中国人の留学熱が高まる現在、留学や移住ビジネスの展望とは?

  1. 中国経済・社会

世界でどこにでもいる民族、それは中華民族かもしれません。世界人口の実に1/4は中国人です。

世界中にいる中国人ですが、彼らはそれぞれの国で外国人ゆえにいろいろな住みにくさを感じているのです。

中国人の留学熱が高まる現在、留学や移住ビジネスの展望

世界に飛び立つ中国人

中国人は中国が大好きなのですが、それでも世界に羽ばたきます。中国政府も自国民が世界に行くことを問題視していません。中国の影響力を世界に広げる足がかりと見ているのでしょう。

いろいろな理由で中国人は海外に行きます。

日本に来ている中国人は主に留学(留学:liúxué)もしくは仕事(工作:gōngzuò)が理由のようです。

以前は多かった中国人の技能実習生(研修生:yánxiūshēng)はベトナム人などのほうが人件費が安くなったのですっかり少なくなりました。

中国人は日本以外のアメリカや東南アジアなど、さまざまな国に羽ばたきそこで生活しています。

はたしてそれら諸外国で生活している中国人はどんなことを経験しているのでしょうか?いろんな国に行っている中国人が経験していることを考察してみましょう。

日本に行くと

日本に来た中国人はあからさまな差別や罵倒のことを経験することはありません。日本人の良いところは本人に直接悪口などを言ったりしないことです。

しかし中国人は日本に行ってしばらくすると、日本人が中国人に対してよくないイメージを持っていることを感じ取ります。また日本文化と合わない中国文化を快く思っていないことを感じ取ります。

よって日本に来た中国人は自分の個性を消すようにして「おとなしくなる」のです。日本文化に合わせて本音(真心话:zhēnxīnhuà)では話さないことをします。

アメリカに行くと

アメリカに行った中国人は日本のような息苦しさは感じません。自由の国アメリカだからです。

アメリカでは中国人も自分の個性を出して自由にふるまうことができるのですが、ある大きな問題に直面することになります。それが…

fǎnyàyìchóuhèn

反亚裔仇恨

アジア系住民へのヘイトクライム問題

2022年6月にもBTSがホワイトハウスでわざわざこのヘイトクライム問題に触れていました。それくらいアジア人への偏見(偏见:piānjiàn)が激しいということです。

アメリカで生活していると「アジア人は出ていけ!」あからさまに言わることも少なくありません。

見た目ではわからないので、中国人だけでなく実は私たち日本人や韓国人も同様の差別をアメリカでは経験することになります。

香港に行くと

日本人の感覚だと、香港と中国は似たようなところに感じることでしょう。中国に併合された今は特にそうです。しかし今でも香港人は自分たちが中国人だとは思っていません。

そして中国人のことをアメリカ人以上に嫌っています。これには単に政治的な問題だけでなく、同じ中華系の民族なのに唾を吐いたりとか、人目を気にせず大声で話したりなど、教養(素质:sùzhì)がない振る舞いを嫌っているのです。

以前の記事でも扱いましたが、見た目が中国人に見える日本人も、香港では日本語を話さないと冷たい対応をとられてしまいます。香港は中国人にとって世界で一番肩身が狭く生活しにくい場所かもしれません。

東南アジアに行くと

実は中国人が一番行っている外国はアメリカでも日本でもありません。東南アジアの国々です。

インドネシア(印度尼西亚:yìndùníxīyà)などは中国人の移住が多すぎて、全人口の3%となっています。

ですが東南アジア諸国は中国に対して悪いイメージをさほど持っていません。東南アジア諸国にとって中国はアジア全体の発展において兄のような存在だからです。

よって中国人が自国にやってくることにほとんど反感はありません。つまり中国人が一番生活しやすい外国というのは、東南アジアの諸国ということになるでしょう。

異文化を知ることは勉強になる

今回は中国人の観点から、外国の異文化で生活するとはどういうことなのかを考察しました。自国の価値観が一歩外国に出れば全く通じないのです。自国の常識が外国では非常識になるのです。

世界観を広げ、いろんな価値観を認められる人になるには、中国人みたいに外国に一時期住んでみるのはとっても良い方法です。

中国人の高まる海外留学熱

近年、新卒大学生を悩ませているのが就職問題です。大卒という高学歴が、今では良い就職に必ずしもつながらなくなっているからです。

それで海外での留学を模索する人が年々増えています。親や学生たちは留学をどうとらえているのでしょうか?

中国人の海外留学熱

Zuòwéi yī ge lǎoshī,wǒ duì chū guó liú xué yǒu xiē xiǎngfa,

作为 一 个 老师 ,我 对 出 国 留 学 有 些  想法 ,

jīntiān wǒ xiǎng ràng nǐmen xuésheng zhīdao wǒ de zhè xiē xiǎngfa。

今 天 我 想 让 你 们 学 生 知 道 我 的 这 些 想 法。

一人の教師として、私には海外留学についていくらかの考え方がありますが、今日はあなた方学生にその考え方を知ってほしいと思います。

Chū guó liú xué nénggòu kāikuò shìyě,tígāo xuésheng de zōnghé sùzhì hé nénglì,

出 国 留 学 能 够 开 阔 视 野,提 高 学 生 的 综 合 素 质 和 能 力,

海外に留学するなら、視野を広げ、学生の総合的な素質や能力を高める事ができるでしょう。

zhè xie wúxíng de jiàzhí zài gōngzuò de guòchéng zhōng huì zhújiàn xiǎnxiàn chūlai bìng fāhuī zuòyòng,

这 些 无 形 的 价 值 在 工 作 的 过 程 中 会 逐 渐 显 现 出 来 并 发 挥 作 用,

これらの無形の価値こそが、仕事をしていく過程において徐々にその本領をあらわし、またその能力を発揮していくのです。

suǒyǐ hǎiguī de jìnshēng kōngjiān huì dà de duō。

所 以 海 归 的 晋 升 空 间 会 大 得 多。

だからこそ海外留学から戻ってきた人々が昇進していく機会もより大きいと言えるのです。

Búguò,chū guó liú xué bìng bù yí dìng néng bǎozhèng bǎituō “jiù yè nán”。

不过, 出 国 留 学 并 不 一 定  能  保证  摆脱 “ 就 业 难”。

とはいえ、海外留学が就職難からの脱却を必ずしも保証できるというわけではありません。

Yǒu yí wèi zhuānjiā shuō guò,“shēnqǐng chū guó liú xué de rénshù búduàn zēngjiā,

有 一 位 专 家 说 过,“申 请 出 国 留 学 的 人 数 不 断 增 加

ある専門家が言っていました。「海外留学を申請する人数は絶え間なく増加しており、

shēnqǐng jìngzhēng yuè lái yuè jīliè,

申 请 竞 争 越 来 越 激 烈,

申請の競争がますます激しくなっている。

rúguǒ méiyǒu hé lǐ guīhuà chū guó liú xué shìyí yě hěn nán chénggōng。”

如 果 没 有 合 理 规 划 出 国 留 学 事 宜 也 很 难 成 功。”

もし理にかなった計画もなく海外に留学するなら、成功することは極めて難しい。

中国教育部の報告によると2014年に海外へ留学した人数は46万人近くにもなり、2013年よりも11%増加しました。

こうした留学熱は、学歴を求めて海外へ渡る大学生だけにとどまらず、年々低年齢化の傾向が顕著になっているとも報告は述べています。

留学の低年齢化

ある夫婦には今年9歳になる一男一女の双子がいます。今年からスイスにある私立の寄宿制学校へ留学することが決まっています。

一人あたりの一年間の学費は人民元で46万(日本円で約900万円)にもなります。しかしこの夫婦はそれを決して高い投資だとは考えていません。

中国の一般的な公立小学校で一年間大変優秀な成績で勉強したものの、心の中でいまひとつ納得できなかったと娘は言います。

インターナショナルスクールから留学へ

ところが、インターナショナルスクールに入学してからの二年間は大変有意義に過ごすことができ、自分が求めていた教育はこういうものだと思ったのだそうです。

その時からずっと、娘自身がいずれは海外で勉強したい、するべきだという自覚を持つようになったと母親は言います。

それで、当初はアメリカの学校を調査し、学費や生徒に対する規則、扱いなどを他の学校とも比較衡量した結果、スイスの寄宿学校を選んだというわけなのです。

移民・留学ビジネス

このように、事前にしっかりと子供の将来を見据えて調査する親がいる半面、就職難と将来に対する親子の不安をつくかのような、新手のビジネスもどんどん増えています。

たとえば、銀行に行くと「投资移民」(tóu zī yí mín)や「出国留学」といった宣伝文句が海外移住の熱をあおっています。

投资移民

各国の政策により違いはありますが、「投资移民」とは一定年齢以上(たとえばイギリスなら満18歳以上)で、一定金額以上の資産を有する者が、指定額以上の高額投資をすれば、本人を含む家族に永久居住権が与えられるというものです。

その国の言語を話せなくてもよいですし、ビジネスの経験がなくとも構わないのです。

【方法は?】

こうした方法を説明するホームページがネット上には数えきれないほどあります。

しかも、その内容をどこまで信頼してよいのかは不透明です。一例をあげてみましょう。

これはイギリスの永住許可申請の例ですが、条件は申請後90日以内に200万ポンド(人民元で約1900万元、日本円で約3億4000万円)の投資を完了させることです。

申請が受理されるまで、ビザの期限などで出国する際には180日以内にイギリスに戻らなくてはなりません。

指定された試験を受ける必要がありますが、それに合格しているなら、投資額が500万ポンド(人民元で約4800万元、日本円で約8億5620万円)なら3年で、投資額が1000万ポンド(人民元で約9500万元、日本円で約16億9500万円)なら2年で永住許可証を入手できます。

退学させられる留学者

ところが、学業が不真面目である、または成績不振という理由で退学させられる留学生がいることも問題になっています。

アメリカ、ペンシルバニア州で行われた裁判で、即刻国外退去を命じられたある若者は、15人の中国人留学生のために替え玉受験を受けていました。

主犯格の若者も、別人の偽の成績を使ってアメリカの大学の入学許可証を入手して入学したことを認めました。

【留学は中国人と触れ合うチャンス】

いずれにしても、中国人留学生が、しかもより若い世代の子供たちが海外に進出する例がどんどん増えていくことでしょう。

留学生と共に家族が移住してくることもあるかもしれません。そうなれば、私達が中国人と接する機会も増えますし、彼らを一層よく知るチャンスにもなるでしょうね。

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