中国人が日本人の常識をはるかに超えたことをするのに驚くこともあるのではないでしょうか?

最近中国でも靴のまま家に入ることは少なくなったのですが、家の中が汚れないように日本人が考えもつかないあるモノを使っているのです。

中国人の清潔さの概念

正直申し上げまして、中国人は日本人ほど清潔の基準は高くありません。

清潔さとは見た目が汚れていないことを意味します。日本人のように細菌のことまで気にしている中国人はほとんどいないでしょう。

家の中を掃除するときも日本人は掃除機をかけ、床を水拭きしますが、中国人は家の中をモップで大雑把に拭き上げます。そのほうが効率よく掃除できるからです。

なぜ床をモップで拭き上げることができるかというと、中国の床は日本のような絨毯や畳ではないからです。

説明: 取っ手の付いた黒色の桶がただ布地板の上に置かれている。

中国の家の床

中国の家の床(地板:dìbǎn)はどんな素材なのでしょうか?日本では考えられないのですが、中国の家のほとんどの床は次の材料でできています。

cízhuān

瓷砖

タイル

中国の家の床は、高級マンションであってもタイルでできています。つまりどんなに水でぬれても大丈夫なのです。日本人は落ち着きませんが、掃除をするには適した素材でしょう。

タイル床で起きる問題

家の床はタイルでできていますので、靴のまま家の中に入る人は少なくありません。どんなに泥だらけになっても、モップで拭き上げることができるからです。

中国でも玄関で靴を脱ぐ人も増えてきましたが、靴のまま家に上がる人のほうがたくさんいます。

よって靴のまま上がりたい派の人が、靴を脱いでほしい派の人の家に行くとき、土足で入られて家の人が怒り出すという問題が生じるわけですが、これをどうやって解決しているのでしょうか?

靴のまま上がりたい人はどうするか?

日本人の場合、相手が靴のまま上がりたいと言っても、断固として靴を脱いでスリッパ(拖鞋:tuōxié)に履き替えてもらうことでしょう。

しかし中国人は靴のまま上がるのは以前では当たり前だったことを知っているので、次のものを使います。日本にはないこんなものです。

xiétào

鞋套

靴専用ビニールカバー

日本にはない代物なので、日本語は存在しません。スーパーにはこの鞋套xiétào)が100個で8元(150円)くらいで売っています。

家の中を汚されたくない人は、工事人などの土足派の人がやってきたらすかさずこの鞋套xiétào)を差し出しはめてもらいます。

中国で女性が青い靴カバーを履いています。

鞋套が重宝するケース

中国に住んでいるなら、日本人もこの鞋套xiétào)は用意しておいたほうがいいでしょう。

家にやってきた中国人が大人なら「ここは日本人の家だから靴を脱いでスリッパをはいてくれ」と頼めば何とか履き替えてくれるのですが、子供が一緒に来た場合はそうはいかないからです。

部屋を汚されたくない日本人は「子どもたちの靴も脱がせてくれ」と頼みます。すると中国人は決まって「自分は君たちの習慣に合わせることができるが、子どもの靴は脱がせたくないと」主張してきます。

理由を聞くと「子どもが靴を脱ぐと体が冷えて風邪をひくから」ということです。尊老爱幼(zūnlǎoàiyòu)のお国ですから言い争っても埒があきません。

解決策。それこそが鞋套xiétào)なのです。日本人も家を汚されずに妥協でき、中国人も体が冷えずに満足なのです。

違う文化では妥協案を

中国人は中国文化が世界の中心だと思っています。日本人は日本文化が世界の中心だと思っているのです。

今回はスリッパ問題の解決策を考えましたが、このことから学べる教訓は何でしょうか?

そう、二つの文化がぶつかるときはお互いの文化同士が妥協点を見出す必要があるということです。

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ヤン・ファン (楊芳) この記事を書いた人

講師育成で知られる中国・東北師範大学卒業。講師歴は14年に及び、特に日系企業の駐在員やビジネスパーソン向けの指導経験が豊富です。現役の日中医療通訳士としても活動し同行・商談通訳等にも対応可能です
基礎からの正確な発音指導、ビジネス中国語、赴任前短期集中レッスン、HSK・中国語検定対策、日中医療通訳トレーニング。クイック・レスポンス、シャドウイング等の通訳訓練法をレッスンに導入し、実践的なコミュニケーション能力の効率的な習得をサポートします。企業研修(対面・リモート)、個人・グループレッスン、同行・商談通訳等にも対応可能で教材作成、レッスンカリキュラム、講師育成など幅広い分野で活躍。