中国切り絵細工の意味と使い方その歴史

    1. 中国歴史・民族

    複雑な模様を紙に切り抜いた伝統的な中国切り絵細工。多くの中国人は窓や部屋の壁に貼っていますね。

    赤い紙の「」は新婚世帯の家に貼られていますが、ほかにもその模様や文字によって、いつどんな時にどこに貼るのかいろいろな意味があるようです。

    中国切り絵細工の意味と使い方その歴史

    モチーフ構成の意味

    切り絵細工のモチーフは多くの場合、吉祥を表すとされる動植物などをいくつも組み合わせて製作されています。

    モチーフが一つであれ複数であれ、その対象をもとに何らかの意味を持たせるように作られているのです。

    Dìyù de fēngbì hé wénhuà de júxiàn,yǐjí zìrán zāihài děng nìjìng de qīnrǎo,

    地域的 封闭 和 文化 的 局限,以及 自然 灾害 等 逆境 的 侵扰,

    jīfā le rénmen duì měimǎn xìngfú shēnghuó de kǔqiú。

    激发了 人们 对 美满 幸福 生活 的 渴求。

    Rénmen qíqiú fēng yī zú shí、réndīng xīngwàng、jiànkāng chángshòu、wànshì rú yì,

    人们 祈求 丰 衣足食、人丁 兴旺、健康 长寿、万事 如意,

    zhè zhǒng pǔsù de yuànwàng,biàn jiè tuō jiǎnzhǐ chuándá chūlai。

    这 种 朴素的 愿望,便 借 托 剪纸 传达 出来。

    地域的閉鎖と文化の限界、及び自然災害などの逆境がもたらす混乱が、人々の満ち足りた幸福な生活に対する切なる願いを刺激した。

    人々は衣食が満ち足りた豊かな生活、子孫の繁栄、健康と長寿、何事も思いの通りに運ぶことを願った。

    こうした素朴な願いが切り絵細工に託され、広まるようになった。

    主なモチーフ

    輝く夕日を背景に鹿や鳥のシルエット。

    鹿鹤同春

    鹿鹤同春」(lùhètóngchūn)は民間の伝統的切り絵細工の主要モチーフです。

    候鸟」(hòuniǎo)は渡り鳥の総称ですが、これを鶴と呼んでいます。また鶴は長寿の鳥とみなされています。

    鹿は「」(「官吏の給与」)と同じ発音であることから、「鹿鹤」(lùhè)の組み合わせは健康長寿、豊作祈願を意味しています。

    さらに春は生きる喜び、生命讃歌を表しているので、病魔や死から逃れ、永遠に生きたいという人々の願望が表れています。

    鹰踏兔

    鹰踏兔」(yīng tàtù「兎を踏む鷹」)も伝統的模様の一つです。

    民間神話の中で鷹は男性を、兎は女性を表すことから、男女の愛情、生殖崇拝、子孫繁栄の祈願のモチーフとして結婚初夜の部屋に飾られてきました。

    抓髻娃娃

    抓髻娃娃」(zhuā jìwáwa)-「抓髻」(zhuā jì)は昔、未婚の女性が頭の両側に結った髷の事です。

    頭の両側に髷のある子供の人形をモチーフにしたこの切り絵は、魔除け、悪霊退散の意味で用いられてきました。

    モチーフの特長

    こうした題材の作品には、とても大きな魚、大きな鳥、大きな卵、といったようなモチーフの誇大表現という共通点があります。

    そうすることで人々は人間の力を誇示し、自然の偉大な力をも征服できるのだという気持ちになり、現実の苦しさを耐え抜いていこうとする原動力にしようとしたのです。

    張る場所

    中国の提灯を掲げる男性。

    张贴用

    张贴用zhāngtiē yòng)-「窗花」(chuānghuā)という種類を用い、直接門扉や柱、壁、窓、飾り提灯に貼ります。

    北方の農家でよく見られますが年末になると古いものを外し、新しいものを貼り直して新年を新しい気分で迎えます。

    摆衬用

    摆衬用bǎichènyòng)-花嫁道具、礼物の飾りつけ、供え物に用います。

    喜花」(xǐhuā)という種類を新婚夫婦が用いる様々な日常生活用品、たとえば鏡、茶器、石鹸ケースなどに貼ります。

    赤色を基調としており、ありとあらゆる吉祥のモチーフが使われています。引き出物の餅や卵には「礼花」(lǐhuā)という種類の模様を用います。

    刺绣底样

    刺绣底样cìxiù yàng)-刺繍の下地模様として、衣服、靴、帽子、枕に用います。

    布で作られる靴の刺繍の下地には「鞋花」(xiěhuā)が使われますが、小花模様や三日月模様などがあります。

    印染用

    印染用yìnrǎnyòng)-プリント柄印刷の版木に用います。布地、布団カバー、カーテン、ふろしき、ターバン等に利用されます。

    よく見知っている窓や壁に貼っている以外にも、こんなにも様々な用途で切り絵細工が使われているとは驚きです。

    いろいろな場所で、どういう物に、どんな切り絵細工が使われているのか探してみるのも面白いかもしれませんね。

    中国切り絵細工の歴史

    中国切り絵細工は特殊なはさみと彫刻刀を使って紙の上に複雑な模様を描いたものです。

    中国人の生活や民族活動に欠かせない民芸品ですが、お土産として一度は購入された方も少なくないのではないでしょうか?

    今回はその由来と歴史を見てみましょう。

    切り絵細工の始まり

    中国切り絵細工は「中国剪纸」(Zhōngguójiǎnzhǐ)といいます。2006年5月に国務院によって中国の無形文化遺産に登録されています。

    Zhǐ de fāmíng shì zài gōngyuán qián de Xīhàn shídài,

    纸 的 发明 是 在 公元 前 的 西汉 时代,

    zài cǐ zhī qián shì bù kěnéng yǒu jiǎnzhǐ yìshù de chūxiàn de,

    在此之 前 是 不 可能 有 剪纸 艺术的 出现 的,

    dàn dāngshí rénmen yùnyòng bó piàn cáiliào,tōngguò lòukōng diāokè de jìfǎ zhìchéng gōngyìpǐn,

    但 当时 人们 运用 薄 片 材料,通过 镂空 雕刻 的技法 制成 工艺品,

    jìng zǎo zài wèichūxiàn zhǐ shí jiù yǐ liúxíng,

    竟 早 在 未 出现 纸 时 就已 流行,

    jí yǐ lòu、tī、kè、jiǎn de jìfǎ zài jīnbó、pígé、juàn bó,

    即以 镂、剔、刻、剪 的技法 在 金箔、皮革、绢 帛,

    shènzhì zàishùyè shàng jiǎn kè wén yàng。

    甚至 在 树叶 上 剪刻 纹 样。

    紙の発明は紀元前の前漢時代であるから、これより前に切り絵芸術が現れるのは不可能である。

    しかし当時人々が薄く平たい材料を用い、透かし彫りの技法で作っていた工芸品は、なんと紙が出現するよりはやくから流行していた。

    即ち彫る、削る、刻む、切るといった技法で金箔、皮革、絹織物、ひいては木の葉の上にまで紋様を刻み込んでいたのである。

    史记》(shǐjì)の記録の中に、周時代の第二代君主「周成王」(Zhōuchéngwáng)(紀元前1132年―前1083年)が「」という字を切った青桐の葉を弟に与えて「唐为侯」(Tángwéihóu)に任じたというくだりがあります。

    湖北省の出土品からは戦国時代の皮革透かし彫り、河南省の出土品からは銀箔の透かし彫りが発見されています。

    紙の切り絵と同じくこうしたものが民間の切り絵に大きな影響を与える基礎になったと考えられています。

    発展と歴史

    結婚

    唐時代

    有名な詩人「杜甫」(Dù Fǔ)のある詩の中に「翦纸招我魂」(jǐanzhǐzhāo wǒhún「切り絵がわが魂を呼ぶ」)という一節があります。

    唐時代、切り絵を用いて亡くなった人の魂を呼び戻すという風習があったためのようです。

    つまり切り絵細工は民間で既にかなり発展していたという事になります。

    大英博物館に現存する唐時代の切り絵から、当時の切り絵細工技術がきわめて高く、画面構成も、表現方法も大変秀でていたことがわかります。

    12~13世紀

    12-13世紀の南宋時代になると、切り絵を職業にする職人が現れます。そして明時代、清時代に切り絵は成熟期、最盛期を迎えます。

    民間で発展を見た切り絵ですが、清時代には当時の皇帝や貴族たちの生活、文化の中にさえ切っても切れない影響を及ぼすほどになっていました。

    大きさの違いこそあれ、農家、皇家を問わず結婚式の初夜を過ごす部屋の窓、その部屋の柱や壁などに「」を二つ並べた「」()という字をデザインした切り絵を貼ったのです。

    この風習は現在でも見られます。

    近代から現代

    20世紀前期

    若者

    20世紀初頭には魯迅などをはじめとする先進的知識人の唱導によって、中国民俗学のひな型が形成されました。

    彼らは民間の文学資料を集めると同時に民間の美術作品も収集する努力を払いました。その中にはもちろん切り絵が含まれていました。

    1930年代には芸術家の「陈志农」(ChénZhìnóng)が民間切り絵の研究と創作活動を始め、北京の風俗、習慣、市井の風景、露天商、職人の作業風景といった日常生活を題材に多くの作品を生み出しました。

    20世紀後期

    20世後半からは、さらに新しい題材や形式の模索が始まりました。

    芸術家たちが切り絵の新しい創作表現に取り組んだ結果、以前のスタイルの継承と発展というだけでなく、子供たちの活動やスポーツ、雑技、歌舞などにまで作品のジャンルが広がるようになりました。

    中国の歴史において、その始まりから一度たりとも中断されたことなく、今に至るまで中国のあらゆる民族の民俗文化に生き続けている切り絵芸術。

    いろいろな種類を収集すると興味深いかもしれませんね。

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