中国麻雀はフリテン・ドラなし!日本とのルール違いを徹底解説|役一覧や点数計算も網羅
「中国人の友人と麻雀を打つことになったけど、ルールは同じ?」「中国麻雀って何が違うの?」そんな疑問をお持ちではありませんか?麻雀は日本でも中国でも大人気のゲームですが、実はそのルールには驚くべき違いがいくつも存在します。特に「フリテン」と「ドラ」がないという事実は、日本の麻雀に慣れた方ほど衝撃を受けるかもしれません。
この記事では、日本麻雀の発音と中国語の類似性を考察した前回の記事に続き、本場・中国麻雀のルールに焦点を当て、日本ルールとの違いを徹底的に比較・解説します。この記事を読めば、あなたも自信を持って中国人の友人と卓を囲めるようになります!
目次
中国麻雀と日本麻雀、基本は同じでも奥深さが違う!
まず大前提として、麻雀の基本的なゲームの流れは中国も日本も同じです。
最初に13枚の牌が配られ、各プレイヤーが順番に牌を1枚ツモ(自摸)しては1枚河に捨てる(打牌)。この過程で手牌を特定の組み合わせ(面子)に揃えていき、最終的に和了(ホーラ)形を完成させることを目指します。具体的には、
- 順子(シュンツ):同種の数牌で連続した3枚の組み合わせ(例:萬子の三・四・五)
- 刻子(コーツ):同じ牌3枚の組み合わせ(例:發・發・發)
- 槓子(カンツ):同じ牌4枚の組み合わせ
- 雀頭(ジャントウ):同じ牌2枚のペア(アタマ)
これらの要素を組み合わせて「4面子1雀頭」の形を作るという根幹部分は完全に共通しています。ですから、役や細かいルールの違いはあれど、基本的なゲーム進行は問題なく理解でき、すぐにでも中国人と一緒に楽しむことが可能です。点数計算がわからなくても、最初は「計算お願い!」と頼んでしまえば大丈夫。牌のやり取りを通じて、自然とコミュニケーションが生まれるはずです。
注意!「麻雀」という言葉の意味が日中で異なる
ルールの話に入る前に、一つ知っておきたいのが「麻雀」という単語の根本的な意味の違いです。実は、日本語で私たちがゲーム名として使っている「麻雀」という漢字は、中国語では鳥の「スズメ」を指す言葉なのです。
中国語で「スズメ」:麻雀 (máquè)
では、ゲームの「マージャン」は中国語で何と言うのでしょうか?正しくはこう書きます。
麻将 (májiàng)
意味:マージャン(ゲーム)
「麻 (má)」は同じですが、「雀」ではなく「将 (jiàng)」の字が使われます。豆知識として覚えておくと、話のネタになるかもしれませんね。
【最重要】中国麻雀と日本麻雀の決定的なルールの違い7選
ここからが本題です。中国麻雀と日本麻雀のルールの主な違いを7つのポイントに絞って詳しく見ていきましょう。これらの違いが、ゲームの戦略性を大きく変える要因となっています。
中国麻雀・7つの大きな違い
- 季節と花が彩る「花牌」の存在
- 高得点の鍵!「ドラ」の概念がない
- 戦略が激変!「フリテン」が存在しない
- ポン・チーで役が安くならない!「食い下がり」なし
- 和了には8点必要?「起和番(チーファン)」という縛り
- 計算はシンプル!符計算不要の「点数計算システム」
- 特定役の責任払い「包(パオ)」
1. 季節と花が彩る「花牌」の存在
中国麻雀を象徴する最大の違いが、この「花牌(ホワパイ / huāpái)」の存在です。日本の麻雀セットにも「春夏秋冬」「梅蘭菊竹」と書かれた牌が入っているのを見たことがある方もいるでしょう。これらが花牌です。
日本ではローカルルールや飾りとして使われる程度ですが、中国麻雀(国標麻将)では必須の牌としてゲームに加えられます。
使い方は非常にシンプルで、日本の3人麻雀における「抜きドラ」とほぼ同じです。手牌に花牌が入ってきた場合、それを自分の右側に公開(晒す)し、嶺上牌(リンシャンハイ)から1枚補充します。この花牌1枚が、和了した際に1点として加算されます。ドラのように点数が倍々になるわけではありませんが、貴重な点数源となります。

中国麻雀の彩り「花牌」。季節牌と植物牌の計8種類が存在します。
2. 高得点の鍵!「ドラ」の概念がない
日本の麻雀で高得点を狙うために不可欠な「ドラ」。しかし、中国麻雀にはドラ(懸賞牌)という概念が一切ありません。王牌(ワンパイ)を14枚残すこともなく、壁牌(ピーパイ)の最後までツモり続けます(海底牌は存在)。
「ドラがなくてどうやって高い手を作るの?」と疑問に思うかもしれませんが、心配は無用です。中国麻雀は、その分、役(番種)の種類が非常に豊富で、役を組み合わせることで点数を積み上げていきます。ドラに頼らない、純粋な手作りの腕が試されるゲーム性と言えるでしょう。
3. 戦略が激変!「フリテン」が存在しない
これも非常に大きな違いです。日本麻雀では、自分の捨て牌に待ち牌が含まれている場合、他家からロン和了できない「フリテン」という厳しい制約があります。これにより、高度な守備戦術が生まれます。
しかし、中国麻雀にはフリテンがありません。つまり、自分が過去に捨てた牌であっても、他家が同じ牌を捨てれば堂々とロンすることができます。これにより、ゲームの展開はより攻撃的になります。最後までどの牌が安全か分からず、常に緊張感が続くのが中国麻雀の魅力の一つです。

フリテンなしのルールが、中国麻雀の戦略をよりダイナミックなものにします。
4. ポン・チーで役が安くならない!「食い下がり」なし
日本麻雀では、鳴き(ポン・チー・カン)を行うと役の翻数が下がる「食い下がり」が一般的です(例:三色同順は2翻→1翻)。そのため、面前(メンゼン)を維持するか鳴くかの判断が重要になります。
一方、中国麻雀には「食い下がり」のルールがありません。鳴いても役の点数(番数)は一切変わらないのです。これにより、プレイヤーはより積極的に鳴いて手を進めることができます。面前を維持することに固執する必要がなく、スピーディーなゲーム展開になりやすいのが特徴です。
5. 和了には8点必要?「起和番(チーファン)」という縛り
日本の「一翻縛り」に似たルールとして、中国麻雀には「起和番(チーファン / qǐhūfān)」というものがあります。これは「和了するためには、合計で最低〇〇点以上の役がなければならない」というルールです。
最も一般的なのが「8点縛り」で、役と花牌などを合計して8点以上にならなければ和了を宣言できません。日本の役なしや1翻のみのような安い手での和了は基本的に認められないため、プレイヤーは自然と高い手を目指すことになります。
6. 計算はシンプル!符計算不要の「点数計算システム」
日本麻雀初心者がつまずきやすい複雑な「符計算」。中国麻雀では、この符計算がありません。
点数計算は非常にシンプルで、成立した役それぞれに設定された点数(番数)を単純に足し算していくだけです。例えば、「平和(ピンフ)2点」+「断幺九(タンヤオチュウ)2点」+「花牌1点」=合計5点、とはならず、8点縛りを満たすためにもっと役が必要です。例えば「平和2点」「全帯幺6点」「缺一門1点」「花牌1点」= 合計10点といった具合です。
ロン和了の場合は、放銃者が「和了点の合計+基礎点8点」を支払います。ツモ和了の場合は、他の3人全員がそれぞれ「和了点の合計+基礎点8点」を支払うため、ツモは非常に強力です。
7. 特定役の責任払い「包(パオ)」
日本の役満確定時にも適用されることがある「責任払い(包)」のルールは、中国麻雀でも明確に定められています。特に以下の役で適用されます。
- 大三元(だいさんげん):3種類目の三元牌をポンさせて確定させた場合。
- 大四喜(だいすーしー):4種類目の風牌をポンさせて確定させた場合。
- 清一色(ちんいーそー):清一色の最後のポン・チーをさせて聴牌させた場合(一部ルール)。
パオが適用された場合、もしそのプレイヤーがツモ和了したら、パオを発生させた人が全額を支払います。もし他のプレイヤーからロン和了した場合は、放銃者とパオを発生させた人が折半で支払うことになります。
いくつわかる?中国麻雀の役クイズに挑戦!
漢字に馴染み深い日本人なら、中国麻雀の役名を見ても意味を推測できることがあります。ここでは、日本とは呼び方が違う中国麻雀の役をクイズ形式でご紹介します。日本のどの役にあたるか、考えてみてください!
【初級編】まずは小手調べ
1. 三色三同順 (sānsè sāntóngshùn)
2. 七対 (qīduì)
【初級編・答え】
1. 三色三同順は、日本の「三色同順」です。萬子・筒子・索子の三色で同じ数字の順子を作る、おなじみの役ですね。
2. 七対は、その名の通り「七対子(チートイツ)」です。7つの対子(ペア)を作る役で、作り方も全く同じです。
【中級編】麻雀通ならわかるかも?
3. 碰碰和 (pèngpènghé)
4. 連七対 (liánqīduì)
5. 十三幺 (shísānyāo)
【中級編・答え】
3. 碰碰和:「碰(pèng)」はポン(刻子を作ること)を意味します。つまり、ポンを繰り返して和了する役、日本の「対々和(トイトイ)」のことです。
4. 連七対:「七対」が七対子なので、それが「連」なっている形。つまり、同色で連続した数字の七対子を作る、日本のローカル役満「大車輪(ダイシャリン)」系統の役です。中国では萬子・索子でも成立します。
5. 十三幺:「幺」は「幺九牌(ヤオチュウハイ)」、つまり一・九・字牌を指します。13種類の幺九牌を全て1枚ずつ集める役なので、日本の役満「国士無双」となります。
【上級編】これがわかれば中国麻雀マスター!
6. 全求人 (quánqiúrén)
7. 妙手回春 (miàoshǒuhuíchūn)
8. 清龍 (qīnglóng)
【上級編・答え】
6. 全求人:「全て人に求める」という字の通り、手牌の雀頭以外を全て他家からの鳴き(ポン・チー・明槓)で揃え、最後の1枚をロンで和了する形。日本の「裸単騎でのロン和了」に相当します(ツモでは成立しません)。
7. 妙手回春:「妙手によって春が返ってくる」という詩的な表現。ゲームの最後のツモ牌で和了する役、すなわち「海底撈月(ハイテイラオユエ)」です。
8. 清龍:「清」は清一色を連想させますが、ここでは「龍」がポイント。同種の数牌で1から9までを揃える、つまり「一気通貫(イッキツウカン)」を指します。龍のように連なるイメージからこの名がついています。
日本にはない!魅力的な中国麻雀の役(番種)の世界
クイズで登場した以外にも、中国麻雀には日本にないユニークでダイナミックな役が数多く存在します。ドラがない分、これらの多彩な役をいかにして組み合わせるかが、高得点への鍵となります。

「清龍」や「全大」など、中国麻雀には視覚的にも美しい役が数多く存在します。
最高峰!88点役(日本の役満クラス)
中国麻将の最高点数は88点。日本の役満に相当する、まさに究極の和了形です。
- 大四喜 (dàsìxǐ): 東南西北の4刻子を集める。
- 大三元 (dàsānyuán): 白發中の3刻子を集める。
- 緑一色 (lǜyīsè): 緑色の牌(發・索子の23468)のみで手牌を構成する。日本と違い、發がなくても成立するのが特徴。
- 九蓮宝燈 (jiǔliánbǎodēng): 清一色で「1112345678999」の形を作り、いずれかの牌を待つ。
- 四槓 (sìgàng): 1人で4つの槓子を作る。
- 連七対 (liánqīduì): 前述の通り。同色で連続した数字の七対子。
- 十三幺 (shísānyāo): 国士無双。
まだまだある!ユニークな役の数々
他にも、知っていると面白い役がたくさんあります。
- 全大 (quándà) / 全中 (quánzhōng) / 全小 (quánxiǎo): それぞれ数牌の789のみ、456のみ、123のみで手牌を構成する役。シンプルながら美しい。
- 一色四歩高 (yīsè sìbùgāo): 同色で1つずつ数字のずれた順子を4つ作る(例:123, 234, 345, 456)。
- 組合龍 (zǔhélóng): 萬子147、筒子258、索子369のように、3色で特定の数字の組み合わせの刻子または順子を作る役。
中国麻雀を体験するには?日本で遊ぶ方法
「ルールは分かったけど、どこで遊べるの?」という方のために、日本で中国麻雀を体験する方法をいくつかご紹介します。
オンライン麻雀ゲーム・アプリ
最も手軽なのは、スマートフォンアプリやPCのオンラインゲームです。近年、中国麻雀(国標麻将)をプレイできるアプリが増えてきています。「Mahjong Competition」などで検索すると、世界中のプレイヤーと対戦できるプラットフォームが見つかります。まずはCPU相手に練習してみるのも良いでしょう。
中国麻雀が打てる雀荘
数は多くありませんが、都心部には中国麻雀のルールを採用している雀荘や、国際交流を目的とした麻雀サークルが存在します。そうした場所では、実際に牌を触りながら、経験者から直接ルールを教えてもらうことも可能です。「中国麻雀 東京」などのキーワードで探してみると、イベントやコミュニティが見つかるかもしれません。
まとめ:ルールの違いを理解して、国際的な麻雀を楽しもう!
今回は、中国麻雀と日本麻雀のルールの違いについて詳しく解説しました。
【重要ポイントの再確認】
- 基本の「4面子1雀頭」は同じだが、「花牌」を使う。
- ドラもフリテンも食い下がりもないため、攻撃的でスピーディーな展開に。
- 符計算はなく、役の点数を足し算するシンプルな点数体系。
- 役の種類が非常に豊富で、手作りの戦略性が問われる。
一見すると複雑に感じるかもしれませんが、慣れてしまえば日本麻雀とはまた違った奥深い戦略性とダイナミックな面白さがあります。何より、麻雀は言葉の壁を越えて楽しめる最高のコミュニケーションツールです。
中国人の友人と「何をして仲良くなろう?」と考えたとき、麻雀は素晴らしい選択肢になるはずです。今回ご紹介したルールの違いを頭に入れて、ぜひ国際的な麻雀交流に挑戦してみてください!
※注意:中国では賭け麻雀が一般的な場合があります。友人同士で楽しむ際は、事前に金銭を賭けない健全なルールを確認することをおすすめします。