中国人が金の装飾品を好む理由とその風習

    1. 中国歴史・民族

    多くの中国人は金の装飾品、とりわけ24K(純金)のものが大好きです。その装飾の造形は様々で、男女を問わず、生まれたばかりの赤ん坊から老人に至るまであらゆる年代の人が身に着けています。

    なぜ中国人はそれほどまでに黄金の装飾品を好むのでしょうか?

    中国人が金の装飾品を好む理由とその風習

    赤ん坊に金の装飾品

    子供ができると、ご近所同士や親戚、友人の会話で黄金の装飾品に関してこんな話題が上がるのがもっぱら日常茶飯事です。

    Huáiyùn qījiān,yùnfù kěyǐ dài jīn xiàngliàn shǒushizhī lèide ma?

    怀孕 期间,孕妇可以 戴 金 项链 首饰 之 类的吗?

    Duì tāi’ér yǒu méiyǒu yǐngxiǎng ne?

    对 胎 儿 有 没有 影响 呢?

    妊娠期間中、妊婦は金のネックレスなどのアクセサリーを身に着けていてもいいですか?胎児に何か影響はありませんか?

    Bǎobǎo mǎn yuè le,wǒ kěyǐ gěi tā dài jīn xiàngliàn ma?

    宝宝 满 月了,我可以 给他 戴 金 项链 吗?

    赤ん坊が生後満一ヶ月になりますが、金のネックレスを着けさせてもいいですか?

    Bǎobǎo duō dà kěyǐ dàihuángjīn?

    宝宝 多大可以 戴 黄金?

    赤ん坊がいくつになったら黄金を身に着けさせてもいいですか?

    Qiānwàn bù néng gěi háizi dài jīn yín shǒushi,wēihài tài ké pà le!

    千万 不 能 给 孩子 戴 金 银 首饰,危害太 可怕了!

    くれぐれも子供に金や銀のアクセサリーを着けさせないでください、大いに危険です!

    生まれたばかりの赤ん坊に黄金の装飾品を着けさせるようとする風習は、黄金に「邪気を払い、福を呼ぶ」「金運が良くなる」効能があると一般的に信じられてきたからです。

    また吉祥と無病息災、長寿の願いを込めて、赤ん坊に「黄金生肖」(huángjīnshēngxiào 金の干支)のネックレスやブレスレットを着けさせる風習もあります。

    誰が買うの?

    赤ん坊のための黄金の装飾品をいったい誰が買うのかということにも中国ならではの風習があります。

    Bǎobǎo mǎn yuè de jīn shì shì shéijiā mǎi de ne? Shì pójia háishiniángjia?

    宝宝 满 月的 金 饰 是 谁 家 买的呢?是 婆家 还是 娘家?

    子供が生後満一ヶ月になった時の黄金の装飾品はどの家が買うのですか?嫁ぎ先の家ですか、それとも妻の実家ですか?

    一般的に嫁ぎ先、つまり夫の実家が妻の実家に「报生钱」(bàoshēngqián)と呼ばれるお金を渡します。それに加えて妻の実家もそれより多くのお金を出して赤ん坊のための品々を買いそろえる習慣があります。

    農村地域では大都市よりもこの風習が強く、どのくらいの金額の报生钱を出すかも問題になります。

    中国の宝石店で女性が金のブレスレットを持っています。

    長寿のお祝いに

    日本と同じく中国でも親や祖父母の還暦のお祝いは大切です。こんな時も黄金の装飾品がプレゼントに選ばれます。

    Pópoguò liù shí dàshòu,wǒ mǎi lái jīn xiàngliàn sòng tā。

    婆婆过 六 十 大寿,我 买 来 金 项链 送 她。

    姑が六十歳の誕生日を迎えたので、私は金のネックレスを買ってプレゼントしました。

    中秋節のお祝いに

    中秋节」(Zhōngqiūjié)と言えば家族団らんの祝日です。「月亮」(yuèliang 月)が丸いこと、「全家团聚」(quánjiā tuánjù 一家団らん)が家族の円満を表わすことから、「月饼」(yuèbing)を食べる風習がありますね。

    それ以外にも、家族の年長者に贈り物をする風習もあるのですが、プレゼントに選ばれるのがやはり黄金の装飾品です。中秋節は国慶節と日が近いことから、例年9-10月には一週間ほどの「黄金周」(huángjīn zhōu ゴールデンウィーク)があります。

    その際宝飾店は目玉セールを開催します。実店舗でもネット通販でも、この時期の黄金の装飾品を含む宝飾品はお買い得です。

    中国の結婚式で手を繋ぐ新郎新婦。

    結婚式には欠かせない

    結婚式となると、西洋諸国ではダイヤモンドやその他の宝石が珍重されますが、中国人にとっては何と言っても欠かせないのが黄金です。

    Rénmen tōngcháng jiāng yí duàn měihǎo de yīnyuán shuō chéng “jīnyù liángyuán”。

    人们 通常 将 一 段 美好 的 因缘 说 成 “金玉 良缘”。

    Kějiàn huángjīn zài dōngfāng de hūnlǐ xísú zhōng dàibiǎo zhe měihǎo de yùyì!

    可见 黄金 在 东方 的 婚礼习俗 中 代表 着 美好 的 寓意!

    Jiù xiàng zuànshí jièzhi zài xīfāng de dìwèi yíyàng,duì Zhōngguó xīnniáng ér yán,

    就 像 钻石 戒指 在 西方 的 地位 一样,对 中国 新娘 而 言,

    yí duì 24K jīn lóngfèng shǒuzhuó cáishì nà jiàn hěngjiǔ de pèishì。

    一 对 24K 金 龙凤 手镯 才 是 那 件 恒久 的 配 饰。

    一般的に「良いご縁」のことを人々は「黄金や玉のように良い縁」と表現する。このように黄金は東洋の婚礼習俗において大変良い意味を代表している。

    それは西洋におけるダイヤモンドの指輪が持つ立場と同じく、中国の花嫁にとっては龍と鳳凰をあしらった24Kのブレスレットこそが恒久的な結婚装身具なのである。

    中国で昔から珍重され愛されてきた品と言えば黄金と玉ですが、とりわけ人の誕生から老いに至るまで、中国人の生活の様々な風習において黄金の装飾品はこんなにも身近な物なのですね。

    中国に行くと、空港ショップ、百貨店、大都市の繁華街、商業施設やスーパーマーケットのテナントなど、まさに至る所で黄金の装飾品店が軒を並べています。

    つまりそれだけ人気があるのですが、なぜ中国人はこれほど黄金の装飾品をこのむのでしょうか?

    高貴な人の副葬品として

    中国で黄金は希少価値が高い金属として古代より大変珍重されてきました。というのも、化学的特性が安定しており錆びにくく変質しにくいことから、王侯貴族の副葬品として大量の黄金が使われたのです。

    そのため、市場に出回る黄金は一層少なくなりました。2011年に出土した前漢時代、在位わずか27日の第九代皇帝「刘贺」(LiúHè)の墓からは何と50Kgの黄金が見つかりました。

    それは当時の人々が、死後の世界でも現世と同じような生活があり、生前と同様の暮らしを送るために黄金が必要だと信じていたからだったのです。

    不老長寿への願い

    唐時代になると黄金の食器が珍重され、特別な意味を付与されるようになりました。実は、この背景には死を恐れた当時の皇帝たちの迷信がありました。

    唐時代の皇帝は長寿の効能があると信じて特別に作らせた霊薬を毎日飲んでいましたが、それだけでは不安だったので、黄金で作らせた食器を用いるようになりました。

    なぜなら、黄金の食器で食事を取るなら永遠に生き続けられると信じていたからです。

    Wèile dú xiǎng huángjīn cānjù,yǒngyuǎn huó zhe,huángdì zuò le míngquè guīdìng:

    为了独 享 黄金 餐具,永远 活 着,皇帝 做 了 明确 规定:

    yī pǐn guān yǐxià,cānjù bù néng yòng jīn de;liù pǐn guān yǐxià,bù néng yòng yín de。

    一品 官 以下,餐具不 能 用 金的;六 品 官 以下,不能 用 银 的。

    Zhè yīxiàzi,huángjīn bùjǐnjǐn shì wù le,

    这 一下子,黄金 不仅仅 是 物了,

    tā háichéngwéi dāngshí rénmen děngjí shēnfen de xiàngzhēng。

    它还 成为 当时 人们 等级 身份 的 象征。

    黄金の食器のもたらす益を自らだけのものにし、永遠に生き続けるために皇帝は明確な規定を定めた。

    つまり一品(高級官吏の位)以下の官吏は金の食器を用いてはならず、六品以下の官吏は銀の食器を用いてはならないというのだ。これにより、黄金は物だけでなく、人々の身分階級の象徴の意味まで持つようになった。

    金

    手の届かない高みへの憧れ

    皇帝の持つ権威

    それ以外にも、黄金は皇帝から与えられる栄誉や褒賞としても利用されました。「皇帝」(huángdì)が着る「龙」(lóngpáo 龍の模様を刺繍した衣)の衣や刺繍の色は「黄色」(huángsè)ですね。そして黄金の色も黄色です。

    唐時代に始まり清時代に至るまでこの習慣は受け継がれ、人々は黄金を見ると自然と皇帝の持つ権威を連想しました。

    神聖かつ重要な仏教

    さらに仏教の持つ影響力も大きなものでした。皇帝は一般人には黄色の衣服を着ることを禁じましたが、僧侶にはそれを許していました。仏教文化は中国の伝統文化において神聖かつ重要な位置を占めており、寺院の壁や仏像も黄色でした。

    こうして、一般民衆にとって黄色は黄金の色であり、自分たちが決して得ることのない高い地位や、仏の象徴となり、手の届かないものへの憧れが黄金への欲求に繋がっていったのかもしれません。

    アクセサリー

    人気のある商品

    中国で黄金を販売する店と言えば「周生生」「周大福」「周大生」「六福珠宝」「周六福」「老凤祥」などが有名です。「」や「」の字が入っている店名が多いのは不思議ですね。

    こうした店で販売されている人気商品には、純金のブレスレット、チェーン、ペンダント、置物などがあります。ペンダントには落花生、ひょうたん、仏像、スプーン、白菜、魚、福袋などの形をしたものがあり、それぞれに意味があります。

    たとえば落花生には不老長寿、ひょうたんには一家繁栄と無病息災の意味があるとされているのです。それで、ふさわしい時に自分のために購入したり、家族や親族、友人にプレゼントしたりするのです。

    ぜひ一度中国の黄金販売店をのぞいてみてください。きっといろんな形のペンダントを見せてくれますよ。意味をいろいろ教えてもらうのも楽しそうですね。

    使える中国語をカフェで習得
    何度でも聞ける1対1レッスンはコスパ最強
    【先生を選んで、無料体験する!】

    開く

    この記事を読んだ方はこんな記事も読んでいます