中国語で「財布を盗まれた」「先生に褒められた」と言おうとして、どこに「被」を置けばよいのか迷ったことはありませんか。日本語の「れる・られる」を見つけるたびに「被」を入れていると、文法上は意味を推測できても、中国語として不自然な文になることがあります。

先に押さえたいのは、中国語の受身が単なる形の変換ではないという点です。話し手が「誰または何に起きた出来事を中心に伝えるか」を決め、その対象が受けた影響や変化まで示すと、「被」を使う理由が明確になります。

この記事では、「被」の基本語順から動作主の省略、動詞の後ろに必要な成分、否定文と疑問文、「让・叫・给」との違いまで順番に整理します。独学と中国語教室のどちらで学んでいる人も、例文を声に出しながら読み進めると、実際の会話で使う場面を思い浮かべやすくなります。

最初からすべてを暗記する必要はありません。まず「受け手+被+動作主+動詞句」という一本の骨組みを作り、そこへ結果や完了を加えましょう。では、受身文の中心となる語順から確認します。

目次 [ close ]
  1. 中国語の受身文は「影響を受けた側」から始める
    1. 能動文から受身文へ変える手順
  2. 動詞の後ろには結果や完了を置くことが多い
    1. 受身文と相性がよい成分
  3. 「被」の後ろの動作主は省略できる
    1. 省略するか迷ったときの判断
  4. 「被」は被害だけでなく好ましい出来事にも使える
    1. 受身文と能動文は視点が違う
  5. 「让・叫・给」の受身と使役を見分ける
    1. 受身の「让」
    2. 使役の「让」
    3. 「叫」にも受身と使役がある
    4. 受身の「给」と強調する形
  6. 否定文と疑問文は「被」の前後を正しく組み立てる
    1. 「不」は意思や一般的な判断に使う
    2. 疑問文の三つの形
  7. 日本語が受身でも中国語では「被」を使わないことがある
    1. 誰がしたのかを示すなら「是〜的」
    2. 発言を受けた場合も能動文が自然になりやすい
    3. 「受到・遭到・挨」を選ぶ場合
  8. 学校・仕事・日常で使える受身の会話例
    1. 学校で作文を直された
    2. 仕事で会議が中止された
    3. 日常生活で傘を持っていかれた
    4. 通知された内容を確認する
  9. よくある誤用を修正して文の判断力を高める
    1. 誤用例1:作成者の特定に「被」を使う
    2. 誤用例2:結果を言わず動詞で止める
    3. 誤用例3:過去の否定に「不」を使う
    4. 誤用例4:「让」をすべて使役だと考える
  10. 受身文を自分で作る五段階トレーニング
    1. 練習1:結果補語を選ぶ
    2. 練習2:肯定・否定・疑問へ変える
    3. 練習3:一日五分の音読
    4. 短い復習計画
  11. 中国語の受身「被」に関するQ&A

中国語の受身文は「影響を受けた側」から始める

この章の要点
  • 基本語順は「動作の受け手+被+動作主+動詞句」
  • 能動文の目的語を、受身文では話題の中心に置く
  • 「被」だけでなく、後ろの動詞句まで一まとまりで捉える

中国語の受身文では、動作を行った人よりも、影響を受けた人や物を文頭に置きます。最も基本的な型は「A+被+B+動詞句」です。Aは動作の受け手、Bは実際に動作を行う人や物を表します。

フレーズ
我的钱包被小偷偷走了。
Wǒ de qiánbāo bèi xiǎotōu tōuzǒu le.
日本語訳
私の財布は泥棒に盗まれました。
使う場面
盗難に遭った事実を説明し、財布に何が起きたかを中心に伝える場面です。
注意点・誤用例
「我的钱包被小偷偷了」でも意味は通じますが、「偷走了」とすると、盗まれてその場からなくなった結果が明確です。「被」の直後に置く「小偷」は、盗む動作を行う側です。
発音・ニュアンス
「被 bèi」は第四声で、高い位置から短く下げます。「钱包 qiánbāo」と「小偷 xiǎotōu」の声調を区別し、文全体を「我的钱包|被小偷|偷走了」の三つに分けて読むと安定します。

元の能動文は「小偷偷走了我的钱包。」です。この文では「小偷」が話題の中心で、「盗む」という行為を行っています。受身文では「我的钱包」を文頭へ移し、その財布が受けた出来事として述べます。

ここで「被」を日本語の「〜に」だけに対応させると、文の組み立てが不安定になります。語順全体を一つの型として覚え、「誰が影響を受けたか」「誰が動作を行ったか」「結果として何が起きたか」を順に配置してください。

中国語の受身文を受け手、被、動作主、動詞句の順に並べた学習カード
受け手から結果までを四つのかたまりとして捉えると、語順を再現しやすくなります。

能動文から受身文へ変える手順

第一に、能動文の中で実際に動作を行う人を探します。第二に、その動作を受けた対象を探します。第三に、受け手を文頭へ置き、「被+動作主+動詞句」を続けます。

能動文
老师表扬了弟弟。
Lǎoshī biǎoyáng le dìdi.
先生が弟を褒めました。
受身文
弟弟被老师表扬了。
Dìdi bèi lǎoshī biǎoyáng le.
弟は先生に褒められました。
使う場面
弟が受けた評価を話題の中心にするときに使います。先生の行為を中心にするなら能動文も自然です。
注意点・誤用例
好ましい出来事にも「被」は使えます。「被は悪い内容だけ」と決めつけないようにしましょう。
発音・ニュアンス
「表扬 biǎoyáng」は第三声と第二声です。第三声を必要以上に低く引き延ばさず、「biǎo-yáng」と滑らかにつなげます。

基本の型が分かると、次に気になるのは動詞の後ろです。「杯子被孩子打」のように動詞一語で止めると、なぜ不十分に聞こえるのでしょうか。そこには中国語の受身が持つ「影響と変化」の考え方があります。

動詞の後ろには結果や完了を置くことが多い

この章の要点
  • 受身文では動作後の結果や変化が重要になる
  • 結果補語、方向補語、「了・过・着」、数量などを利用する
  • 一般的な評価や可能性を述べる文では、単独の動詞も成立する

「被」を使う文は、何らかの行為を受けて、主語がどのような状態になったかを伝える傾向があります。そのため、動詞の後ろに結果を示す成分を置くと、出来事の輪郭がはっきりします。

たとえば「打」は、たたく、打つという動作しか表しません。「打碎」とすれば、打った結果として割れたことまで表せます。同様に「拿走」は持ってその場を離れること、「吹乱」は風が吹いて乱れたことを示します。

フレーズ
杯子被孩子打碎了。
Bēizi bèi háizi dǎsuì le.
日本語訳
コップは子どもに割られました。
使う場面
割れたコップを見つけ、誰の行為によってその状態になったかを説明するときに使います。
注意点・誤用例
「杯子被孩子打」では、たたかれたあとに何が起きたのかが分かりません。割れたなら「碎」、壊れたなら対象に応じて「坏」や「破」を加えます。
発音・ニュアンス
「打碎 dǎsuì」は第三声と第四声です。結果を担う「碎」を短く明確に下げると、「割れた」という変化が聞き取りやすくなります。

受身文と相性がよい成分

  • 完了を示す「了」:会议被取消了。
  • 経験を示す「过」:我被他骗过一次。
  • 持続や状態を示す「着」:门上被贴着一张通知。
  • 結果補語:打碎、弄坏、抓住、写错、吃完
  • 方向補語:拿走、吹走、搬出去、送回来
  • 数量や回数:批评了一次、骂了一顿、改了三个地方
  • 結果となる役割:选为代表、任命为负责人
  • 到着点や場所:派到上海、困在机场

これらは、すべてを一文に詰め込むものではありません。伝えたい出来事に合う成分を一つ選ぶだけでも、文はかなり自然になります。最初は「動詞+結果補語+了」の形から練習すると使いやすいでしょう。

フレーズ
他被大家选为代表了。
Tā bèi dàjiā xuǎnwéi dàibiǎo le.
日本語訳
彼は皆によって代表に選ばれました。
使う場面
投票や話し合いの結果、ある人が代表という役割になったことを伝える場面です。
注意点・誤用例
「选了」だけでは、何に選ばれたのかが示されません。「选为+役割」で、選出後の立場を明確にできます。
発音・ニュアンス
「选为 xuǎnwéi」は第三声と第二声です。「代表 dàibiǎo」は第四声と第三声なので、最初の「大」をしっかり下げます。好ましい選出にも自然に使える受身文です。

ただし、「受身文では必ず結果補語か『了』が必要」と考えるのも正確ではありません。一般的な評価、習慣、可能性、助動詞を含む文では、動詞だけで述語が成立する場合があります。

フレーズ
这个问题可能被忽视。
Zhège wèntí kěnéng bèi hūshì.
日本語訳
この問題は軽視される可能性があります。
使う場面
会議や報告で、問題が十分に重視されない可能性を指摘するときに使います。
注意点・誤用例
まだ実現していない可能性を述べているため、「了」を加える必要はありません。「可能」は「被」の前に置きます。
発音・ニュアンス
「忽视 hūshì」は第一声と第四声です。やや改まった場面でも使える語で、「見落とす」「軽視する」という意味を持ちます。
注意点

動詞の後ろへ機械的に「了」を付けないでください。完了した出来事なら「了」、経験なら「过」、可能性や一般的な評価なら助動詞や文脈に合う形を選びます。

「被」の後ろの動作主は省略できる

この章の要点
  • 行為者が不明または重要でないときは省略できる
  • 省略後は「受け手+被+動詞句」となる
  • 省略されるのは通常、動作を行った側である

盗難や中止のように、誰が行ったのか分からない場合があります。また、行為者が分かっていても、話題の中心でなければ言う必要はありません。そのときは、動作主を省略して「被+動詞句」と続けられます。

フレーズ
我的自行车被偷走了。
Wǒ de zìxíngchē bèi tōuzǒu le.
日本語訳
私の自転車は盗まれました。
使う場面
盗んだ人物が判明していないとき、警察や周囲の人に状況を伝える場面です。
注意点・誤用例
誰か分からないからといって、無理に「小偷」を補う必要はありません。「被」の後ろから動作主を外し、そのまま「偷走了」を続けます。
発音・ニュアンス
「自行车 zìxíngchē」は第四声、第二声、第一声です。「被偷走了」を一息で読み、盗難によってなくなった結果を伝えます。

同じ考え方で「会议被取消了。」なら、「会議が中止された」という事実が中心です。主催者や会社の誰が決定したかを話題にしない場合、行為者の省略は自然です。

「蛋糕被吃掉了。」では、ケーキを食べた人物より、ケーキがなくなったことに注意が向いています。「房子被拆掉了。」では、取り壊しを行った会社や作業員より、家が失われた結果を伝えています。

省略するか迷ったときの判断

行為者が分からない、すでに会話へ登場している、社会一般の人を指す、または結果だけが重要なら省略できます。反対に、責任の所在や原因を明確にしたい場合は動作主を残します。

動作主なし
资料被删除了。
Zīliào bèi shānchú le.
資料は削除されました。
動作主あり
资料被工作人员删除了。
Zīliào bèi gōngzuò rényuán shānchú le.
資料は担当者によって削除されました。
使い分け
削除された事実だけを伝えるなら前者、誰が削除したのかまで伝えるなら後者を選びます。

「被」は被害だけでなく好ましい出来事にも使える

この章の要点
  • 迷惑や損失を表す文では「被」が特によく使われる
  • 称賛、採用、選出、感動などにも使える
  • 受身と能動の選択は、どちらを話題の中心にするかで決まる

「被」を使った受身文は、盗難、故障、叱責、誤解など、主語にとって望ましくない出来事とよく結びつきます。行為を受けたことで状態が変わるため、被害や迷惑の感覚が生まれやすいのです。

しかし、「被は悪い意味にしか使えない」という理解では足りません。選出された、認められた、採用された、景色に引きつけられたといった好ましい出来事にも使われます。

コップの破損や風で乱れた資料と先生から褒められる学習者を並べた受身表現の場面
「被」は好ましくない影響だけでなく、選出や称賛にも使われます。
フレーズ
她被公司录用了。
Tā bèi gōngsī lùyòng le.
日本語訳
彼女は会社に採用されました。
使う場面
採用選考の結果を、採用された人の側から伝える場面です。
注意点・誤用例
好ましい結果なので「被」が使えないわけではありません。ただし会社の決定を中心にするなら、「公司录用她了。」という能動文も選べます。
発音・ニュアンス
「录用 lùyòng」は二音節とも第四声です。それぞれを強く切りすぎず、一つ目をやや短くして滑らかにつなげます。

受身文と能動文は視点が違う

「我被老师表扬了。」は、褒められた自分に注目しています。「老师表扬我了。」は、先生が行った行為を中心に述べています。表す出来事は近くても、会話の視点が異なります。

どちらを選ぶべきか迷ったら、直前まで何について話していたかを確認してください。自分の経験を話しているなら受身文がつながりやすく、先生の対応を列挙しているなら能動文がつながりやすくなります。

「让・叫・给」の受身と使役を見分ける

この章の要点
  • 「让」と「叫」は話し言葉で受身を示すことがある
  • 主語が働きかける側なら使役、影響を受ける側なら受身
  • 動作主を省略したいときは「被」が分かりやすい

「让」と「叫」は、「〜させる」という使役にも「〜される」という受身にも使われます。形だけを見ると似ているため、主語と動詞の意味関係を確かめる必要があります。

受身の「让」

フレーズ
我的电脑让他弄坏了。
Wǒ de diànnǎo ràng tā nònghuài le.
日本語訳
私のパソコンは彼に壊されました。
使う場面
日常会話で、不注意などにより物を壊された不満を伝える場面です。
注意点・誤用例
パソコンが彼に何かをさせたわけではありません。パソコンは「弄坏」という動作の影響を受ける側なので、この「让」は受身です。
発音・ニュアンス
「让 ràng」は第四声です。会話的で、迷惑を受けた気持ちと結びつくことがあります。初級段階では同じ内容を「被」で言っても構いません。

使役の「让」

フレーズ
老师让我们读课文。
Lǎoshī ràng wǒmen dú kèwén.
日本語訳
先生は私たちに本文を読ませました。
使う場面
先生が学習者へ指示し、本文を読ませたことを伝える場面です。
注意点・誤用例
動詞「读」を実際に行うのは「我们」です。文頭の「老师」は指示を出す側なので、受身ではなく使役です。
発音・ニュアンス
「课文 kèwén」は第四声と第二声です。「老师让我们|读课文」と、働きかける部分と実際の動作を分けて読むと構造を捉えやすくなります。

見分けるときは三つの質問を使います。後ろの動詞を実際に行うのは誰か、文頭の主語は指示する側か影響を受ける側か、文全体を「させる」と「される」のどちらで訳すと自然か、という順番です。

「叫」にも受身と使役がある

「我早上叫猫吵醒了。」では、「猫」が騒ぎ、「我」が起こされたので受身です。一方、「老师叫我去办公室。」では、先生が私に職員室へ行くよう働きかけているため、使役や指示の意味になります。

フレーズ
准备好的票叫他拿走了一张。
Zhǔnbèi hǎo de piào jiào tā názǒu le yì zhāng.
日本語訳
用意しておいたチケットは、彼に一枚持っていかれました。
使う場面
準備していた物が、意図に反して誰かに持っていかれたことを話す場面です。
注意点・誤用例
チケットは指示を出せないため、この「叫」は受身です。「一张」が持っていかれた数量を表しています。
発音・ニュアンス
「叫 jiào」は第四声です。地域や話者によって使用傾向が異なるため、自分で文を作る段階では「被」を軸にすると誤解が少なくなります。

受身の「给」と強調する形

話し言葉では「给」が受身を示す場合があります。「帽子给风吹走了。」は「帽子が風に飛ばされた」という意味です。さらに「被他给弄丢了」のように、「被+動作主+给+動詞句」という形もあります。

フレーズ
自行车被他给弄丢了。
Zìxíngchē bèi tā gěi nòngdiū le.
日本語訳
自転車は彼になくされてしまいました。
使う場面
予想外の紛失や、話し手にとって残念な結果を口語で強く伝える場面です。
注意点・誤用例
ここでの「给」は「与える」という通常の動詞ではありません。受身関係を際立たせる口語的な成分として働いています。
発音・ニュアンス
「给 gěi」は第三声です。「被他给」を一つのまとまりとして短く読み、結果の「弄丢了」に重心を置きます。
注意点

受身の「让・叫」では、後ろの動作主を残すのが基本です。誰が行ったかを示さず「壊された」と言いたい場合は、「我的电脑被弄坏了。」のように「被」を使うと構造が明確です。

否定文と疑問文は「被」の前後を正しく組み立てる

この章の要点
  • 過去に起きなかった事実は「没・没有+被」
  • 意思、一般的な否定、将来の判断は「不・不会・不能+被」
  • 疑問文では「吗」、疑問詞、「有没有被」を使える

受身文を否定するとき、否定語は原則として「被」の前に置きます。過去の出来事が実際には起きなかった場合や、まだ完了していない場合は「没」または「没有」を使います。

フレーズ
这份数据还没被保存。
Zhè fèn shùjù hái méi bèi bǎocún.
日本語訳
このデータはまだ保存されていません。
使う場面
作業途中のデータについて、保存が完了していない状態を伝える場面です。
注意点・誤用例
「被没保存」のように、「没」を「被」の後ろへ置かないでください。「还没被保存」の順で覚えます。
発音・ニュアンス
「还没 hái méi」で「まだ〜していない」という未完了を表します。「保存 bǎocún」は第三声と第二声です。

経験の否定には「没有被〜过」が使えます。「我从来没有被老师表扬过。」なら、「これまで先生に褒められた経験がない」という意味です。「从来」と「过」を組み合わせることで、経験全体を否定しています。

「不」は意思や一般的な判断に使う

フレーズ
我不想被别人误解。
Wǒ bù xiǎng bèi biérén wùjiě.
日本語訳
私は人に誤解されたくありません。
使う場面
自分の意図や説明が誤って受け取られることを避けたいと伝える場面です。
注意点・誤用例
過去に誤解されなかった事実ではなく、「誤解されたくない」という意思です。そのため「没想」ではなく「不想」を使います。
発音・ニュアンス
第四声の「不」は、同じ第四声の「想」ではなく第三声の前なので「bù」と読みます。「误解 wùjiě」は第四声と第三声です。

「不会被」は将来そうならないという判断や自信、「不能被」は許可されないことや可能であってはならないことを表します。「我不会被他骗的。」は「彼には騙されない」、「这个秘密不能被别人知道。」は「この秘密は他人に知られてはいけない」という意味です。

疑問文の三つの形

  1. 文末に「吗」を置く:你被老师批评了吗?
  2. 疑問詞を使う:你被谁骗了?
  3. 「有没有被」で事実や経験を尋ねる:你有没有被邀请?
フレーズ
你有没有被陌生人骗过?
Nǐ yǒu méiyǒu bèi mòshēngrén piànguo?
日本語訳
知らない人に騙されたことがありますか。
使う場面
注意喚起や経験談の会話で、過去の経験の有無を尋ねる場面です。
注意点・誤用例
「有没有」は一組で経験や事実の有無を尋ねます。経験を強調する「过」は動詞「骗」の後ろに置きます。
発音・ニュアンス
「陌生人 mòshēngrén」は第四声、第一声、第二声です。相手の被害経験に触れる質問なので、実際の会話では状況に応じて配慮した言い方を選びます。

日本語が受身でも中国語では「被」を使わないことがある

この章の要点
  • 作業の完了は対象を文頭に置くだけで表せる
  • 行為者や製造場所の特定には「是〜的」が自然
  • 日本語訳では受身でも、中国語では能動文を選べる

中国語では、動作の対象が文頭にあるだけで受身文になるわけではありません。「手紙は書き上がった」「食事はできている」のように、作業の完了や対象の状態を伝えるなら、「被」を使わない形がよく選ばれます。

フレーズ
电脑修好了。
Diànnǎo xiūhǎo le.
日本語訳
パソコンは直りました。/パソコンの修理が終わりました。
使う場面
修理した人物ではなく、パソコンが使用できる状態になったことを伝える場面です。
注意点・誤用例
「电脑被修好了」も文脈によって使えますが、修理完了を簡潔に報告するだけなら「电脑修好了」が自然です。
発音・ニュアンス
「修好 xiūhǎo」は第一声と第三声です。「好」は結果補語で、修理がうまく完了した状態を表します。

同じ形には「信写好了。」「饭已经做好了。」「报告写完了。」「作业做完了。」などがあります。対象を話題として文頭に置き、その後ろで完了状態を説明しています。

誰がしたのかを示すなら「是〜的」

フレーズ
这封信是他写的。
Zhè fēng xìn shì tā xiě de.
日本語訳
この手紙は彼が書いたものです。
使う場面
手紙を書いた人物を特定したり、質問への答えとして行為者を強調したりする場面です。
注意点・誤用例
特別な被害や影響を表す文脈がなければ、「这封信被他写了」より「是他写的」が自然です。
発音・ニュアンス
「是他写的」の「他」に軽く重心を置くと、書いた人物を特定する意図が伝わります。

発言を受けた場合も能動文が自然になりやすい

日本語では「先生から明日は来なくてよいと言われた」と受身で表現します。中国語では「老师告诉我明天不用来。」のように、先生を主語にした能動文が自然です。

「昨日、彼女にそう言われた」も、「昨天她对我这么说。」と表せます。日本語の表面だけを見ず、中国語では誰を主語にすると簡潔かを考えることが大切です。

「受到・遭到・挨」を選ぶ場合

評価、歓迎、尊敬、影響などを「受ける」と表すときは「受到」が使えます。「那位老师受到大家的尊敬。」なら「あの先生は皆から尊敬されています」という意味です。

拒否、批判、攻撃、損害などの好ましくない出来事には「遭到」が合います。「计划遭到拒绝。」は「計画が拒否された」です。叱責や打撃を直接受ける感覚には「挨」が使われ、「我挨骂了。」で「私は叱られた」と表せます。

注意点

日本語訳の「された」だけを根拠に「被」を選ばないでください。完了状態なら主題文、行為者の特定なら「是〜的」、発言なら能動文、評価なら「受到」という選択肢があります。

学校・仕事・日常で使える受身の会話例

この章の要点
  • 会話では出来事の結果と話し手の反応を組み合わせる
  • 「被」の文だけで終えず、次の行動を続けると実用的になる
  • 役割を入れ替えて音読すると語順が定着しやすい

単文を覚えたら、次は会話の中で使ってみましょう。実際の会話では、受身文のあとに対応や感想を続けることが多くなります。

学校で作文を直された

会話
学習者A:你的作文怎么样?
Nǐ de zuòwén zěnmeyàng?
作文はどうでしたか。

学習者B:我的作文被老师改了很多地方。
Wǒ de zuòwén bèi lǎoshī gǎi le hěn duō dìfang.
私の作文は先生にたくさん直されました。

学習者A:那你再检查一下吧。
Nà nǐ zài jiǎnchá yíxià ba.
では、もう一度確認してみてください。

使う場面
添削された作文について、修正箇所の多さを学習者同士で話す場面です。
注意点・誤用例
「改了很多地方」で、直された箇所の多さを示しています。「作文被老师改」だけで終えるより具体的です。
発音・ニュアンス
「地方 dìfang」の後半は軽声です。「很多地方」を一まとまりとして読み、修正箇所が多かったことを伝えます。

仕事で会議が中止された

会話
同僚:下午的会议几点开始?
Xiàwǔ de huìyì jǐ diǎn kāishǐ?
午後の会議は何時に始まりますか。

担当者:会议被临时取消了。
Huìyì bèi línshí qǔxiāo le.
会議は急きょ中止されました。

同僚:知道了,我去通知其他人。
Zhīdào le, wǒ qù tōngzhī qítā rén.
分かりました。ほかの人に知らせます。

使う場面
予定変更を社内で共有し、次の連絡行動へ移る場面です。
注意点・誤用例
中止を決めた人物が重要でないため、動作主は省略されています。「临时」は「急に」「臨時に」という意味です。
発音・ニュアンス
「取消 qǔxiāo」は第三声と第一声です。急な変更を伝えるため、「临时」に軽く重心を置くと意図が伝わります。

日常生活で傘を持っていかれた

会話
家族:你的伞呢?
Nǐ de sǎn ne?
あなたの傘はどうしたのですか。

学習者:我的伞被弟弟拿走了。
Wǒ de sǎn bèi dìdi názǒu le.
私の傘は弟に持っていかれました。

家族:那你先用这把吧。
Nà nǐ xiān yòng zhè bǎ ba.
では、ひとまずこちらを使ってください。

使う場面
自分が使う予定だった傘を家族が持って出たことを説明する場面です。
注意点・誤用例
「拿走」は、その場から持っていった結果を表します。単なる所持を表す「拿」と区別してください。
発音・ニュアンス
「雨伞 yǔsǎn」と言うこともできます。「这把」の「把」は、柄のある物を数える量詞として使われています。

通知された内容を確認する

会話
同僚:你什么时候被通知的?
Nǐ shénme shíhou bèi tōngzhī de?
いつ通知されたのですか。

担当者:我是昨天上午被通知的。
Wǒ shì zuótiān shàngwǔ bèi tōngzhī de.
昨日の午前に通知されました。

同僚:通知里写了什么?
Tōngzhī li xiě le shénme?
通知には何と書かれていましたか。

使う場面
通知を受けた時点を確認し、情報共有の経緯を整理する場面です。
注意点・誤用例
「通知された」と「命じられた」は同じではありません。派遣を命じられたなら「我被公司派到中国出差。」のように「派」を使います。
発音・ニュアンス
「通知 tōngzhī」は二音節とも第一声です。「是〜的」を使うことで、通知された時点を取り出して示しています。

よくある誤用を修正して文の判断力を高める

この章の要点
  • 日本語から一語ずつ置き換えない
  • 動詞の実行者と影響を受けた側を確認する
  • 誤文を直す練習で、語順と結果表現を同時に身につける

受身文の誤りは、「被」の位置だけが原因とは限りません。動詞の後ろに結果がない、否定語の選択が合わない、そもそも受身を選ぶ必要がない、といった問題が重なります。

誤用例1:作成者の特定に「被」を使う

不自然になりやすい形は「这封信被他写了。」です。単に「この手紙を書いたのは彼だ」と言いたいなら、「这封信是他写的。」または「他写了这封信。」とします。

誤用例2:結果を言わず動詞で止める

「杯子被孩子打。」では、コップがたたかれただけなのか、割れたのかが分かりません。「杯子被孩子打碎了。」とすれば、割れた結果まで伝わります。

誤用例3:過去の否定に「不」を使う

昨日、財布が盗まれなかったという事実なら「我的钱包没被偷走。」です。「不会被偷走」は、今後も盗まれないという予測や判断になります。

誤用例4:「让」をすべて使役だと考える

「我让妈妈骂了。」では、実際に叱るのは母で、私はその影響を受けています。そのため「私は母に叱られた」という受身です。「我让妈妈休息了一会儿。」なら、私が母へ働きかけて休ませたため使役です。

注意点

「工作一直出错让上司骂了」のように、文頭の名詞と叱られる対象が曖昧な文は避けましょう。「我因为工作上一直出错,被上司骂了。」とすれば、叱られたのが「我」だと明確になります。

受身文を自分で作る五段階トレーニング

この章の要点
  • 動作主、受け手、結果の順に情報を整理する
  • 最初は「被」を使った標準的な形で組み立てる
  • 最後に「被」を使わない表現のほうが自然でないか確認する

知識を会話へつなげるには、短い文を何度も組み立て直す練習が役立ちます。次の五段階を使うと、語順と視点を同時に確認できます。

  1. 実際に動作を行った人や物を探す
  2. その動作によって影響を受けた人や物を探す
  3. 影響を受けた側を文頭へ置く
  4. 「被+動作主+動詞+結果」を続ける
  5. 主題文、能動文、「是〜的」のほうが自然でないか見直す

たとえば「弟が私の本を持っていった」なら、動作主は弟、影響を受けた物は私の本、結果はその場からなくなったことです。これを並べると「我的书被弟弟拿走了。」になります。

中国語学習者が受身文の語順カードを並べて音読練習している様子
カードを入れ替えながら、受け手、動作主、結果を声に出して確認します。

練習1:結果補語を選ぶ

  • コップが割れた:打碎了
  • 服が汚れた:弄脏了
  • 携帯電話が壊れた:弄坏了
  • 本が持っていかれた:拿走了
  • 料理が全部食べられた:吃完了
  • 窓が風で開いた:吹开了
  • 資料が乱れた:吹乱了
  • 名前を書き間違えられた:写错了

日本語だけを見て一文ずつ作ってみましょう。「服は子どもに汚された」なら「衣服被孩子弄脏了。」です。「料理は全部食べられた」なら、動作主を省いて「菜被吃完了。」と作れます。

練習2:肯定・否定・疑問へ変える

肯定
资料被删除了。
Zīliào bèi shānchú le.
資料は削除されました。
否定
资料没被删除。
Zīliào méi bèi shānchú.
資料は削除されませんでした。
疑問
资料被删除了吗?
Zīliào bèi shānchú le ma?
資料は削除されましたか。

練習3:一日五分の音読

最初の一分は、例文をピンイン付きでゆっくり読みます。次の一分は、「被」の前後で区切らず、「受け手|被+動作主|結果」の三つのまとまりに分けます。

三分目は動作主を別の名詞に交換します。「老师」を「上司」や「朋友」に替え、意味の変化を確認してください。四分目は肯定文を否定文と疑問文へ変えます。

最後の一分は、同じ出来事を能動文でも言います。「我的书被弟弟拿走了。」に対して「弟弟拿走了我的书。」と続ければ、視点の違いを体で覚えられます。

短い復習計画

  • 初日:基本語順と結果補語を五文音読する
  • 翌日:「被」の動作主を省略した文を三文作る
  • 三回目:「没被・不想被・不会被」を使い分ける
  • 四回目:「让」の受身と使役を二文ずつ比較する
  • 五回目:「被」を使わない主題文と「是〜的」を作る
  • 一週間後:日本語を見ず、場面だけから中国語を言う

一度に大量の例文を覚えるより、同じ文の動作主、結果、否定語を少しずつ替えるほうが、文型の共通部分を認識しやすくなります。発音が不安なときは、短い区切りから始め、最後に一文としてつなげてください。

中国語の受身「被」に関するQ&A

この章の要点
  • 迷いやすい語順と使い分けを質問形式で確認する
  • 文法規則だけでなく、話題の中心と結果を見る
  • 回答を読んだあと、例文を一つ自作して復習する

中国語の受身文の基本語順は何ですか?

基本語順は「動作の受け手+被+動作主+動詞句」です。「我的钱包被小偷偷走了。」なら、受け手は「我的钱包」、動作主は「小偷」、動詞句は結果を含む「偷走了」です。

「被」の後ろにいる動作主は省略できますか?

はい。行為者が分からない場合や、誰が行ったかを伝える必要がない場合は省略できます。「钱包被偷走了。」「会议被取消了。」のように、「被」の直後へ動詞句を置きます。

受身文の動詞には必ず「了」が必要ですか?

必須ではありません。完了した出来事には「了」がよく使われますが、経験なら「过」、可能性なら「可能被忽视」、一般的な評価なら「被很多人喜欢」のような形も成立します。伝える時間関係や意味に合わせて選びます。

「让」の使役と受身はどう見分けますか?

後ろの動詞を実際に行う人と、文頭の主語の役割を確認します。主語が誰かへ働きかけるなら使役、主語が後ろの動詞による影響を受けるなら受身です。「老师让我读课文」は使役、「我的衣服让弟弟弄脏了」は受身です。

過去に「されなかった」と言うときは「不被」ですか?

過去に出来事が起きなかった事実には、通常「没被」または「没有被」を使います。「我的钱包没被偷走。」がその例です。「不想被」は意思、「不会被」は将来の判断や可能性の否定に使います。

好ましい出来事にも「被」を使えますか?

使えます。「她被公司录用了。」「他被大家选为代表了。」「他的作品被大家认可了。」のように、採用、選出、承認などにも用いられます。被害を表す文だけに限定されません。

日本語が受身なら中国語でも必ず「被」を使いますか?

必ずしも使いません。作業の完了なら「电脑修好了。」、行為者の特定なら「这封信是他写的。」、発言内容なら「老师告诉我明天不用来。」のように、主題文、「是〜的」、能動文が自然になる場合があります。

初心者は「被・让・叫・给」のどれから覚えるべきですか?

まずは構造が明確で、動作主も省略できる「被」を軸にすると整理しやすくなります。「让・叫・给」は会話を聞く中で意味を判断し、慣れてから自分の表現へ加えると混乱を減らせます。

中国語の受身を使うときは、最初に「誰が影響を受けたか」を決めます。次に「誰が動作を行ったか」を置き、最後に「何が起きたか」を結果まで表してください。この順番が整えば、「被」を置く位置だけで悩むことは少なくなります。

一方、日本語が受身だからという理由だけで「被」を選ぶ必要はありません。作業完了、行為者の特定、発言、評価など、文が本当に伝えたい内容を見れば、主題文や能動文、「是〜的」「受到」が適する場合も見えてきます。

まずは「我的书被弟弟拿走了。」「资料还没被确认。」「你被老师表扬了吗?」の三文を、肯定、否定、疑問の順に音読してみてください。そのあと動作主と結果を入れ替えれば、自分の日常に合う受身文を作れるようになります。