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中国人にとって面子とは?-その2

日本語でも中国語でも「体裁・面目」の意味で使われている「面子」(miànzi)という言葉。「」の字が含まれているので顔と関係がありそうに感じますね。でも実は違います。

今回は「面子」の意外な語源をご紹介しましょう。

水運交易で発展した商業の都

给面子」(gěimiànzi)には「(相手の)面目を立てる」という意味がありますね。

この元になった故事は現在の湖北省武漢市内にある「汉口镇」(Hànkǒuzhèn)にあった「叶开泰药号」(Yèkāitàiyàohào)という名の薬屋に関係があります。

汉口镇は明時代に「长江」(Chángjiāng 長江または揚子江)の最大の支流「汉水」(Hànshuǐ 漢水)の流れを変えることで生まれた比較的新しい街です。

500年余の歴史しかありませんが、長江の中流、かつ長江と漢水の二つの河が交差する水運の通商路に位置しています。

北京、上海、広州、成都、西安などの各都市との距離がいずれも約1000kmなので、中国経済の地理的な中心地とも言われてきました。

そうした水運の便の良さを活かし、汉口镇は明から清の時代にかけて商業の都として大いに栄えました。

有名な薬屋の始まり

汉口镇の港には各省からありとあらゆる品々が荷揚げされましたが、清時代になると中でも「汉正街」(Hànzhèngjiē)にあった交易市場が全国最大の薬材市場としてその名を馳せるようになりました。

叶开泰药号はその汉正街にあり、当時中国国内最大の薬問屋でした。

叶开泰」の創立は明時代の西暦1637年ですが、清王朝の頃には皇室御用達として「参桂鹿茸丸」(cānguìlùěrwán)や「小金丹」(xiǎojīn dān)などの名薬を宮廷に収めていました。

叶氏」(Yèshì)はそもそも安徽省の出身でしたが、明代初期に江蘇省へ移り住み、やがて明代末期には戦乱に追われて汉口镇へやって来ました。初代「叶文机」(YèWénjī)がそこで医術を始めたようです。

おりしも戦乱のさなか伝染病が町に広がったのですが、その治療がきっかけで叶文机の優れた医術が当時の皇族に称賛され、やがて診察も行い、薬材も提供できる店「叶开泰」を開くことができるようになったのでした。

高級品質の薬材だけを選ぶ

叶开泰药号のポリシーは人々の健康のために薬の材料の選定、製剤過程のすべてにおいて決して妥協しないことでした。たとえ自分が損をするとしても良い薬を提供し続けるという理念は業界内でも尊敬を集めました。

それで毎年、薬材市場が交易を開始する日には叶开泰药号の責任者を市場に招き、取引開始の宣言をしてもらいました。

Dāngshí,yào cáizhìliàng fēn wéishàng、zhōng、xià sān děng,

当时,药 材 质量 分 为 上、中、下 三 等,

pǐnzhì zuì hǎo de yào cái duī fàng zàizuì shàng céng,jiào “tímiàn”,

品质 最 好 的 药 材 堆 放 在 最 上 层,叫 “提面”,

pǐnzhì chà de yào cái yā zàizuì xià céng,jiào “dǐzi”。

品质 差 的 药 材压 在 最 下 层,叫 “底子”。

当時、薬の原料の品質は上、中、下の三段階に分けられていた。そのうち最高品質の薬材は最上層に置かれたが、これを「提面」という。

また品質の最も劣る薬材の方は最下層に長く置かれ、これは「底子」と呼ばれた。

薬材を選定して購入する際に、叶开泰の責任者は決まってこう言いました。

“Bǎ ‘miànzi’gěi wǒ Yèkāitài”、“Yèkāitàizhǐyào ‘miànzi’,bǎ ‘dǐzi’quánbù ná diào”。

“把 ‘面子’ 给我 叶开泰”、“叶开泰 只要 ‘面子’,把 ‘底子’ 全部 拿 掉”。

面子をうちの店にまわしなさい。叶开泰は面子だけが必要だ。底子は全部捨てるように。

こうして叶开泰はどれだけ価格が高くても代金を惜しみなく支払い、ただ一番上に置かれている最高品質の薬材だけを手に入れることで、薬品の品質と治療効果を確保したのでした。

面子という語の広まり

始めは「提面」または「面子」と呼ばれていた「一番上にある最高品質の薬材」が時経つうちに「表面の良く見える部分」「外から見える部分」「他人が見た時の感じ」などの意味に転じました。

やがて「要面子」(yàomiànzi)、「给面子」(gěimiànzi)などの表現が各地に広まったのでした。

では実際の生活のどういう状況で中国人は面子という言葉を使うのでしょうか?詳しい用法については「中国人にとって面子とは?-その3」をご覧ください。

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