「今、何時ですか?」「明日の朝10時に会いましょう」「飛行機は午後3時15分に出発します」

私たちの日常生活は、時間に関する会話であふれています。これは中国語圏での旅行やビジネス、あるいは友人との約束においても全く同じです。数字と決まった単語さえ覚えてしまえば簡単だと思われがちですが、実は中国語の「時間」表現には、日本語とは異なる独特のルールや、ネイティブならではの感覚が存在します。

例えば、「2時」を「二点」と言うと間違いだということをご存知でしたか?

この記事では、中国語初心者の方が迷わずに時間を言えるようになるための基礎知識から、中級者向けの微妙なニュアンス、さらには中国独特の時間感覚まで、網羅的に解説します。単なる単語の羅列ではなく、使える「生きた中国語」を身につけましょう。

独学での学習に行き詰まりを感じている方、より体系的に発音や会話を学びたい方は、プロの指導を受けるのも近道です。基礎固めには、実績のある中国語教室を活用することをおすすめします。

目次 [ close ]
  1. 中国語で「時間」を制する者は会話を制す!基本の重要性
    1. 日本語と中国語の「時間」の決定的な違い
  2. 【基礎編】まずは「数字」と「単位」を完璧にしよう
    1. 「時」は「点」、「分」は「分」
    2. 1時から12時までの読み方一覧
    3. 最重要ルール!「2時」は「二点」ではなく「两点」
  3. 【実践編】時計を見て即答できる!時間の具体的な言い方
    1. 分単位の読み方(一桁の分には「零」をつける)
    2. 15分、30分、45分のネイティブ表現(一刻、半、三刻)
    3. 「あと〇分で〇時」という便利な表現「差(chà)」
    4. 秒数まで正確に伝える「秒(miǎo)」の使い方
  4. 【応用編】「午前・午後」だけじゃない!時間帯の詳細な使い分け
    1. 1日を6つに分ける?中国語の時間帯感覚
  5. 今何時?相手に時間を尋ねる・答える会話フレーズ
    1. 基本中の基本「现在几点?(今は何時ですか?)」
    2. 丁寧に時間を尋ねる大人のフレーズ
    3. シーン別会話シミュレーション
  6. 間違いやすい!「時刻」と「時間(期間)」の決定的な違い
    1. 「3時(時刻)」と「3時間(期間)」は単語が違う
    2. 期間を表すときの位置(語順)に注意
  7. 中国の「時間」にまつわる豆知識と文化
    1. 中国全土で時間は一つ?「北京時間」の不思議
    2. 中国人の時間感覚とアポイントメントのマナー
  8. 効率よく覚えるための練習問題とまとめ

中国語で「時間」を制する者は会話を制す!基本の重要性

語学学習において「数字」と「時間」は、挨拶の次に学ぶべき最重要項目の一つです。なぜなら、これらはコミュニケーションにおける「事実確認」の要だからです。

挨拶が多少通じなくても笑顔で乗り切れることはありますが、待ち合わせ時間を間違えたり、電車の出発時刻を聞き間違えたりすることは、旅行中のトラブルやビジネスでの信用の失墜に直結します。

日本語と中国語の「時間」の決定的な違い

基本的に、中国語の時間表現は日本語の「〇時〇分」と構造がよく似ています。英語のように「quarter past…」のような複雑な言い回し(後述しますが、中国語にも存在はします)を使わなくても、数字を並べるだけで通じます。

しかし、決定的に違う点がいくつかあります。

  • 「時」の漢字: 日本語の「時」は、中国語では「点(diǎn)」を使います。
  • 「2」の読み方: 2時だけは特別な読み方をします。
  • 漢字の簡略化: 日本の漢字とは異なる「簡体字」が使われます。

これらを一つずつ丁寧に紐解いていきましょう。

【基礎編】まずは「数字」と「単位」を完璧にしよう

時間を言うためには、少なくとも1から59までの数字を言える必要があります。まずは時間の単位と、時計の文字盤にある1〜12の数字を確認しましょう。

「時」は「点」、「分」は「分」

中国語で時刻を表す基本単位は以下の通りです。

  • 時 = 点(diǎn / ディェン)
    ※日本語の「点数」の「点」と同じ字です。「一点、二点…」と数える感覚に近いです。
  • 分 = 分(fēn / フェン)
    ※発音は日本語の「フン」に近いですが、唇を軽く噛む「f」の音を意識しましょう。
  • 秒 = 秒(miǎo / ミャオ)
    ※猫の鳴き声のような音で覚えると忘れません。

1時から12時までの読み方一覧

それでは、1時から12時までを実際にどう読むか見てみましょう。特に注意が必要なのが「2時」です。

日本語 中国語(簡体字) ピンイン 発音のポイント
1時 一点 yī diǎn 「イー」は高く平らに伸ばす
2時 两点 liǎng diǎn 「二点(èr diǎn)」とは言いません!
3時 三点 sān diǎn 「サン」
4時 四点 sì diǎn 「スー」息を強く吐く
5時 五点 wǔ diǎn 低く抑える音
6時 六点 liù diǎn 「リョウ」に近い音
7時 七点 qī diǎn 「チー」
8時 八点 bā diǎn 「バー」
9時 九点 jiǔ diǎn 「ジウ」
10時 十点 shí diǎn 舌を巻いて「シー」
11時 十一点 shíyī diǎn  
12時 十二点 shí’èr diǎn  

最重要ルール!「2時」は「二点」ではなく「两点」

2時を指す時計と两点の表記

2時は「二点」ではなく「两点」。ここが初心者が一番間違えやすいポイントです。

中国語には「2」を表す言葉が2つあります。

  • 二(èr): 数字の順番、番号(電話番号や部屋番号)などで使います。
  • 两(liǎng): 数量を数えるとき(2個、2人など)に使います。

「2時」は時間の「量」的な感覚が含まれるため、慣習的に「两点(liǎng diǎn)」と言います。しかし、面白いことに「12時」は「十二点(shí’èr diǎn)」となり、「二」を使います。「2」単独の時だけ「两」になると覚えておきましょう。

【実践編】時計を見て即答できる!時間の具体的な言い方

基本の「時」をマスターしたら、次は「分」や「秒」、そしてネイティブがよく使う便利な表現を学びます。

分単位の読み方(一桁の分には「零」をつける)

「分」の読み方は、基本的に数字をそのまま読むだけですが、1分〜9分の場合に注意が必要です。間に「零(líng)」を挟むのが一般的です。

  • 12時3分
    × 十二点三分 (shí’èr diǎn sān fēn)
    十二点零三分 (shí’èr diǎn líng sān fēn)

10分以上の場合は、そのまま数字を読みます。

  • 10時10分: 十点十分 (shí diǎn shí fēn)
  • 4時15分: 四点十五分 (sì diǎn shíwǔ fēn)
  • 9時27分: 九点二十七分 (jiǔ diǎn èrshiqī fēn)

15分、30分、45分のネイティブ表現(一刻、半、三刻)

日本語でも「30分」を「半」と言うように、中国語にも特定の分数を表す慣用句があります。これらを使えると、グッとネイティブらしく聞こえます。

① 30分 = 半 (bàn)

これは日本語と同じ感覚で使えます。「30分」と言う代わりに「半」を使います。

  • 6時30分: 六点三十分 = 六点半 (liù diǎn bàn)

② 15分 = 一刻 (yí kè)

15分は「一刻(いっこく)」と表現します。英語の “quarter” に相当します。

  • 4時15分: 四点十五分 = 四点一刻 (sì diǎn yí kè)

③ 45分 = 三刻 (sān kè)

15分が「一刻」なので、その3倍の45分は「三刻」となります。

  • 11時45分: 十一点四十五分 = 十一点三刻 (shíyī diǎn sān kè)

ただし、「三刻」は地域や個人によって使わない人もいます。「四十五分」と言っても全く問題ありません。

「あと〇分で〇時」という便利な表現「差(chà)」

約束の時間に少し遅れそうな時や、もうすぐ次の時間になる時に使う表現です。「差(chà)」は「不足している」という意味です。

  • 差五分八点 (chà wǔ fēn bā diǎn)
    直訳:あと5分足りなくて8時 = 8時5分前(7時55分)

日本語の「〇時〇分前」と同じ感覚ですが、語順が「差 + 分 + 時」となる点に注意してください。

秒数まで正確に伝える「秒(miǎo)」の使い方

オリンピックの計測や、正確な時刻合わせの時には秒まで言います。

  • 9時27分59秒
    九点二十七分五十九秒 (jiǔ diǎn èrshiqī fēn wǔshijiǔ miǎo)

構造は「時」「分」と同じで、数字の後に「秒」をつけるだけです。

【応用編】「午前・午後」だけじゃない!時間帯の詳細な使い分け

日本語では主に「午前」「午後」を使いますが、中国語では時間帯をより細かく区切って表現することが多いです。「おはよう」「こんにちは」「こんばんは」の挨拶とも連動しているので、セットで覚えると効率的です。

中国語の1日の時間帯区分(凌晨、早上、上午、中午、下午、晚上)

時間帯の言葉を頭につけることで、AM/PMを明確にします。

1日を6つに分ける?中国語の時間帯感覚

厳密な決まりはありませんが、一般的に以下のように使い分けられます。

時間帯 中国語 ピンイン 使用例
深夜〜明け方
(0:00〜6:00頃)
凌晨 língchén 凌晨两点(深夜2時)
早朝
(6:00〜8:00頃)
早上 zǎoshang 早上六点半(朝6時半)
午前中
(8:00〜12:00)
上午 shàngwǔ 上午十点(午前10時)
正午前後
(12:00〜13:00)
中午 zhōngwǔ 中午十二点(お昼12時)
午後
(13:00〜18:00頃)
下午 xiàwǔ 下午四点(午後4時)

(18:00〜24:00)
晚上 wǎnshang 晚上八点(夜8時)

使い方のポイントは、「時間帯 + 時間」の順に並べることです。
例:晚上 十一点 四十五分(夜の 11時 45分)

今何時?相手に時間を尋ねる・答える会話フレーズ

数字と単位を覚えたら、実際に会話で使ってみましょう。

街中で時間を尋ねる男女の会話シーン

「现在几点?」は旅行で最も使うフレーズの一つです。

基本中の基本「现在几点?(今は何時ですか?)」

最も一般的で、誰にでも使えるフレーズです。

现在几点? (Xiànzài jǐ diǎn?)

今、何時ですか?

もし分まで細かく聞きたい場合は、「现在几点几分? (Xiànzài jǐ diǎn jǐ fēn?)」と言うこともできますが、「现在几点?」だけで十分通じます。

丁寧に時間を尋ねる大人のフレーズ

見知らぬ人や目上の人に時間を尋ねる場合は、「请问(お尋ねしますが)」をつけると丁寧です。

  • 请问,现在几点了? (Qǐngwèn, xiànzài jǐ diǎn le?)
    すみません、今何時になりましたか?

文末の「了(le)」は「変化」を表し、「(時間が経過して)何時になりましたか?」というニュアンスを含みますが、これをつけると非常に自然な響きになります。

シーン別会話シミュレーション

【シーン1:駅で】

A: 下一班火车几点出发?
(Xià yī bān huǒchē jǐ diǎn chūfā?)
次の列車は何時に出発しますか?

B: 下午两点十分。
(Xiàwǔ liǎng diǎn shí fēn.)
午後の2時10分です。

【シーン2:友達との待ち合わせ】

A: 我们几点见面?
(Wǒmen jǐ diǎn jiànmiàn?)
私たち、何時に会う?

B: 晚上七点半怎么样?
(Wǎnshang qī diǎn bàn zěnmeyàng?)
夜の7時半はどう?

間違いやすい!「時刻」と「時間(期間)」の決定的な違い

学習者が最も混乱するのが、「時刻(Point in time)」と「時間・期間(Duration)」の混同です。日本語ではどちらも「時間」という言葉を使うことがありますが、中国語では明確に区別します。

「3時(時刻)」と「3時間(期間)」は単語が違う

  • 時刻(〇時):点 (diǎn)
  • 期間(〇時間):小时 (xiǎoshí) または 钟头 (zhōngtóu)

【間違い例】
私は毎日「3時」勉強します(3時間という意味で)。
× 我每天学习三点
我每天学习三个小时 (sān ge xiǎoshí)。

「小时」の前には、個数を数える「个(ge)」を入れるのが一般的です。「钟头」はより口語的な表現です。

期間を表すときの位置(語順)に注意

中国語の語順において、「時刻」は動詞の前、「期間(時間量)」は動詞の後に置くのが基本ルールです。

  • 時刻(いつ?):
    三点看书。
    私は3時に本を読みます。
  • 期間(どのくらい?):
    我看书看了三个小时
    私は本を3時間読みました。

この語順の違いをマスターすれば、中国語検定やHSKなどの試験でも得点アップ間違いなしです。

中国の「時間」にまつわる豆知識と文化

言葉だけでなく、時間に対する感覚や制度を知っておくと、コミュニケーションがより円滑になります。

中国全土で時間は一つ?「北京時間」の不思議

中国は非常に広大な国土を持っています。東の上海から西の新疆ウイグル自治区まで、地理的には約4時間の時差があってもおかしくありません。

しかし、中国では「北京時間(Běijīng shíjiān)」という一つの標準時が国全体で採用されています。つまり、北京で朝7時なら、遥か西のウルムチでも時計は朝7時を指しています。しかし、ウルムチの朝7時はまだ真っ暗で、実質的な夜明けは10時頃だったりします。

そのため、西側の地域に行くときは、時計の時間と実際の太陽の動き、そして現地の人々の生活リズム(出勤時間や食事時間が遅いなど)のズレに注意が必要です。

中国人の時間感覚とアポイントメントのマナー

一般的に、中国のビジネスシーンでは時間を守ることが重要視されますが、プライベートや交通事情においては、多少の「前後」が許容される傾向があります。時間の表現で「两点左右(2時ごろ)」や「两三点(2、3時)」といった曖昧な表現もよく使われます。

また、食事の時間(饭点)は非常に大切にされます。特に昼食(12:00〜13:00頃)や夕食(18:00〜19:00頃)の時間帯に電話をかけたり、訪問したりするのは避けるのがマナーとされています。

効率よく覚えるための練習問題とまとめ

最後に、今回学んだ内容を復習してみましょう。

【練習問題】中国語で言ってみよう!

  1. 朝6時半
  2. 午後2時15分
  3. あと5分で10時(9時55分)
  4. 今は何時ですか?
答えを見る(クリックして展開)
  1. 早上六点半 (zǎoshang liù diǎn bàn)
  2. 下午两点一刻 (xiàwǔ liǎng diǎn yí kè) または 下午两点十五分
  3. 差五分十点 (chà wǔ fēn shí diǎn)
  4. 现在几点? (Xiànzài jǐ diǎn?)

時間の表現は、一度ルールを理解してしまえば決して難しくありません。「两点(2時)」と「两(2個)」の使い分けや、時間帯の単語をセットで覚えることで、あなたの中国語会話力は飛躍的に向上します。

何度も口に出して練習し、時計を見たら反射的に中国語で言えるようになるまでトレーニングしてみてください!

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ヤン・ファン (楊芳) この記事を書いた人

講師育成で知られる中国・東北師範大学卒業。講師歴は14年に及び、特に日系企業の駐在員やビジネスパーソン向けの指導経験が豊富です。現役の日中医療通訳士としても活動し同行・商談通訳等にも対応可能です
基礎からの正確な発音指導、ビジネス中国語、赴任前短期集中レッスン、HSK・中国語検定対策、日中医療通訳トレーニング。クイック・レスポンス、シャドウイング等の通訳訓練法をレッスンに導入し、実践的なコミュニケーション能力の効率的な習得をサポートします。企業研修(対面・リモート)、個人・グループレッスン、同行・商談通訳等にも対応可能で教材作成、レッスンカリキュラム、講師育成など幅広い分野で活躍。