーズ
- 店員:还需要饮料吗?Hái xūyào yǐnliào ma?
学習者:不用了,谢谢。Bú yòng le, xièxie. - 日本語訳
- 店員:お飲み物はまだ必要ですか。
学習者:大丈夫です。ありがとうございます。 - 使う場面
- 店や訪問先で、追加の勧めを丁寧に断る場面です。
- 注意点・誤用例
- 「不要」だけでは、相手の勧め方や口調によって強く響く場合があります。「不用了,谢谢」は、不要であることと感謝を一緒に伝えられます。
- 発音・ニュアンス
- 「不用」は後ろが第四声の「用 yòng」なので「bú yòng」と発音します。「谢谢」を添えると柔らかな応答になります。
- フレーズ
- 学習者:不好意思,我今天可能不太方便。
Bù hǎoyìsi, wǒ jīntiān kěnéng bú tài fāngbiàn. - 日本語訳
- すみません、今日は少し都合が悪いかもしれません。
- 使う場面
- 誘いや依頼を、直接的な拒絶を避けながら断る場面です。
- 注意点・誤用例
- 曖昧にしたくない予定では、理由や代案も加えます。「这次我就不去了,下次一起吧」と続ければ、今回は行かないことが明確です。
- 発音・ニュアンス
- 「可能」「不太」が断定を弱めます。文全体を低めで穏やかに言うと、配慮のある断りとして伝わりやすくなります。
迷ったときの七段階チェック
- 所有、発生、経験、意思、能力、結果、禁止の順に確認する
- 日本語訳を作る前に、否定したい中心を一つ選ぶ
会話中に迷ったら、すべての規則を思い出す必要はありません。次の順で、否定したいものを絞ります。最初に「持っているか、存在するか」を確認し、次に「動作が起きたか」を考えると、多くの文を早く選べます。
- 所有や存在の否定か:「没有」を使う。例は「没有时间」「没有人」。
- 出来事が起きなかったのか:「没+動詞」を使う。例は「昨天没去」。
- 経験がないのか:「没+動詞+过」を使う。例は「没看过」。
- 意思、習慣、好み、性質か:「不」を使う。例は「不去」「不喝酒」「不便宜」。
- 能力、許可、義務の否定か:助動詞の前に「不」を置く。例は「不会说」「不能进」。
- 結果へ到達できないのか:可能補語を使う。例は「听不懂」「买不到」。
- 相手にやめてほしいのか:「不要」「别」「请勿」を場面で選ぶ。
この順番の利点は、時制だけに頼らないことです。「以前不是老师」「小时候不吃蔬菜」「现在还没吃」のような文も、否定対象から判断できます。
誤用を一文ずつ直す
誤りを直す練習では、正解だけを覚えず、「なぜ別の語ではないか」まで言ってみましょう。判断理由を声に出すと、新しい動詞でも同じ基準を使いやすくなります。
- 誤:我不有时间。/正:我没有时间。所有の「有」を否定するためです。
- 誤:他没是老师。/正:他不是老师。「是」という判断は「不」で否定します。
- 誤:我没吃了早饭。/正:我没吃早饭。発生を否定するため、完了の「了」は通常外れます。
- 誤:没摸这个。/正:别摸这个。相手への禁止には「别」を使います。
- 誤訳:我听不懂=私は聞きません。/正しい意味:聞いても理解できません。
場面を見て選ぶ練習
- フレーズ
- 店員:您吃早饭了吗?Nín chī zǎofàn le ma?
学習者:还没吃。Hái méi chī. - 日本語訳
- 店員:朝食は召し上がりましたか。
学習者:まだ食べていません。 - 使う場面
- 朝食が済んだかを確認され、現在まで未実現だと答える場面です。
- 注意点・誤用例
- 「还不吃」は、今は食べないという意思です。すでに食べたかどうかへの返答なら「还没吃」が合います。
- 発音・ニュアンス
- 返答では主語を省き、「还没吃」と短く言えます。二つの第二声をそれぞれ上げ、最後の第一声「吃」を高く保ちます。
練習問題
先に日本語だけを読み、三秒以内に「不」「没・没有」「禁止表現」「可能補語」のどれかを選んでください。その後で中国語と理由を確認します。
- 私は明日行きません。
我明天不去。Wǒ míngtiān bú qù.
未来の意思・予定なので「不」です。 - 私は昨日行きませんでした。
我昨天没去。Wǒ zuótiān méi qù.
行く動作が起きなかったため「没」です。 - 私は普段コーヒーを飲みません。
我平时不喝咖啡。Wǒ píngshí bù hē kāfēi.
習慣の否定なので「不」です。 - 私は今朝コーヒーを飲みませんでした。
我今天早上没喝咖啡。Wǒ jīntiān zǎoshang méi hē kāfēi.
特定の機会に飲まなかったため「没」です。 - 私はまだ宿題を終えていません。
我还没写完作业。Wǒ hái méi xiěwán zuòyè.
未実現の「还没」と、結果を表す「完」を使います。 - 私はその本を読んだことがありません。
我没读过那本书。Wǒ méi dúguo nà běn shū.
経験の否定なので「过」を残します。 - この料理はおいしくありませんでした。
这个菜不好吃。Zhège cài bù hǎochī.
過去の感想でも、性質の否定なので「不」です。 - 私は時間がありません。
我没有时间。Wǒ méiyǒu shíjiān.
「有」の否定なので「没有」です。 - 彼の話は理解できません。
他说的话,我听不懂。Tā shuō de huà, wǒ tīngbudǒng.
理解という結果へ到達できないため可能補語を使います。 - 展示品に触れないでください。
请勿触摸展览品。Qǐng wù chùmō zhǎnlǎnpǐn.
掲示を想定して「请勿」を使います。口頭なら「请不要摸展览品」も使えます。
発音と復習で「考えずに出る形」を作る
- 「不」は後ろが第四声のとき「bú」に変化する
- 一つの肯定文から意思、事実、未実現の三文を作る
「不」の基本声調は第四声の「bù」です。ただし、直後に第四声が来ると第二声の「bú」へ変化します。「不去 bú qù」「不是 bú shì」「不会 bú huì」が代表例です。
後ろが第一声、第二声、第三声なら、基本的に第四声のままです。「不吃 bù chī」「不来 bù lái」「不好 bù hǎo」と発音します。辞書では基本形の「bù」が示される場合もありますが、音読では実際の声調変化を意識しましょう。
三方向の言い換え練習
一つの動詞から三文を作ると、意味の違いと語順を同時に練習できます。たとえば「吃」を使い、「これから食べない」「さっき食べなかった」「まだ食べていない」を順番に言います。
- 我不吃。Wǒ bù chī./私は食べません。
- 我刚才没吃。Wǒ gāngcái méi chī./私はさっき食べませんでした。
- 我还没吃。Wǒ hái méi chī./私はまだ食べていません。
次に「去」「买」「看」「参加」を入れ替えます。日本語を見てから訳すだけでなく、予定を断る場面、昨日を報告する場面、進捗を答える場面を頭に描くことが重要です。場面と文を結び付けることで、会話中の選択が速くなります。
七日間の復習メニュー
- 一日目:「不去/没去」「不吃/没吃」を各五回音読する。
- 二日目:自分の習慣を「我平时不~」で五文作る。
- 三日目:昨日しなかったことを「我昨天没~」で五文作る。
- 四日目:「还没~」「没~过」を使い、進捗と経験を答える。
- 五日目:「听不懂」「买不到」「吃不完」を場面付きで録音する。
- 六日目:「不用了,谢谢」「我今天不太方便」で断る会話を作る。
- 七日目:練習問題を見ずに答え、迷った文だけ再度比較する。

録音を聞くときは、発音の完璧さだけを求めず、「不」と「没」の後ろで不自然に止まっていないか、文末まで意味のまとまりを保てているかを確認します。一度に多く直すより、声調、語順、速度のうち一項目だけを選ぶほうが復習しやすくなります。
中国語の否定語に関するQ&A
- 迷いやすい境界を質問形式で再確認する
- 一語の訳ではなく、意思、事実、結果、場面から判断する
最後に、学習中に生まれやすい疑問を確認します。答えを読む前に、自分なら「意思」「事実」「経験」「結果」「禁止」のどれに分類するか考えてみてください。
「不」と「没」は現在形と過去形の違いですか?
単純な現在形と過去形の違いではありません。「不」は意思、習慣、好み、性質、判断を否定し、「没」は動作の不発生や未実現を否定します。そのため、過去の習慣には「不」を使え、現在まで未実現の動作には「没」を使えます。
過去の文でも「不是」を使えますか?
使えます。「是」の否定は過去の文脈でも「不是」です。「他以前不是老师」は「彼は以前、教師ではありませんでした」という意味です。「没是」とはしません。
「没吃」と「没吃过」はどう違いますか?
「没吃」は、ある機会に食べなかった、または現在まで食べていないことを表します。「没吃过」は、これまでに食べた経験がないことを表します。経験を明確に否定するときは「过」を残します。
「不好」と「没好」はどちらも使えますか?
使えますが意味が異なります。「身体不好」は体調がよくない状態を表し、「病还没好」は病気が治るという変化がまだ実現していないことを表します。「没+形容詞」は、状態変化として自然に捉えられる場合に使われます。
「不能」と「听不懂」は何が違いますか?
「不能」は事情、条件、許可などによってできないことを表します。「听不懂」は、聞く行為をしても理解という結果へ到達できないことを表す可能補語です。「不能听」は聞いてはいけない、または事情で聞けないという別の意味になり得ます。
「别」と「不要」はどちらが丁寧ですか?
語だけで丁寧さが決まるわけではなく、口調、関係性、「请」や理由の有無が影響します。「别」は会話で短く自然ですが、強く言うと命令的に響きます。丁寧に頼むなら「请别~」「请不要~」の形が使えます。
「不都」と「都不」の違いを簡単に覚える方法はありますか?
「不都」は「全員というわけではない」、「都不」は「全員がしない」と覚えます。「不」が「都」の前なら全体という範囲を否定し、「都」が先なら、その全員に後ろの否定がかかります。
否定文の「了」は必ず消えますか?
動作の完了を表す「了」は、「没」で発生を否定すると通常外れます。たとえば「我吃了早饭」は「我没吃早饭」になります。ただし「了」には変化や新しい状況を表す用法もあるため、すべての「了」を同じ規則だけで処理するわけではありません。
中国語の否定文では、日本語の「ない」に引っ張られず、何を打ち消すのかを先に決めます。意思や習慣なら「不」、起きなかった事実や未実現なら「没」、所有や存在なら「没有」、経験なら「没+動詞+过」です。
さらに、結果へ到達できないなら「听不懂」のような可能補語、相手にやめてほしいなら「不要・别・勿」を選びます。まず「不去/没去」「不吃/没吃」の二組を声に出し、自分の日常に置き換えてみてください。
迷った文は誤りとして避けるのではなく、「意思を言いたいのか、実現の有無を言いたいのか」を問い直す材料になります。短い対比を繰り返すほど、否定語を選ぶ理由が文の意味と結び付き、実際の会話でも使いやすくなります。

