日本とはここが違う中国の大学

    1. 中国経済・社会
    それぞれの国には特徴があります。中国と日本は同じアジアの国ですが、確かに国の特色が違います。今回は大学という場所をクローズアップし、中国と日本の違いを見てみましょう。

    日本とはここが違う中国の大学

    日本の大学と違うところは?

    日本の大学と中国の大学は、同じ専門知識を学ぶ機関という点では同じですが、いくつかの点で違いがあります。両国の大学の違いがわかると、日本と中国という国の違いも自然と見えてくることでしょう。大きくわけて次の3つの違いがあります。
    jiàoyù de nèiróngbùyíyàng教育的内容不一样。教育内容が違うxuéxí de huánjìngbùyíyàng学习的环境不一样。 学校の環境が違うshàngdàxué de xūyàobùyíyàng上大学的需要不一样。大学にいく必要性が違う
    一样yíyàng)は「~と同じ」という意味なので、不一样(bùyíyàng)というのは「~と同じではない」という意味になります。迷彩服を着た中国兵士が列に並んでいる。

    教育の違い

    中国の大学と日本の大学では学校で教える内容が少し違います。たとえば中国の大学に入ると、まず军训(jūnxùn)つまり「軍隊訓練」に参加しなくてはいけません。9月には国家の軍隊訓練指導官がやってきて、軍服を着た新入生たちに行進や打撃練習などをしている様子を目にします。そう、中国では国家のために戦う訓練が施されているのです。これは大学のみならず高校でも、中学でもなされます。さらに中国の授業の必須項目の中には、毛沢東思想(毛泽东思想:máozédōngsīxiǎng)、鄧小平理論(邓小平理论dèngxiǎopínglǐlùn)、マルクス主義(马克思主义mǎkèsīzhǔyì)の3つが組み込まれています。こうして中国国家の考え方が教育されます。こうした思想統一のための教育は日本の大学では見られないことでしょう。

    環境の違い

    続いて大学を取り巻く環境の違いです。中国人に日本の大学には郵便局や銀行、病院などが基本的にないことを伝えるとびっくりされます。日本において大学内に銀行郵便局があるのはごく限られた有名校だけですが、中国の大学では基本的にどの大学にも存在します。大学内に病院があるのも当然です。【家族のための雑居住宅まで!】さらに大学内に先生や生徒用宿舎だけでなく、その他の人が住む雑居住宅街があるのも特徴です。それらの雑居住宅は大学の生徒の祖父母や、先生たちの親が住むためのところです。中国人の家族はこのように、大学内にともに住んで、孫たちが大学で学ぶサポートをする環境が整っているのです。さらに卓球の国である中国には、大学内のあらゆるところに卓球台があるのも特徴です。お昼ご飯が終わったら学生たちや雑居住宅のおじいちゃんおばあちゃんが気軽にピンポンしています。ただし中国の大学には、セブンイレブンやローソンなどのコンビニ(便利店biànlìdiàn)はありません。外資系企業だからなのでしょう。一人の男性が自動車の後ろの箱に留まっていた。

    必要度の違い

    最後に考えるのが大学に行く必要度の違いです。日本は大学にいったほうがよいと考えられていますが、高校しか卒業していない人も普通に就職できますし、仕事さえできればそれなりに出世できて、世間からも普通の社会人と見てもらえます。ところが学歴社会が色濃い中国では、大学を卒業していないと人権はありません。高校卒業だけでは、一人前の社会人とは見てもらえないのです。とくに今高校生を子供に持つ、40歳前後の親たちは学歴によって就職先が色濃く分かれていました。大学を出ていないばかりに苦汁を飲んだ親、もしくは大学を卒業していたおかげで今も甘い汁を吸っている親たちがあふれています。お金がある家の子供には「大学に通わない」という選択肢はありません。

    中国の大学に入るときの顔識別システム

    中国では、ちょっと抜け道にという感じで自由に大学の中を通っていくことができました。大学食堂は安いので、外部からも節約したい人は自由に大学の中に入って、安くてボリュームがある学生食堂を楽しむこともできたのです。しかし状況は変わり、中国の大学には全く自由に入れなくなりました。なぜならこれが設置されたからです。
    dàxuéménkǒushèlìrénliǎnshíbié大学门口设立人脸识别顔認識システムが大学の入り口に設置された
    これは以前触れた監視カメラシステムとは少し違います。監視カメラシステムは、町を歩く不特定多数の人を対象にしており、必要となった時に顔で判断して逮捕するシステムです。大学の入り口に設置されているのは大学に入ろうとしている人個人を対象とし、その人がどこのだれかを明確に特定するためのシステムだからです。大学の入り口で大学に入りたいと言うと、まず「何の目的か?」と聞かれます。その後顔認識システムの前に立ち、話した通りの人物かどうかが識別されるのです。
    Beijing,,China-,June,1,2018:,Students,Biking,In,Front,Of

    なぜ大学に自由に入れないのか?

    それにしてもどうして中国政府は大学に不特定多数の人が入ることをこれほど嫌がることになったのでしょうか?2つほど理由が挙げられています。
    jiāqiángxiàoyuánānbǎo1,加强校园安保校内の安全強化のためshíxiànxuéshēngkètángkǎoqín2,实现学生课堂考勤学生の出席を管理するため
    それぞれに顔認識システムがどれほどの効果がある見てみましょう。

    校内の安全

    守る相手は大学生です。考えてみますと小学生と違って、大学生はもっとも体力もある年代ですから、か弱い小学生たちを守るように目を光らせて守る必要はないでしょう。大学校内は外部からの侵入者による性犯罪などは起きにくい場所です。さらに大学生はサラーリマンと比べるとお金を持っているわけではありませんし、体力もある大学生の財布を盗むのは失敗した時のリスクを考えると、効率的なことではありません。そう大学構内は泥棒たちにとっても活動しにくい環境なのです。では顔認識システムで侵入者を厳しく管理することで何を守ろうというのでしょうか?それは思想sīxiǎng)です。大学生は今後の中国を動かす力があります。考えてみてください。日本においてもアメリカにおいても、革命運動はどこから起きましたか?そう、大学から起こりました。中国政府が最も恐れる「国家転覆」(颠覆政府:diānfùzhèngfǔ)が起こりえる場所として大学が注目され、そこに余計な思想が入り込む余地を遮断するというのが、大学入り口での管理強化の主な目的のようです。その証拠として、大学生は入学当初のオリエンテーションで、とりわけ長い時間をかけて注意を受けるのは、政治や宗教など思想を話すような人との会話です。
    Concept,Of,Control.,Marionette,In,Human,Hand.,Black,And,White

    出席確認

    大学入り口での管理強化の主な目的は「思想管理強化」なのですが、同時に効率的な出席確認を行なうのにも一役買っています。誰が大学に来ており、誰が来ていないのかシステムデータを見ればすぐにわかるのです。学校が生徒たちの成績管理をするのにも役立つわけですから、親たちを含め中国国民がこのシステムの導入にも賛成してくれるでしょう。

    管理強化のメリットデメリット

    こうした中国の管理強化について情報に触れると「やっぱり日本がいいなぁ」と感じるかもしれません。しかしこうしたカメラ監視システムなどの強化のおかげで、16億もの国民が一つにまとまり秩序が保たれているともいえるのです。日本は管理されるのが嫌いな国民性です。マイナンバーカードなどの新しいシステムにも時間がかかりました。ですが管理強化がなされるときはデメリットだけでなく、メリットの部分も考えると受け入れやすくなるということですね。

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